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日記

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#詩

無職のあいだに起きた実存的閃光

無職のあいだに起きた実存的閃光

はじめに2021年2月から2022年4月までの1年3ヶ月、僕は無職だった。定職に就いていないということではなく、完全なるニートだった。副業はおろか生産的なことをほとんどせず、社会的無重力空間に居た。紆余曲折を経て、今月から晴れて社会の構成員として積極的に責任を果たすべく職に就いた。この記事はその「紆余曲折」について記録を残すものである。ワンルームの部屋だけで起こる「紆余曲折」は、社会にとっては微小

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真夜中の叫び声

深夜、窓の向こうから分厚いガラスを突き抜けて、若い男性の叫びが聞こえてきた。一棟横のマンションからだろうか。喉がまだ熟れていない少年の声だった。一度短く「アーーー!!!」というこころの破裂音がした。暗い空を通った音は、どれだけの人に届いたかはわからないが、僕には真っ直ぐに届いた。声が僕のこころを揺り動かすのを感じた。

多くの人には迷惑だろう。深夜に狂ったような男の叫びを聞くのは恐怖だろう。隣室の

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僕がウィル・スミスだったら殴れたか

殴れていないだろうと思う。彼ほどの影響力があって、世界でも名誉あるアカデミー賞の授賞式で、私的な理由で抗議する、そんなことは仮に僕がウィル・スミスと同じ境遇でもできなかっただろう。できたとしても、一度「That's OK.」と受け流し、激しく後悔をしながら家に帰って抗議文をしたためるくらいだろう。

あまりにも驚きの強い画だった。「何が起こったんだ」と多くの人が持つのと同じ好奇心で、背景の説明や授

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