人試し
ごめんなさい、私の貴方。私の死体があって驚いたことでしょう。この手紙を見つける頃には、私の体は霊安室に安置されているのでしょうか。それとももうお骨?
浮気の痕跡が作り物であることはすぐにわかりました。そもそも浮気って隠そうとするものでしょう?貴方ときたら、見つかるように、見つかるようにするものだから、私は可笑しくなってしまって、笑いを堪えるのが大変でした。
黙っていましたが、私には一つルールがあるのです。私の心を試そうとする人とは別れる、というものです。人が人を試すなんて、ひどい侮辱であり思い上がりだと私は思います。今までに付き合ってきた人はそれほど多くないけれど、それだけは厳しく守ってきました。ですから、今回もそうするつもりでした。
私は貴方に愛情を疑われた。私は貴方に裏切られた。なのに、困りました。私はまだ貴方を愛しているのです。こんなことは初めてです。貴方と別れねばならない。でも貴方を愛している。私の苦しみがおわかりいただけますか?
それで、こうなりました。あなたを驚かせるつもりはありました。少しだけ、復讐です。
どうか幾久しくお健やかに。私のことは忘れてもいいですが、できますか?