見出し画像

生成AI活用ですぐに解ることを資格取得の勉強までして得ることの意味を探る

1.JOBカフェとは
 大学生の卒業後の進路や仕事について、OB・OGの活動を聞き考える場として、JOBカフェという企画があります。ご縁があって、母校のJOBカフェにOBとして参加させていただく機会が先月にありました。今回のJOBカフェの企画は法学部を中心とした学生に対する国家資格の紹介でした。私は、中小企業診断士の資格保有者として学生の皆さんに活動をお伝えする機会を頂きました。
 今回は、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士の仕事紹介という企画で、学生は主に1、2年生の法学部生でした。学生の皆さんからのお話を聞くにあたって、その参加理由は様々でして、「何となく参加した」学生もいれば、「春休みを利用して将来について考えるための情報収集の場として参加した」学生もいました。いずれにせよ、春休みの夜(18時~20時)に参加するということは、何かを得たいという意欲がある証拠だと思います。

2.JOBカフェのプログラム
 さて、プログラムの進行ですが、最初に各資格保有者からの資格の紹介がありました。私は中小企業診断士の資格紹介をさせていただきました。とはいえ、最新の資格にかかるトピックスを知らないので概要紹介にとどまりました。在学中の法学部の学びが現在に生きているか、中小企業診断士とはどのような資格であり、どのような活動をしているのか、という与えられたテーマを主に15分程度話しをさせていただきました。
 その後、1グループを3、4人に分け、4グループの学生と話をしました。参加者の事前調査はまちまちで、全く調べていない学生から具体的な質問をする学生まで様々でした。中には、現代心理学部の2年生でありながら行政書士試験に合格している学生もいました。資格取得の若年化傾向があるとは聞き及んでいました(15歳で行政書士合格や小学生で宅建合格という話も聞いたことがあります)が、今回の会にもそんな優秀な学生がいらっしゃいました。プログラム進行の過程で、私自身の学生時代を思い出していました。私の二十歳のころといえば、将来のことはあまり考えずサークル活動、遊び、アルバイトばかりでした。また、そんな周囲の友人たちでした。それと比べるのも現在の学生には申し訳ないのですが、将来を考えている学生は多いと感じ入りました。

3.生成AIと資格
 私のパートでの説明の中で触れたのは、資格活用の観点であまりフォーカスされていない生成AIとの関わりです。資格の勉強は往々にして暗記中心になりがちですが、実社会では正解がない状況で問いを立て、向かっていくことが求められます。生成AIとの関わり方を考えることは、業務中に正解を求められる業務がある場合、そこは生成AIを活用していき、その他の部分の仕事にどう自分の知恵や感性を活かせるかを考える必要があります。また、資格の勉強で時間かけて詰め込んだ多くの知識は、数秒で正確かつ厚みのある答えを引き出せるようになります。従って、資格そのものの意味付けも変わってきます。専門職から専門性が奪われていく前提であっても、資格試験を受ける動機や勉強を続ける意欲がより一層に問われてきます。

4.将来役立ちそうだからという理由での資格の勉強は続かない
 これからは、資格取得後のありたい姿を明確にし、その手段として資格を活用する考え方が、一層強まる社会となります。私自身の思い出話で恐縮ですが、中小企業診断士の資格取得後すぐに社会保険労務士の資格の勉強をなんとなくの動機で始めてしまいましたが、3か月で挫折しました。これも私にとっては学びだったわけですが、生成AIで解決できることが増える中であえて資格を取るというところの動機が薄いために挫折してしまう受験生が増えるでしょう。(ただ、いつの時代も、資格試験での三日坊主や1か月での挫折は多いものではありますが…。)

5.大学生活に「空白」があったとしても向き合うことが尊い学生の自分というもの
 資格も大事なのですが、大学生という時間においては、もっと大事なことがあると思っています。働くこと、生きること、学ぶことの意義を、大学生活の中で自問することです。難関資格を目指すならまだしも、それ以外であれば、学生ならではの生活にエネルギーを注ぎ、後悔のない学生生活を過ごされて後、社会人になってから仕事をより深めていくという観点で資格を活かしていくという考え方もあります。社会人になっての学習時間の捻出や学習の効率化に生成AIを活用することも、これからのスタンダードになっていくことが見えてきます。生成AIが活用されると社会の在り方が大きく変わるとも言われている中、そのような社会システムの中で資格そのものを考えることも、勉強に着手する前にはやっておきたい所としてお勧めしたいです。

6.大学生にお勧めしたい書籍
 そんな思いから、私は資格の紹介とともに、学生時代に読んで影響を受けた書籍も紹介させていただきました。「自由からの逃走」エーリッヒ・フロム、「青春漂流」立花隆です。

あわせて中小企業診断士の資格取得後に独立をした際に座右の書にしていた「修身教授録」森信三も合わせて紹介させていただきました。

 特に、母校は自由を大切にする校風です。大学入学当初の当時の文献購読で「自由からの逃走」を指定図書とした担当教授の伝えたかったことは、現代社会で自分自身を見失うことなく、自由と責任を持って生きることを大学で学びなさいというメッセージだったのかと思ったりもしています。


7.自由から逃走しない生きる技術
 フロムに関していえば、「生きる技術」という概念があります。これは単なる職業技能を超えた、自己実現と社会との健全な関わり方に必要な技術であるとの説明があります。フロムによれば、真の自由は自分自身の運命に責任を持つことから生じるものであり、この自由を追求する過程で自己実現が可能になると考えます。また、フロムは「愛」の概念も重視しています。これを通じて人と人との真の結びつきを回復し、孤独を克服する道を示してもいます。さらに、フロムは、自立と相互依存のバランスを取ることの重要性も指摘しています。これは、将来のキャリアを選択する際にも、自分の内なる声に耳を傾け、自分自身の価値観に基づいて決断を下す能力が求められることを意味するのではないでしょうか。

8.最後に~これからに自分にも問うていくこと~
 自分ができていないことを棚に上げていますが、このようなフロムの思想の一端を伝えきったとは到底言えないので、こうやって書き留めておきます。単に仕事を選ぶという行為を超えて、どのように生きるか、どのように自分自身と社会との関係を築くかについて深く考える機会を持てる時間があるのが大学生という時間です。将来のキャリアや人生の方向性を模索する上で、非常に価値ある時間です。ただ、私は大学生に伝えるのではなく、一番伝えたいのは自分自身なのでしょう。そのことを気づかせてくれた、貴重な場を提供いただけたことに感謝しております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?