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#小説
かつて、オーメの採れた地で
「なんだよ、あるじゃねえか、そっちにも」
右手を振る。百歩先で、制服連中から血が舞った。白い光。鏃が飛んでくる。当たりゃしない。駆ける。五十歩。斬る。二十歩。斬る。斬る。
「その変な弓にも付いてんだろ、これが?」
左手に持った石を食う。
色は白。味は、石だ。
不味い。
「オーメ」
最後の制服はそう言って死んだ。下半身が無いにしては頑張ったほうだ。
夕暮れ、裏道に転がる骸。こいつらはなんな
左道往殿 またの名を芒旦
「あんめい、いえぞす、まりや!」
冬の太陽にフランシスコの血刀が煌めき、腕が飛び、首が舞った。味方の綻びに、百姓牢人達の錆槍が突き込んだ。
まいろやな まいろやな
ぱらいぞのてらにぞ まいろやな
唄が湧き上がった。切支丹の一揆勢は、唄って駆けて、唄い死ぬ。怖けた味方が押されて下がる。そこに再びフランシスコの剣が襲いかかった。
ぱらいぞのてらとは もうするやな
ひろいなせまいは わがむねにぞ
鷲狩りの騎士団ホルガー・ダンスク
「ゲシュタポだ!」
誰かが叫び、俺たちは一目散に逃げ出した。灯りが消された。銃声。家具が倒れる音。
「逃げろーッみんな逃げろーッ」
銃声。銃声。バタバタと扉を押し合っている。ミケル、馬鹿野郎。お前も逃げろ。
隠れ家の外は森だ。ナチ野郎の懐中電灯が光の剣みたいに森を切り裂いて蠢いている。早く。早くここを離れよう。泥まみれになって這いずり、転がった。木の根がやたらと体にぶつかったが、痛みを感じてる
「まほうつかい」を探して
「私は魔法使いではないよ」
終生、私が「先生」と呼ぶことになる人は、困り顔でそう告げた。
年若い私は、夜通し馬で駆けてきた疲労で朦朧としながら、両の手をついてこう繰り返したのだという。
「大賢者アーヴィエリ様、どうか名高い魔法のお力をお貸しください。どうか、どうか」
目を覚ましたのは広間の長椅子だった。夜は明け、朝霧の美しい気配が窓から立ち込めてくるようだった。側には帳面を手にした先生がいた