加藤治郎

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吉川宏志『雪の偶然』書評

加藤治郎  本書は著者の第九歌集である。二〇一五年から二〇二二年の五五五首が収録されている。現実と修辞が高い次元で融合した歌集である。   言葉より狂いはじめし世にありて紅葉は何の内臓ならむ 「時代の危機と向き合う短歌」というシンポジウムに深く関わった吉川だから説得力がある。思いつきの発想ではない。思想+景という短歌の様式を踏まえている。言葉に先導されて世界が狂い始めた。政治家の欺瞞に満ちた言葉で現実に人々は死に追いやられている。共感できる。が、歌はそこで止まって

    • Stargazerに(2)謝罪、中島裕介さんに

      暖かい一日でした。昨日1月29日、私の代理人弁護士の事務所を訪問し面談しました。私の弁護士がその結果を貴方の代理人弁護士にFAXしました。ご覧いただきたくよろしくお願いいたします。万が一到着していない場合は、私にご連絡ください。 主旨は、私の弁護士がAさんの案件における代理人を辞任するというものです。昨日までは、双方の代理人弁護士による事前協議の実施中というステータスでした。民事訴訟つまり訴えを起こす前の状態は、法曹界でも決まった呼称はないそうです。 私の弁護士の辞任により、

      • Stargazerに(1)「短歌研究」授賞式の夜

        2023年9月22日、東京は雨模様だった。その日は、短歌研究社の四賞授賞式だった。会場は、講談社である。私は、短歌研究新人賞の選考委員として出席することになっている。 短歌研究社の授賞式だから、同世代の友人が多く集まるだろう。 そこで、私は、パリに旅立つ水原紫苑さんの歓送会を企画した。14時半から護国寺のVILLAGE MARCHEというカフェである。穂村弘をはじめ同世代の友人数名に声をかけた。「紫苑さん、パリいってらっしゃい会」である。会のあと、みんなで歩いて講談社に行く。

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          推しとショボンヌ祭3 パーティー 朗読の夕べ

        吉川宏志『雪の偶然』書評

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          推しとショボンヌ祭 2

          推しとショボンヌ祭 2

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          推しとショボンヌ祭 2020年1月20日

          推しとショボンヌ祭 2020年1月20日

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          推しとショボンヌ祭プログラム

          推しとショボンヌ祭プログラム

          加速する口語

                            短歌に口語が透して三十年余となる。短歌史としては、ライト・ヴァース期すなわち一九八五年以降ということになる。現在では口語は当たり前の表現となった。それゆえ危うさもある。  もともと口語の歌が求められたのは、自分の感情・気持ちを的確に表現するという真っ当な願いによる。文語では叶わないのである。口語への熱意があった。口語化と同時に新しい詩想を獲得したのである。新しい詩想のない口語短歌に魅力は乏しい。難しい時代になった。  口語の韻律の一番

          加速する口語