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ヒッチハイク×登山で日本一周

Q.どんな旅をすることが1番凄いでしょう?

22日をかけてヒッチハイクで日本を一周した。
めちゃくちゃ不便でしんどい道のりだった。

フェリー:3往復(⇄北海道・大崎上島・屋久島)
バス:4回(剣山・旭岳・十勝岳・富士山)
電車:1回(東京に負けた)
ヒッチハイク:97台 総距離:6877km

とにかくこの3週間は、削られる体力と
それより少し強いアドレナリンが常に闘っていて、

不安で足が止まるような瞬間は一切なく、
ワクワクで、ここにいたくて足が止まりまくった。


「学生でヒッチハイクで日本一周してるんですけど、
もしよかったら次のSAまでとかでもいいので
乗せてもらえたりとかできないですか?」

と、このセリフを400回は言った。
計500台ぐらいの人に声をかけた。


日本を簡単に一周するなら車や電車などを使うと一瞬。

自分の行きたいところにいつでもいけるし、
見たい景色にいつでも出会える。

本当にこの世界は便利だと思う。


正直、現在の日本は本当に便利で、何でも手に入る。

Instagramを見ているとそれは顕著で
毎日誰かが美味しそうなものをアップし
綺麗な景色や、有名なアクテビティを楽しんでいる。
いいなとは思うが、あまり憧れを感じることはない。


海外に行くことなんてもうそんな特別感もなく、
30年前までは月ほどに感じられていたハワイに対して
いいなとは思うが、あまり憧れを感じることもない。

だって飛行機で10万円もあれば行けてしまうから。


正直、誰のどの投稿の写真も綺麗だし、
どこのご飯も美味しそうに見える。

でもそれらが手に入ってしまう生活の中で、
それらに輝きも美味しさもあまり感じなくなった。

昔、初めて飲んだコーラはめちゃくちゃ美味しかった。
けど今は、どこでも売っている砂糖水。
便利にどこででも手に入ってしまうからかな。


とにかく生きやすい世の中が、
「最高な人生」を生きにくくしてくる。


そりゃ便利な世の中において、
ほしいものがなんでも手に入る世の中において、
あえて不自由を生きるのはナンセンスかもしれない。

でもそこには不自由だからわかる世界があって
不自由だから沁みる感謝がある。

車で12分の距離を2時間以上歩いた。
でもそこで見た景色は言葉にしたら薄まるし、
ヒッチに乗せてもらう車のありがたさが沁みた。


おれはドライブで行った夜景に感動したことはない。
けど自分の足で登った山で泣いたことはある。

高いメシを食って感動したことは少ない。
でも深夜に心震えながら食べたカップラーメンの総額で
その高いメシが買える。


ヒッチ中、頑張れって渡された飴玉に泣いたこと、
DMで頑張れって言ってくれた友達、
「これが美味しいんだよ」ってご馳走になったメシ、
太陽の眩しさに空の高さ、碧さ。

実家で生活して学校やバイトを往復しては気づかない、
いや、出会いもしない気持ちがそこらに転がっていた。


湘南乃風『一期一会』の中でのフレーズで

何もない日々の空しさより
生きがいと呼べる程の面倒さを

という箇所がある。


何もないことはなくとも、普通に生きる世界に比べ、
面倒で、不自由で、不便な世界の中に、
最高な生きがいが散らばっていた。


山梨から関西に帰る予定の日に、
宮城にいくおっちゃんに5時間以上も乗せてもらって
関西とは真逆の方向の宮城に着いた。


こんな意味のある「意味のない遠回り」
を最高だと想うことも初めてだった。


でもそのおかげで出会えた素敵な人がたくさんいる。

やっぱり「生きがいと呼べる程の面倒さを」なんかな。



でもやっぱりヒッチハイクというワードが
各々のアンテナに引っかかる人と、
全く引っかからない人がいる。


ヒッチハイクを
「おもろいことしてるな」
と感じるか、
「人の車に乗せてもらって何やってるんだろう」
と感じるか、
「ただただ、めんどくさい」
と感じるかは人それぞれだと思う。


どの「 」も正解で、間違ったことなど何一つない。

それはどんな分野でもそうで、


路上ライブを
「頑張ってるやん」と思うか、「うるさい」と思うか。

SNSで送られてきた集客DMに対して、
「この人たちはどんな熱量で送ってくれたのだろう?」
と思うか、「また変なのきた」と思うか。


これらも全て正解。

でもおれは圧倒的に前者を選べる人の感度が
カッコよく感じるし、頑張っている人なんだと思う。

だって路上ライブを素直に応援できたり、
集客DMを送る側の頑張りを感じることができる人は、
他のどこかの分野で、絶対にそれと同様の
あり得ないほどの努力をしてきた人だと思うから。

そういうことなのか、ヒッチハイクで乗せてくれた人は
超個人的な見解ではあるが、面白い人が多かった。


おれの溢れていたアドレナリンを認めてくれた。
ありがとうございます。




そういえば
友達に、旅の途中で1番感動した場所の
何かお土産ほしいと言われた。

その答えはかなり早い4日目の夜には決まっていた。


おれ的にはどこのどんなお土産を差し置いてでも
アサヒスーパードライを選ぶだろう。

これはネタでもカッコをつけたわけでもなく、
本気で最高に生きた夜の、ビールは桁違いに美味しい。


別にあなたにとってそのビールが
タバコでもコーラでもお茶でも水でもなんでもいい。

とにかく最高に生きていれば桁違いに美味しくなる。

だからそのビールを飲んで、
日本中の何より美味しいと感じたとき、
おれ的には最高に生きた1日になったのだと思う。
この答えが彼へのお土産です。





2021年8月9日の夜、台風で避難勧告が出ている
函館のフェリーターミナルで
日本3周目の男に出会った。

「無一文で歩いて日本3周目」

という47歳の最高な人だった。


羅王さんと呼ばれているその人は、
お金がないアピールや靴磨きなどをすることもなく、
とにかく毎日、目の前の道をひたすらに歩いて
応援してくれる人のカンパによって生活をしている。

「なんかおもんねえな」と感じ、
勤めていた仕事も家も払って、歩き始めた羅王さんは
やはりその無一文が故に、

「4、5日食べないこともある」

と言っていた。


「そんな生活じゃ死んじゃいますよ」
という自分の言葉に対して、


「明日死んでも今日最高だからいいんだよ」


と言われた。
カッコいい。
完敗した。


そんな覚悟で生きていないらしい。


その羅王さんと2人ともが大好きな
おかんというバンドの『independent』

僕の命が終わる時
温かいベッドじゃなくて
雨に打たれ冷たい道端でも
「最高だった!」って言って死ねるよ

というフレーズがある。


羅王さんよりお金を持っていない人は
あまり見たことがないが、
羅王さんより幸せを持っている人も
あまり見たことがない。


羅王さんは明日死んでもいいと言っていたが、
たぶん明日は死なないだろうし、来年も死んでいない。



平成30年度の近畿大学の卒業式で西野亮廣さんは

「理論上、失敗なんて世の中に存在しない。
失敗なんかしないから、挑戦してください!」

と言った。
この言葉はこれらの言葉にサポートされている。

『その失敗を受け入れて、アップデートして、
試行錯誤して、成功するまで続けてしまえば
あの時の失敗が必要であったことを知る。』


転ぶ分にはどう転んでも生きていけるけど
転がされてしまうと、それ以上起き上がれない。

だから自分から転げる羅王さんは来年も死んでいない。

自分ももっと転げ回ろう。



MOROHAという大好きなアーティストが

幸せは 「なる」 ものではなく
今ここに 「ある」 と気づくのである

と歌詞中で謳っていた。


あなたは幸せになろうとしていないですか?
今ここに溢れる幸せに気づけていますか?


羅王さんがタバコを根っこまで吸うところを見て、
めちゃくちゃカッコよく感じた。

誰よりもモノを持っていないが、
誰よりもモノを大切にしていた。


ヒッチハイクで乗せてもらった人の1人に

「太陽って偉大だよな」
「快晴じゃなく雲があることで空が綺麗なんだよな」

と仕切りに言うおっちゃんがいた。
カッコよかった。




この旅の中で少しは感じられた気持ちがある。


どんな旅が1番凄いだろう


という冒頭の問いへの応えだ。

・1番遠くに行ったやつが凄い?
・それとも1番SNSで「いいね」をもらうことか?
・誰よりも絶景と呼ばれるものを集めること?

これに対するおれの回答は


旅の中で感じた感謝の大きさ


これがその旅の凄さの指数になると真に感じた。

【ヒッチハイク中にたくさんの山に登って、
すれ違う人に誰よりも早く挨拶をした!!】

↑こんなことを誇ることはクソダサいが、
自分の挨拶で自分がめちゃくちゃ嬉しくなったから
誇るのでなく、その気持ちを共有したかった。


人それぞれ色々な感度で生きていて、違っていても、
目の前の空に、虫に、モノに、時間に、人に、世界に
とっておきの「ありがとう」を感じられる旅が
とてもいい旅なんじゃないかな。


おれはこの人生もそんな旅にしたい。



これはその言葉に当てつける訳では毛頭ないけど、

トラックのドライバーさん、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

自衛官のお兄さん、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

四国の公務員のお兄さん、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

監視カメラを整備する会社の方々、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

薬局のお姉さん、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

秋田県警のおっちゃん、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

富士山で低体温症から救ってくれた方々、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

旅中に出会った「旅人」の皆さん、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。

今回の旅で関わった全ての方、あなたのおかげで
今おれは生きています、ありがとうございます。




最後に。

やっぱりこんなことをやっていると、
「行動力凄いな」
「ぶっ飛んでるよな」
とかを言っていただける機会が増えてきた。


ありがたいが、行動力が凄い人やぶっ飛んでるやつは
どこにでもいるし、おれは特に凄いとは思わない。


ぶっ飛んでるやつなんか何にもすごくないと思う。
イカれてるやつなんか何にもすごくないと思う。

ぶっ飛んでなくていいぜ
イカれてなんかなくていいぜ

普通でいいんだ。
真っ当は真っ当なりにお前を真っ当しろよ。

おれはおれを真っ当するよ。


最高な日々をありがとうございました。

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