見出し画像

藍坊主 半月酒場 "泡紡ぎのたび FINAL" 新江ノ島水族館 2023.02.03

とにかく、行けたことに意味があるライブだ。

藍坊主というバンドのうち、Vo.hozzyとGt.田中ユウイチによるユニットで、藍坊主が4人だった頃に「半月酒場」と銘打って、弾き語りをメインに活動している。
どこまでも自由な雰囲気で進んでゆく時間がとても好きだ。
風変わりな会場で行われることがあるのも特徴で、えのすいフライデーナイトでの開催は2度目。私は、えのすいフライデーナイトでの公演には初めての参加だった。以前にはプラネタリウムでの公演もあり、それもまた素晴らしかったのを覚えている。

この公演は、2020年2月28日に行われる予定だったものが一度中止になり、再度開催された。いわゆるコロナ禍が始まったのち、私にとって初めて中止・延期となった公演だった。
そこからのことは皆さんも経験があるかもしれないが、生きている意味を見失いかけるほどにはライブが無くなり続けた。
一昨年ごろからライブが再開されるようになり、私としても去年から再びライブに通い始めた。その中で、このライブが開かれることが決まり、チケットを確保し、無事に当日参加することが出来た。
嬉しいですよね、ほんとに。
だから、行けたことにこそ大きな意味がある。そして、とても素晴らしいものを見られた。

普段のライブとは全く違う流れ。
まず入場してから開演まで、2時間ある。
その間は、閉館後の新江ノ島水族館を見て回ることができ、各ブロックで3曲ずつ藍坊主の曲が流れていた。クラゲの曲を聴きながら眺めるクラゲたちは不思議な感覚があったし、ウズラが流れるエリアにペンギンがいるのも面白かった。
藍坊主の楽曲を使って行われる、特別なイルカショーも行われた。イルカって、ほんとすごいですよね。ショーが始まる前にも、おそらくショーに出てくるメンツが自由に泳いでいるんですけど、そのイルカ達がとてもしっかり人間の相手をするんですよ。その時間も含めてイルカショーって感じでした。マジであれは、もちろんショー本編も含めて、見ていて興味深い時間だった。

そして、本編。

すげえ!

相模湾大水槽をバックにしたステージ!
特にエイの存在感があり、演奏中もとても良いアクセントになっていた。水槽の環境管理のためなのか波が起こる仕組みになっているようで、またその波の音が良いんですよ。またここで見たいなと強く思わされた。
個人的には、席の真横にスピーカーがあり、演奏中はずっと90度左を向いていた。いつもはステージに向かって右を向くように構えるので、真逆。新鮮な気持ちでした。

演奏は、"クラゲ"から始まった。展示場では本物のクラゲを見ながら音源を聴き、ライブでは大水槽をバックにアコースティックの演奏を聴く。それを同日中にこなす得難い体験!
"星のすみか"では、色んな水槽にいたおよそ星型には見えない形で岩にへばりついていたヒトデたちに思いを馳せながら、生命のうたに沈みこむことができた。
久しぶりの演奏というMCの後に、"靄がかかる街"が演奏された。とても好きな曲。ココーノを聴き込むにあたって、一番入れ込んだ曲。私が行ったライブで聴ける機会が多かったからそこまで久しぶりな感覚は無かったのだけれど、調べてみたら2018年のフォレストーンのリバイバル公演以来だった。時の流れを再確認。またフルセットでも、今の藍坊主でも聴きたいという想いが強くなった。
恒例のカバーは、サザンオールスターズの"愛しのエリー"だった。サザンはベストアルバムを聴いたことがある程度で、私は通ってきてないのだけれど、歌とギターという構成がこんなに映える曲なんだなと驚いた。とても強さがある曲。暴れているようなメロディーが、大水槽をバックに壮大な広がりを持って襲いかかってくる感じ!
"テールランプ"では、客席にいた藤森さんも参加しての演奏。イケベ楽器のときとは違い、口ベースはなく、曲乗りと歌で魅了していた。どんなシチュエーションでも映える名曲だなぁと、しみじみ感じた。

新曲も演奏され、"たまご"というタイトル。私はまったく初めて聴く曲だったのだが、サビの解放感が素晴らしく、一刻も早く音源で聴きたい!これからの藍坊主も本当に楽しみで仕方がない!

アンコールの"いわし雲"では、新たな試み的なものもなされ、個人的にはとてもしんどくて面白かった。楽しかった。いわしの群れを横目に、俺はいわしじゃねえけど何物にも負けねえという謎の気持ちを込めて相対した。

繰り返すけれど、得難い時間・体験をさせてもらいました。ありがとう!
MCにあった、ファンの温かさの話も胸に来るものがあった。中止のアナウンスを、えのすいの人がわざわざ電話でくれて。「わざわざありがとうございます。こんなん言ってもあれですけど頑張りましょう。」と返したあの時の自分が、生き抜いたことが色々な意味で間違ってなかったなと思えた。


音楽体験は様々!
色んな場所で好きな音楽を聴きたい。そういう試みを、リスナーとしてどんどんやっていこうと決意を新たにした日でした。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?