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大学とスープカレー。 東京らっきょブラザーズ 早稲田

先生。いつもどこに行ってるんですか?

うわ!ビ、ビックリした。
武蔵境駅で電車を待っていると、背後から声を掛けられた。

そんな、後ろから押したりしませんよ。

い、いや、そーいうわけでは。
(焦ったぜ。こーやっていきなり人生の幕を閉じることもあるってことだよな。怖いもんだ)


どーしたんですか目崎さん。お家は反対側では?
今日は都心に用事があって。

そうですか。
仕方なく、共に電車を待つ二人。

急行がやってくる。
どうぞお乗りください。
次郎はわざとやり過ごす。

いえ、私も各駅なので。
そうですか。
ドアが閉まる寸前、次郎は飛び乗ろうと試みたが、前に進めない。後ろから鞄を掴まれていた。

先生のやることはお見通しです。
笑う目崎。
なんだか眩しかった。

仕方ないですね。
次に来た各駅停車に乗り込む二人。席は空いていない。ドア越しに立つ二人。

放課後はプライベートなので、学校の関係者とは会わないことに決めてるのです。
大丈夫ですよ、ついて行ったりしませんから。
はは、そー言う意味では。

次郎は窓の外を見る。目崎は話しかけてこない。
ホッとする次郎。

では、私はここで。
新宿で降りる次郎。一緒に降りる目崎。
一緒ですね。
笑う目崎。

まぁ新宿だし、仕方ないか。
次郎はスタスタ歩き始めた。途中振り返ったが目崎の姿はない。

流石についてこないか。

次郎は気を取り直して、山手線に乗り換え高田馬場に向かう。そこから東西線に乗り換え早稲田に向かう。

さてと、このまま早稲田大学の図書館に行くか、それとも腹ごしらえするか…

どんッ。

痛。
キャッ。

大丈…あ。
急に歩みを止めた次郎に背後にいた目崎がぶつかったのだった。

まさかついてきたんですか?
違いますよ。失礼なここに用事があったんです。
ここにって、ここは早稲田高校の前ですよ。

そうです…じゃなくて、大学の方です。今日は大学の見学に来たんです。

怪しいな。
怪しくありません!
ではどうぞ。次郎は道を開けた。

どうも。先生は早稲田大学ですか?
私のことはほっといてください。

ふーん。まぁいずれわかりますね。では。
そういうと目崎はスタスタと正門に向かって歩いて行った。
本当に大学まで行くのを確かめるため、彼女をしばらく見送ったあと、次郎はそれとは逆に通りを渡り、スープカレー屋東京らっきょブラザーズに入った。

いらっしゃいませ。
まだ時間も早く店内は空いている。
図書館は今は危険だな。食べてからでいいな。

次郎は春野菜とパリパリチキンのカレーを選んだ。

最近はマジックスパイスの味が落ちているからな。路地裏カリー侍とここが東京では2強だ。

お待たせしました。
カレーが運ばれてくる。

相変わらずスパイスのそそる匂いとクリエイティブだ。ゴロゴロとした野菜の量も多く、スパイスの芳しさ、パリパリチキンの皮をスープでしっとりさせるのが、この上なく良い。

しかし、あの娘は何を考えているのか。本当に早稲田に行くならいいが、まぁ私には関係のないことだ。次郎は一瞬自分のキャンパスライフと目崎がそこにいたようなvisionを見た。ありえない…

教授に言って講義する高校を変えてもらうか…いやそれはまだ早いな。暫くは我慢するか。

次郎はカレーを掻き込んだ。
うまいなやはり。学生の頃はスープカレーなど無かった。メーヤウという店の辛いカレーしかなかったな…

店を出るとすっかり暗くなっていた。
さてと、今夜は久しぶりに文献を読み込むか。
次郎は穴八幡宮の方から早稲田大学に向かって歩いていく。いつもの高校周辺にはない大学街の落ち着いた雰囲気は次郎の足取りを軽やかにしていた。

先生、やっぱり早稲田が母校なのかな。今日は大学に何の用なんだろう…まぁいいか、これで今後話がし易くなるわね。
目崎は大隈重信像の背後から次郎が通り過ぎるのを見守っていた。


東京らっきょブラザーズ 早稲田
https://tabelog.com/tokyo/A1305/A130504/13040401/

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