悪戯好きな守護霊

高瀬甚太

 その日は一日、不思議な日だった。
 早朝、通勤電車の車内で新聞を読んでいると、知らない老人から突然、声をかけられ、
「背中に白い糸が垂れていますよ」
と言われた。あわてて背中に手をやると、白い糸が手に触れた。この糸はなんだろう、そう思いながら糸を引っ張ると、引っ張っても引っ張っても切れることがない。そのうち電車が駅に到着し、背中に垂れる糸を気にしながら急いで電車を降りた。
 改札口を出て、事務所への道を急いでいるうちに背中を探ると、いつの間にか背中に取りついていた白い糸は、きれいさっぱりなくなっていた。
 それが発端だった。
 二度目の不思議は正午過ぎのことだ。昼食をとるために事務所近くにある総菜屋で弁当を買おうとした。いつもいる愛想のいいおばちゃんがいなくて、若いお姉さんが店番をしていた。
 「すみません。から揚げ弁当、いただけますか?」
 から揚げ弁当を指さして言うと、店番のお姉さんが困ったような顔をして私に言った。
 「もう一つ必要なんですか?」
 ふと手をみると、買った覚えがないのに私の手にから揚げ弁当がある。
 「あ…、うっかりしていました。お支払いします。おいくらですか?」
 「いえ、その弁当はうちのじゃありません」
 よく見ると、この店で売っているものとは弁当のパッケージも様子も違う。
 「失礼しました」
 それだけ言って総菜屋をあとにした。しばらく歩いたところで、お茶を買い忘れたと思い、再び総菜屋に戻った。
 店にいたのはいつもの愛想のいいおばちゃんだった。
 お茶を購入した後、
「先ほどまでおられた方は娘さんですか?」
と聞くと、おばちゃんは怪訝な顔をして、
「私、ずっとここにおりましたよ」
という。
 「でも、私がつい先ほど、この店に来た時は、若い娘さんが店番をしていましたよ」
 「編集長、夢でもみられたんじゃないですかぁ」
 総菜屋のおばちゃんは笑って取り合ってくれない。首をひねりながら総菜屋を後にした。
 事務所に戻り、弁当を食べようとすると、テーブルの上に置いたはずの弁当がなくなっている。どこをどう探しても弁当がない。キツネにつままれたような感じになって仕方なくお茶だけ飲んで昼食の代わりにした。
 午後三時を過ぎると、いつも私は体操をする。ラジオ体操のようなものだが、五分ほど体操をするだけでひどく体が軽くなる。その日もいつものように事務所の外へ出て体操を始めた。しかし、その日は体操をし始めてすぐに体がおかしくなってきた。鉛が入ったかのように体が重たいのだ。重たくて身動きが取れなくなった。
 その時になって私は初めて気が付いた。これは何かを知らせる前兆ではないかということを。以前にもこれと同じようなことがあったことをその時になって思い出した。
 あれは五年前の晩夏の頃だ。あの日も朝からおかしなことが立て続けに起きた。目を覚まして布団から這い出そうとしたところで、強い力で腰を抑えられ、起き上がろうにも起き上がれなくなった。仕方なく力をゆるめ、もう一度布団に横たわると、腰を抑えていた力が急に弱まった。気のせいだったのか――、腰を抑えながら私はその時、そう思った。だが、そうではなかった。正午が近づいた時間、椅子から立ち上がろうとした私は、椅子から体を起こそうとして急に腰が重くなり、そのまま立ち上がれなくなった。
 その時も立ち上がることをあきらめた途端、急に腰が軽くなり、自然に立ち上がることができた。何かの予兆だろうか、その時もそう考えた。だが、それほど深く意識したわけではなかった。単なる腰の痛み、疲労からきたものかもしれないと思い直したからだ。
 だが、三度目、今度は違った。喫茶店に行こうと思い、事務所を出ようとしたときのことだ。事務所のドアが急に開かなくなった。ドアを開けようと必死になって力任せにノブをひねって押してみるがそれでもドアは開かない。そのうち表の道路でけたたましいサイレンの音が聞こえ、悲鳴が轟いた。その時になってようやくドアが開いた。
 炎に包まれた喫茶店が眼前にあった。私が行く予定だった喫茶店だ。逃げ切れずに焼死した人が五人もいた。一瞬のうちに店全体が炎に包まれたため、逃げ切れなかったのだろうと消防官は語っていた。もし、私が予定通り、その喫茶店に行っていたら命を失っていたかもしれない。そう思うと寒気が走った。
 今回も同様の感覚があった。それで今日の私の予定を調べてみた。午後五時に阪急茨木駅近くにあるマンションに住むライターの池本忠雄を訪ねる予定になっていた。池本は無類の料理好きで、打ち合わせに伺う私のために料理を作ると張り切っていた。
 私は急いで池本に電話をした。
 「池本、火の始末に気を付けてくれ」
 そう言うと、池本は大笑いをして、
「大丈夫、大丈夫。今日はとっておきの料理を用意していますから遅れないように来てくださいよ」
そう言ってまた大笑いをした。
 何かが起こる。その予感に襲われた私は、予定の時間より早く池本のマンションに向かった。
 地下鉄堺筋線に乗ると、阪急茨木駅までは途中、淡路駅で急行に乗り換えて一本で行ける。私が到着する前に何かあればどうしよう……。焦る心を抑えながら、私は開閉するドアの前に立ち、池本の無事を願った。
 阪急茨木駅に到着すると午後四時三〇分だった。急いでホームを駆け下り、駅を出た私は、駅から五分ほどの距離にあるマンションを目指して走った。しかし、突然、足が思うように動かなくなった。一歩も前に進まなくなったのだ。
 腕時計の針が午後五時を指し示したとき、突然、ボーン!という大きな爆発音が聞こえた。驚いて目の前のマンションをみると、五階から火の手が上がっているのがみえた。池本も確か五階のはずだった。
 消防車が列をなしてマンションの下に到着し、救急車、パトカーも到着した。その頃になってようやく私の足が自由になった。
 やはり火元は池本の部屋だった。台所の火がそばに置いていたボンベに引火し、一瞬のうちに池本の部屋を焼き尽くしたのだという。
 不幸中の幸いで、池本はひどい火傷で重傷であったが、生命に別条はないとのことだった。娘二人はたまたまその時、コンビニへ買い物に出かけていて留守にしていたため九死に一生を得た。もし、私が時間通り池本のマンションを訪問していたら、どうなっていただろうか。
 誰が何のために今回の火事の予兆を感じさせ、なぜ私の命を救ったのか。いくら考えても納得のいく答えが得られなかった。

 こういった体験をした人が他にもいないか。調べてみようと思った。だが、あらゆる媒体を調べてもそういった例は見つけることはできなかった。やはり、これは私だけの特異な体験なのか。そう思い始めたとき、一人の女性に出会った。
 火事から数日後、池本の入院する上本町の病院に見舞いに行く途中のことだ。地下鉄谷町線谷町九丁目駅で降りて近鉄百貨店の方角へ歩いていた時、突然、背後から背中を押され前に転びそうになった。辛くもこらえて後ろを振り向くと、三十過ぎと思われる一人の女性が呆然と立ち尽くしていた。
 「すみません……」
 女性は小さな声で、いかにも申し訳なさそうに謝り、私に向かって肩まで伸びた髪の毛を揺らして深々と頭を下げた。
 どういうつもりで私の背中を押したのか、聞きたいと思い、女性に尋ねた。すると女性は、
「申し訳ありません。私もわからないんです」
と、もう一度深く頭を下げた。
 「もしかしたらあなた――」
 私はその女性に、今までにもこういった体験をしたことがあるかどうかを尋ねてみた。つまり無意識に考えてもみない行動に出ることはなかったかどうか、それを知りたいと思ったのだ。
 「はい、今までにもこういったことはよくありました。知らない人の背中を押すのは初めてですが、思ってもみない行動に駆り立てられることは幾度もありました」
 「そうですか……。もしよかったらそのお話をもう少し詳しく聞かせていただけませんか」
 女性が快く応じてくれたので、私たちは近鉄百貨店近くのパンを販売する喫茶に入った。
 正午を過ぎた時間だったので店内は混雑していたが、どうにか席を取ることができ、店内の一番奥に位置する席に座った。
 女性の名前は日向幸恵といった。白いワンピースがよく似合う面長の顔立ちが印象的な美人で、私の前に座ると、小さいがよく通る声で自らの体験を話し始めた。
 「ここ数年、おかしなことばかり起こるんです。誰に言ってもおかしいと思われるだけで、誰も信じてくれません。あなたに話しても、きっとつくり話だと思われるかもしれませんが――」
 「大丈夫ですよ。あなたの体験したことを詳しく話してください。私もあなたとよく似た体験をしています」
 「あなたもなんですか?」
 「そうなんです。あなたの体験とたぶん共通したものがあるはずです。それがわかればこの体験の原因となるものがわかるかもしれません」
 日向幸恵は意志の強い瞳に光を放って、私を見つめ、
 「わかりました。お話します」
としっかりした声で言った。

 ――五年前のことです。八月半ばを過ぎた日曜日の夕方、私は買い物に出かけるために自転車に乗り、スーパーへ出かけました。スーパーは自転車で七、八分のところにあり、自転車だと三分ほどで行くことができます。いつものように自転車を走らせていると、スーパーを目の前にしたところで前輪のタイヤがパンクしました。仕方なくスーパーまで自転車を押しながら歩いていると、突然、スーパーから悲鳴のようなものが聞こえました。有名な事件でしたからあなたもご存じだと思いますが、それが覚醒剤中毒患者によって起きた三栄スーパー連続死傷事件です。主婦ばかり七人が刺殺され、五人が重軽傷を負いました。自転車のタイヤがパンクしなければ、私もたぶん被害にあっていたと思います。
 でも、その時は、運がよかったぐらいにしか思っていませんでした。
 翌日、今度は会社の帰り道、電車を降りて自宅までの道を歩いていたときのことです。街灯がなくてしかも曇り空の暗い夜道でした。自宅までもう少しのところだったので、少し気が緩んでいたのかもしれません。背後から近づいてきたバイクに乗った男にバッグを奪われました。バッグの中には今日おろしたばかりのお金のほかに免許証、クレジットカード類が入っています。取り返さないと大変なことになる。そう思った私は、大声で叫び、夢中でバイクを追いかけました。半ばあきらめにも似た気持ちでバイクを追っていると、見失ったかと思ったバイクが道路沿いで転倒しているのが見つかりました。驚いて足元を見ると、私のバッグが目の前に転がっているではありませんか。
 そんなことが連続して続き、不思議を通り越して気味が悪く感じ始めた頃、霊能力者を訪ねて鑑定をしていただきました。何かに取りつかれている、そんな気がしたからです。
 霊能力者の鑑定は至極あっさりとしたものでした。
 「間違いなくあなたは霊に取りつかれていますね。ただしそれは守護霊と呼ばれるもので、あなたを守ってくれる霊です」
 だから心配しなくていい、と霊能力者は言いましたが、私にはそれが信じられなくて、霊能力者に尋ねました。
 「確かに守られている感じはしています。でも、何か不安なんです。このままで本当に大丈夫なんでしょうか?」
 霊能力者は、「あなたがしっかりしていたら大丈夫です」とあいまいな答え方をして明確に応えてくれませんでした。
 それ以後もその霊によるものと思われるさまざまな出来事が起こっています。特に最近になって、あなたをいきなり押したような、そういった行動を起こさせることが多くなり、幸い大事故には至っていませんが、いつかそうなるように思えて心配でなりません。

 「守護霊ですか」
 「霊能力者の先生はそう言いました」
 「何にしても霊に取りつかれて、その霊がどんな霊であれ、頻繁に目立った行動を起こすことは問題です。あなたが心配されるように、どこかで一度これを断ち切る必要があります。これは私にも言えることです。良いことと悪いことは表裏一体です。良いことが起こるからといって安心しているととんでもないことにつながりかねません」
 「では、どうすればいいのですか?」
 彼女の質問に私は、
 「どうですか、私と一緒に滋賀県に行ってみませんか? それもできるだけ早く」
 と答え、今度の日曜に滋賀へ行くことをすすめた。
 「滋賀県ですか?」
 「ええ、大津に著名なお坊さんがいます。そのお坊さんにアポを取りますので、一緒に行きましょう」
 日向幸恵は、面長の白い顔を紅潮させると、
「よろしくお願いします」
と深く頭を下げた。

 四日後が日曜日だった。その日、大阪駅の中央改札口近くで待ち合わせをすると、彼女は私より早く中央改札口近くで待っていた。私を見つけると、彼女は小さな笑みを漏らし、小首を傾けた。落ち着いた茶系の夏物のスーツがよく似合っていた。
 JR新快速に乗ると大津までは四〇分ほどで着く。新大阪駅を出たところで運よく席が空き、彼女を窓際に座らせたところで、私はこれから訪ねる住職の説明をした。
 「大津にある古寺で、川口慧眼という和尚は二〇数年前からその寺の住職を務めています。私が慧眼和尚と知り合ったのは、一〇年ほど前のことです。
 友人がひどい鬱になり、病院では手に負えないということで、友人の奥さんから相談を受けました。その頃、私は関西の古寺を取材していて、寺の住職にインタビューをするという本を作っていた。たくさんの住職を取材した中で興味を持ったのが慧眼和尚でした。仏の教えを中心にインタビューに答える住職が多かった中で、慧眼和尚は仏の話とともに、霊についての話を詳細にしてくれました。五〇代後半と年も若く、年齢より数歳若く見える住職は、人に取りつく霊についてさまざまな例を挙げて教えてくれたのです。以来、私は慧眼和尚と親しくお付き合いさせていただいています」
 そんな話をすると、日向幸恵も慧眼和尚に興味をもった様子で、早くお会いしたいと口にするようになった。
 大津駅で下車し、タクシーで山手に向かって坂道を走ると一〇分ほど走った急な坂の途中に「劉王寺」がある。
 それほど大きな寺ではないが、格式と風格を感じさせる独特の趣があった。タクシーを下車し、門の前に立つと、寺の小僧らしき少年が私たちの到着を待っていて、境内へと案内してくれた。
 庭も建物も贅沢なものではなかったが、清楚で飾り気がなく、自然と融合した造りであるところが慧眼和尚の精神を表しているようで好感が持てた。
 「いらっしゃい。久しぶりやね」
 もともと大阪生まれの大阪育ちである慧眼和尚の口調はバリバリの大阪弁である。丸顔で童顔、笑顔を絶やさない慧眼和尚にこの大阪弁がよく似合っていて、会う人すべてに親近感を抱かせた。
 今回、訪れた事情を克明に説明すると、和尚は小さく頷いて答えた。
 「二人の話を聞いて、一つだけわかったことがある。それは,悪戯な守護霊が憑いているということや。一般的に守護霊は、そういった人に感じさせるような動きはしないもんや。大きな力で人を守り、表に現れることはない。だが、二人の守護霊は少し違うようや。わしが一つ、二人の守護霊に話をしてみようと思う。ええやろか?」
 いいも何もなかった。それが目的で私たちは慧眼和尚を訪ねて来たのだ。和尚にそれを伝えると、和尚は大きくうなずいて、別室に私たちを案内した。
 和尚曰く、私と日向幸恵にとり憑いている守護霊は似ているけれども異質のものだという。したがって、私たちは別々に別室に入ることになった。先に日向幸恵をみてもらうよう、和尚にお願いをした。
 和尚の後に続くようにして日向幸恵が別室へ入って行った。別室は、お祓い所になっている。
 三〇分を過ぎて、日向幸恵が別室から出てきた。心なしか彼女の顔が明るくなったように見えた。
 「どうでしたか?」
 和尚はまだ別室に閉じこもったままでいる。私が日向幸恵に尋ねると、彼女は、
 「私の場合、守護霊を真似た新参の霊が憑いていたようです。その霊が時には私を救い、時には私を陥れようとしていたようです。和尚がそう話していました。ただ、取り憑いた霊を取り去るにはかなりのエネルギーを要するようで、和尚は体力を回復するまで時間が必要だとおっしゃっっていました」
「取り憑いた霊は完全にあなたから離れましたか」
 「はい、わかりました。私の中で叫び声が聞こえ、しばらくすると体が軽くなりました」
 晴れやかな顔で彼女が言う。その時、スーっと別室の扉が開いた。
 「井森くん、きみの番や。入ってくれ」
 和尚が少し疲れた様子で私に言った。
 別室に入ると、和尚が用意した座布団に座らされ、対面するようにして和尚が私の前に座り、野太い声でお経を唱え始めた。そのお経を聞いているうちに、胸が締め付けられるように痛くなり、頭がきりきりと痛み始めた。痛みは読経とともにさらに高まり、私は座っていられなくなった。思わず声を上げそうになると、和尚が私の膝を手の平でピシっとたたいた。すると少し、痛みが癒された。その繰り返しが一〇数分続き、私は気絶しそうなほどの激しい痛みと心地よい感覚の両方を味わいながら、いつしか別次元の世界を流浪していた。別次元の世界、それは私が今まで見たことのない風景で、色のない風と光だけの世界だった。その世界を私は流されるようにして彷徨っていた。
 「はい、静かに目を開けてください」
 和尚の声で我に返り、目を開ける瞬間、私の内部で奇妙な叫び声が聞こえたような気がした。
 「どない? ちょっとは変わったか?」 
 和尚の問いに夢見心地の私はうまく答えられなかった。
 「あんたに取り憑いていた霊も彼女と同じように守護霊を真似た新参の霊やった。ただ、彼女と違ったのは、あんたの霊のほうがあんたに固執していたということや」
 「固執していた?」
 「ああ、あんたに自分の存在を知ってほしいという気持ちが強かったということや。自分の存在をあんたにしっかり認識してもろうて、仲よくやりたかったんやろ。だから、なかなか離れへんかった。腰が重かったり、足がどうにかなったり、白い糸を垂らしたりして、あんたに自分の存在をアピールしとったんやな、あの霊は……」
 「そうですか、それを聞くと、なんだか寂しい気もしますね」
 「いやあ、だが所詮は守護霊のイミテーションや。どこでどう変わるか、わかったもんやない。お祓いしてよかったと思うで」
 和尚はそう言って疲れた顔に満面の笑みを浮かべた。

 和尚に礼を言って別れた後、私は日向幸恵とともに大津の町へ出て、琵琶湖の湖岸に立ち、暮れてゆく湖面を二人で見つめた。日向幸恵は安堵した表情で、私に何度も礼を言った。私もまた彼女に礼を言わなければならなかった。彼女の存在がなければ私は和尚を訪ねることはなかっただろう。
 湖面をみつめる彼女の瞳が憂いを帯びてさらに美しく見えた。私は高鳴る胸を抑えながら、「大津プリンスホテルで食事でもして行きませんか」と誘った。彼女は、明るい笑顔で、私を見つめ、「はい」と答え、それを合図に私たちは湖岸のその場所を離れた。
 <了>

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