【泥沼のような日本社会の本領発揮とは何か?】 倉本圭造
経営コンサルタント兼思想家
倉本さんは、「経営コンサルタント」と「思想家」という二つの肩書きを持っています。
その経歴は華々しく、県内屈指の名門神戸高校から京都大学、マッキンゼーとエリート街道を進みます。そこで直面したのが、「グローバリズム的思考法」と「日本社会の現実」の矛盾。両者を相乗効果に持ち込む「新しい経済思想」の必要性を実感し、ブラック企業、肉体現場、カルト宗教、ホストクラブ、「社会の上から下まで全部見る」フィールドワークののち、船井総研を経て独立し、幅広い「個人の奥底からの変革」の支援をされています。
『みんなで豊かになるためにはどうしたらいいのか?』(アマゾンKDP,2020年)『日本人のための議論と対話の教科書』(ワニブックス,2022年)などの著作活動に加え、noteやXでも日頃からあらゆる社会情勢に、倉本さん独自の「メタ正義感」に基づいた思想を発信されています。
そんな倉本さんが語る「妄想」とは?
経営コンサルタント業と思想家業の違いは意外と無い
倉本さんは、「経営コンサル」業と、「思想家」業の違いは、単に時間軸の問題で、 「直近の問題に対してどう言う施策を出すか?」が「経営コンサル的課題」であれば、「長期的な社会はこうなっていくはずだから、今のうちに少しでもこっち側を向いた方向性を出していこう」とするのが「思想家的課題」であるといいます。
倉本さんには私たちの妄想の一つの考え方である、「妄想とは、現実と理想をつなぐプロセスだ」という企画書をお見せいたしました。その点で、現実寄りであるのが経営コンサルタント、「妄想力の活用」をしているのが思想家業であるとも言えます。
優秀な経営者は「ズレ」を気にする
多くの経営者と話す倉本さんは、優秀な経営者は「ずっと同じ事をやり続ける」事がないと語ります。
なぜか。月日が経てば世の中の流れも、会社全体の課題も変わり「ズレ」が生まれてきます。ある瞬間では「100%噛み合っている」手が仮に打てていたとしても、次第に有効性は95%、90%、85%と段々と下がって来ることは避けられないのです。だからこそ、ズレが小さいうちに適切に軌道修正していくことが、経営者や企業、ひいては国家にとっても重要であると言えます。
「ズレ」を放置してきた日本とその可能性
しかし、このnoteを読んでいるような方はおそらく日本が未だに「ほんのちょっとのズレ」で済んでいるとは考えていないでしょう。
課題の発見、共有、改革の実行というプロセスは、小さい私企業であればすぐに出来ますが、日本のように1億人を抱える国家ではその一つ一つに時間やコストが掛かるのは致し方のないことです。
「失われた30年」バブルがはじけた後の日本はそう表現されてきました。アメリカなどの諸外国がGDPを何倍にも増やしている中で、日本はせいぜい1.3倍程度、こういった表現が出てくるのにも頷けます。
一方で、アメリカや、「アメリカ化」に乗っかった国では日本では考えられないような格差や、政治的な分断が進んでいることもまた事実です。
もちろん日本も「アメリカ化」した点はあるでしょうが、なんとなく大事な部分はうやむやにしてしまって、「改革」をやり切らなかった。ここに倉本さんは、日本ならではの可能性を見出し、『妄想講義』内で論じています。
倉本さんの思想・魅力
倉本さんの思想の特徴は、党派性によらない、冷静で、鋭い現状の分析と、その結果を基に形作られた折衷的な議論の方向性です。倉本さんご自身は、「メタ正義」というワードをよく使われ、物事を党派性によって互いを罵り合うような「ベタ正義」と比較されています。
私はこれがロールズの「無知のヴェール」を落とした状態に近いのではないか?と考えています。私たちはどうすれば党派性の磁場に引きずられる事なく、立場を超えた議論が出来るでしょうか?そんな日が来るのでしょうか?
皆さんにも考えて頂きたくてオープンクエスチョンで終わってしまいました。ぜひ本当にご自身の事だと思って考えて頂きたいです。
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