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「演劇集団キャラメルボックスを開けてみた」Part.6

城西国際大学メディア学部キャンパス誌「Update Vol.2(https://online.fliphtml5.com/kbtoy/ayak/#p=1)」で行ったインタビューの完全版。
これを読めば、あなたもキャラメルボックスのことをもっと知りたくなる!
7つに分けて掲載しております。こちらPart6です。是非ご覧ください!


Part6 多田さん、鍛治本さんへ

多田 直人 さん

——初演の場合、役作りはどのようにしているのでしょうか?

多田:初演の場合は稽古中に成井さんからこの役はこういう風にしてほしいというお話があればもちろんそれを参考にします。でも基本的に自分が“その役を演じる、世界で初めての人間”なので、その生みの苦しみみたいなのもあるのですけど。その時、すごく自由度が高くて、すごく楽しいなって思えるので、その役をいただいた時にこんなことしないだろうなで作っていくんじゃなくて、“こんなことをする人間かも、こんなことを言う人かも”っていうので、だんだん付け足してく作業というか、そういうのが楽しいというかやりがいがあるなと初演では思いますね。

鍛治本:いろんな方法があると思いますし、毎回もしかしたら違ったやり方を自分がしているかもと思うのですけど、 この人が”一番大事なもの"って何かなって考えることが多いです。偏っていてもいいから、とにかく一番大事なもの。僕、自分がやっていてとか見ていてもそうなのですが、偏愛、偏っている愛を持っている人がすごく好きになっちゃうんです。それが間違った方向に出るとか、すごく性格悪くなっているとかでもいいんですけど、こだわりとか偏った愛とか、そういうものを持っていると魅力的だなと思っていて。お芝居、稽古しながら上手くいかないなっていう時はこの人が今一番こだわっていることやものって何かなって考えることが多いです。結果役作りにつながっていることが多い気がします。それを思ってやってみると、表現も変わるということが多いかなと思いますね。

NAPPOS PRODUCE
『嵐になるまで待って』(2023) (c) 引地信彦

——再演の場合、前に演じた同じ役の人の演技などを参考にしていくのでしょうか?

鍛治本:僕は参考にします。参考にしない手はないというか。それが今やる僕らのアドバンテージだと思っています。例え全編真似しようと思ってやったとしても、やっている人が違うので、絶対同じにはならないんですね。だから本当にいいなと思うところはどんどん取り入れようと思いますし、なんか全く違うものを作ってやろうってやったところで結局意識していることには変わりないので、フラットにやりつつ、なんかやっているとやっぱりちらつくんですよね。前の人がここってこういうこと考えていたのではないかなとか。自分はこういうこと考えるけど違うだろうなとか。やり方は違うよなということも含め、僕は参考にしています。

多田:同じです。本当にそうです。先人たちの知恵というか、それを受け継ぐのもこの流れに続いてきた劇団の強みでもあると思うので参考にはします。ただ注意しなきゃいけないなと思っているところは、やっぱりそれにがんじがらめにならないように、自分なりに稽古を1週間2週間やってきたところでもう1回VTR見てみようかなとか、最初から見すぎるとそれがこびりついちゃったりもするので、その辺のバランスはとったりはしますけども参考にします。

——同じ役を再度演じる場合、前回の演じ方などは覚えていますか?

鍛治本:僕はね、初舞台で『水平線の歩き方』の”進太郎”って役を再演でも一度やっているのですが、覚えていますよ。

多田:『無伴奏ソナタ』の”クリスチャン”って役を3回やらせていただきましたね。それは覚えていますね。覚えているっていう言い方であっているのかな。

——それは台本を読んで思い出すという感じなのでしょうか?

多田:台本を読むというより、稽古して周りの人の音が聞こえてきて、自分の喋り出した景色や音声、流れてくる音楽から、ぶわーっと読み返ってくるっていう感覚ですかね。それに身を任せながら演じる部分もあるし、でも今はその時その時で昔どう思っていたかは分からないけど、今俺はこう思ったぞっていうことを、またそこで発見していくっていう作業でしたかね。

鍛治本:僕は初舞台の役が同じ役を演じた経験なので、今思い出そうとすると鮮明に思い出せるのですが、すごく恥ずかしくなりますよ。自分のお芝居を思い出して今恥ずかしくなっていますけど、やっぱ思い出しますよね。やりながら思い出すっていうのもあるかなと。

——同じ役を演じる場合、前回とは変化などつけるのでしょうか?

多田 そうですね。僕、結構自分の過去のお芝居見て、やるやんって思っちゃうタイプなんですよ。『さよならノーチラス号』のタケシはすごく自分の中で反省点の多い作品ですけど、過去の自分のDVDとか見るとこんな風にセリフ喋っていたのだとか、今の俺じゃそれ出ないかもしれないとか、結構思わせてくれる感じがあって。そこから変えてやろうと思うよりかは、その自分を超えなきゃいけないなっていう感覚ではありますね。

鍛治本 どうだろう。最近同じ役をやるっていう経験があんまりないのですが、でも同じようにしようとも違うようにしようとも思ってないというか。同じ役だからこそ今やるとしたらもう一回初心に戻ってじゃないですけど、セリフ一つ一つで、その登場人物が一体何をしようとしているのかっていうことをもう一回ちゃんと台本読むとこから始めるだろうなと思います。そうすると結果、多分昔とは違うものになるだろうなとは思います。

鍛治本 大樹 さん
キャラメルボックス
『クローズ・ユア・アイズ』(2023) (c) 引地信彦
鍛治本さん(左端)、多田さん(右端)

Part7へ  是非最後までご覧ください!

読者の皆さんへのメッセージhttps://note.com/jiu_uda_seminar/n/n4dd71f00a570


最新情報!(2024年3月時点) 詳細は各HPをチェックしてください!

<演劇集団キャラメルボックス 次回公演予定>
キャラメルボックス2024 クリスマスツアー
2024年12月 大阪・東京公演

<成井豊さん 最新作、鍛治本大樹さん 出演予定作品>
NAPPOS PRODUCE 『湯を沸かすほどの熱い愛』
【原作】中野量太 【脚本・演出】成井豊
2024/5/18(土)~5/26(日) @サンシャイン劇場
2024/6/1(土)~6/2(日) @サンケイホールブリーゼ

<成井豊さん 脚本・演出・作詞、多田直人さん 出演予定作品>
『無伴奏ソナタ-The Musical-』
【原案】 オースン・スコット・カード 【翻訳】 金子司
【脚本・演出・作詞】 成井豊 【音楽】 杉本雄治
2024/7/26(金)~8/4(日) @サンシャイン劇場 ※大阪公演あり
2024/8/10(土)~8/11(日) @森ノ宮ピロティホール

村上

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