読書感想文『自由論』 著:J.S.ミル

2度目の挑戦で読み切る事が出来た。
1度目は2021年の初めあたりに読んでいて、3分の1ほど読んで挫折していた。
その時は、分からない単語や表現を一つひとつ詳細に調べて、自分なりのノートを作成しながら読み進めていて頓挫した。突き詰めようとすると気になる箇所が多過ぎて、その作業に疲れてしまった。
だから今回は、可能な限りライトに、しかし読解については怠らずに、という態度で臨み、読み終えることが出来た。もちろん書かれている内容をどれほど理解できたのかは不明であるし、この作品は何度か読み返す必要があると感じている。そういった意味で、生涯の友となり得る名著であろう。書かれている内容もまた、時間をかけて向き合い突き詰めるべき事柄であるからだ。

2021年といえば、コロナ禍がすでに煮詰まっており、前年4月に緊急事態宣言が初めて発令されて以降、「自由」とは何か、ということを改めて考えるようになった。
そんな折に、たしか古市憲寿氏がTwitterで呟いていたのを見つけて、この作品を読み始めた。その時は論文サイト?か何かのリンクにあったものを読んだのけれど、何せ読みにくかった。初めてこの作品に触れる方、もしくはそういったプラットフォームで読むことに慣れていない方は、電子であれ紙であれ、書籍化された物を入手することを強く薦める。
一応、はじめに読んだ際のURLを貼っておくから読んでみてください。書籍の入手はとても簡単なはず。


読んだ感想としては、19世紀のイギリスで書かれたものとは思えなかった。
コピーアンドペーストとはいかないまでも、この著作の中で為されている論考の多くが、今の社会、もっと言えば「SNSの隆盛からコロナ禍に突入した社会」を考えるにあたって、おおいに参考になるものだったからだ。
他者や社会との関わりにまつわる自由について、様々に論じられる。その中でも、「多数派の専制」という表現には痺れた。私の中で、「敵ではないが抗うべき存在」という曖昧だったそれを、分かりやすい言葉で表し、そのうえで必要な説明・論考を与えてくれた。

私事であるが、私はこの30代を過ごすにあたって、(意見の異なる者であっても)人との交流を増やしたいと思っている。現状それは全く上手くいっていない。しかし、この文章に書かれていたような「真理であるようなことも議論がなければ廃れ失われる」という事こそが真理であるならばと思うと、改めてやっていこうという気にさせられた。友達とは言わんから、話し相手を増やす試みを前に進めたい。

学術的な文章に対して感想を述べる行いも、もう少し上手くなっていきたい。
その為には、学び続けるしかない。知識を集め、知性を高め、それを言語化する試みを上手くやれればと思う。
この著作については、より多くの人に読まれるべきものだと断言できる。しかしまぁ、そこにはあなた方の自由意思が介在するわけですよ。それをこう、洗脳ではなく前向きに興味を持ってもらえるような、そんな文を書けたらと思ってやまない。


最後に、
「われわれはなるべく変わった人になるのが望ましい」
この文を引用して終わろうと思う。
自分の胸に深く刻み込むとともにこの言葉の意味をしっかり理解していけるように。
また、その様な想いを抱く人たちの1人でも多くに、この『自由論』が届き、思索を巡らす一助となることを強く望む。


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