【生きるのに大切なことはなんですか?】にゃんたこ
あれはいつだっただろうか。大学生の頃、早朝まで飲み明かして、二日酔いのなか友達の布団で横になりながら無思考にスマホをいじっていた。働かない頭で画面をスクロールしていたが、SNSも無料漫画も内容が入ってこない。内臓がアルコールを分解するためにフル稼働で、眠たいのに眠れなかった。
「そうだYoutubeを見よう。」そう思い立って、動画を漁っていた。すると、何人かが、昨夜の自分と同じように楽しそうに酔っ払っていることが分かるサムネが目に入った。
それがにゃんたこさんの動画だった。その時はもう酒を2度と見たくない程の二日酔いだったのに、動画の中で楽しそうに狂っている人の動画は非常に目を惹いた。それだけじゃない。狂っているのに、テロップで哲学的な文章が流れてくるのだ。
このギャップというのか、アンビバレントさが、にゃんたこさんの魅力なのである。
進撃の巨人えぐいって
担当が個人的に好きな動画です。
ウインナーとおにぎりをビールで流し込みながら、進撃の巨人の感想を語ります。
漫画のキャラクターの心情から「私たちはどう生きるか」「生きるとは」「愛」などを自分に引き寄せて考察し、問いを出す。かっこつけて良い言葉を並べるでもなく、悲観的にネガティブな語りでもなく、自然体であろうとするその言葉から、ぜひ妄想をテーマにエッセイを読んでみたいと、今回の依頼につながりました。
そうしてうまれた「毒をもって愛と歩む」
動画投稿を初め、エッセイ本も執筆されており、どんな文章が出てくるのか非常に楽しみであった。個人的には「文学的」要素よりかは、「身近な哲学」の印象があり、このニュアンスのある文章が読めたら嬉しいと思っていた。
正直なところ、執筆前に入念に打ち合わせを交わしたかったのだが、諸々のスケジュールもあり原稿マターでやり取りが続いていた(色々、直接聞きたかったですよ!にゃんたこさん!)
そこで出てきた原稿に度肝を抜かれた。「毒をもって愛と歩む」。印象的な言葉を紹介したい。
私たちは、愛や希望をユートピア的にしすぎているのかもしれない。痛みがあるから、愛は増す。絶望があるから、希望を抱ける。相反するものの間で揺られながら、私たちはそれでも前を向いて歩んできたのではないだろうか。
執筆期間の兼ね合いで、入念な打ち合わせとはいかなかったが、この文章に共感し勇気をもらい、根拠はないけど繋がれた気がした。「妄想講義」という企画を通して、本をつくることを通して、「明るい未来の描き、作る」ことに向かって協働できた気がした。
直接言葉を交わさなくても、文章を通して作家とつながった気になれるのは本の魅力だと改めて感じさせられた。そして、にゃんたこさんの人気はこの共感性にあるのだと、勝手に「繋がれた」気がした私は謎に納得していた。
明るい未来は、時に暗闇が訪れる瞬間もある。
けれど「毒をもって愛と歩む」だ。人生に迷ったとき、愛を見失いそうになったとき、私はにゃんたこさんの文章を読み返すだろう。
生々しい愛の言葉が、あなたを蝕みそして明日へと歩ませることをお約束します。ぜひお手に取ってご覧ください。
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