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その男の写真を撮ると、死ぬ…?「いままで俺を撮った人はみんなそうだった」国道4号線をひたすら北上する謎の人物の正体とは

撮影者を襲う不幸

 その男は、国道4号線の脇に寝袋を広げ、通り過ぎる車列を虚ろな目で追っていた。東北地方での取材を終えて帰路のハンドルを握っていた写真家T氏だったが、人気のない片田舎で見たその一種異様な光景に心を動かされ、思わず声をかけた。

「写真、撮ってもいいですか?」

 悟りを開いた仙人のようなその風情が、なんとも絵になると思ったのだ。 突然の来訪者にも男は快く応えたが、ある奇妙な条件を付け加えた。

「いいけど、俺の写真を撮ったら災難があるよ。いままで俺を撮った人はみんなそうだった。仕事中に脚立から堕ちて大怪我をした。家が大火事になった。あとで聞くと、なんかみんなそういう風になっちゃうみたいなんだ。だからあんまり撮らせたくないけど、それでもいいならね」

 まさか、そんなことあるはずない。でも、もしかしたら…。しばらく逡巡した末、T氏は申し出を取り下げた。あまり気味の良くない話を、あくまで淡々と話す男だった。なによりもその目が気になった。向き合っていても、どこか違うところを見ているような……。

 話を聞いた取材班は、タカをくくって現場に向かった。T氏の目撃地点より少しだけ北上した地点、男はやはり4号線を歩いていた。背丈、服装、聞いていた特徴はすべて合致する。それに、こんな辺鄙な場所を選んで歩くホームレスはそう多くはない。
 間違いない。思わずカメラを構えた結果が、掲載の写真である。

国道をひたすら歩き続ける男。周辺住人によれば、北へ北へと向かっているという

 だが、取材班は男に声をかけることはしなかった。やはり、聞きたくなかったのだ。本人である確認が取れると同時に突きつけられる、死刑宣告にも似た、男の言葉を。

「ーー写真、撮れたかい?」
(文=編集部)

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