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人生で初めて救急車に運ばれた話〜コロナなめたらアカン〜

先に言っておこう。重い話がしたいわけじゃない。

先日、初めてセルフで救急車を呼んで病院に行った。経験しなくても良いことを経験したが、経験して見えた景色が沢山。色褪せぬうちにこの貴重な経験をこのブログに残しておこうと思ったのだ。(ていうか今思えばもうネタなのです)

その日は朝からずっと調子が悪く、友人との約束もキャンセルした日だった。
深夜0 時、ついに熱は40度までに達し、手足が痺れ、トイレに向かうのもままならず意識が朦朧とし始めた。

朦朧とする意識の中で、1人暮らしの私はこのまま意識がなくなったらまずいと思い、咄嗟に人生初セルフで救急車を呼び出したのだった。

人間って強いもので、意識が朦朧としていても頭だけは冷静だ。
今思えば救急車が駆けつけるまでの間の用意が周到すぎた。

会社の連絡ツールには翌日の引き継ぎ内容を打ちつつ、メールツールは自動返信で不在設定(しかも緊急用にチームのメーリスを入れ、誰かが見落とさないようにしている)。
入院を覚悟していたので(結局即帰宅したけど)リュックに2-3日のお泊まり準備と、最近引っ越したばかりなので保険証の住所と現住所が合致しないと思い、公共料金の書類も一緒に詰め込んだ。晴れやかな退院姿まで想定して化粧道具まで一式揃えていた。

いや冷静すぎ!?!?どんな状況でも冷静になれることが長所でもあるが、そのせいで昔から周りに事の深刻さをうまく伝えられないことが多々ある。なので救急隊の方が駆けつけてくれた時、気持ちオーバーめの演技をしてた。(世渡り術だよね)なんてったって、大の大人が救急車を呼んじゃったんだから、もう後には引けない。

担架で運ばれてる間も冷静に「引っ越したばかりの新居なのにご近所さんこれ見てどう思うんだろ、、次会ったら気まず、、」と泣きながら思っていた。

とはいえ辛いことに変わりはなく、心強い救急隊の方々に身を任せていたら、あっという間に救急車の中だ。
高熱を出してボロ泣きしている患者にも容赦なく多くの細かい質問をしてくる。

「いつから熱出てる?」
「周りにコロナ感染者いる?」
「最後にご飯食べたのはいつ?」
「具体的にどんな症状出てる?」
「頭痛い?どのへん?」
「お薬はなんか飲んだ?何時に何錠?」

いや人気Youtuberに100の質問じゃねぇんだよ、、
辛いんだこっちは寝かせてくれ、、てかずっとタメ語やん、、

最低限の回答はするが正直内心では余裕がなさすぎてこんなことを思っていた。(助けてもらってる身なのにごめんなさい)

一通りの質問が終わり、救急隊の方の書類記入がひと段落ついたところで、「じゃあ熱測りますね」と体温計を脇に刺される。
これで私の涙の理由を、そして救急車を呼んだ理由を数字的に証明できるだろう。
そう思っていた矢先、体温計の音が鳴り、大人たちが頭上でこんな会話をしていた。

「何度?」
「37.1度」

低ぅううううううう!!!んなわけなくない!?
流石に救急隊の方々もおかしいと思い、あの手この手で計り方を変えて何度も試すが、とうとう36度台まで叩き出した。


「・・・・。」
車内に気まずい空気が流れる。
もしかして今私、36-37度程度で泣きながら救急車呼んだお騒がせ患者になってる、、?
もしかして私の家での計り方がおかしかった、、?盛大にやらかした、、?
考えれば考えるほど自信がなくなっていく。今自分の辛さバロメーターを一番わかりやすく伝えられるのはこの体温計だけなのに、、

救急隊の方もしょうがないといった様子で「書類には一番高かった37.1度と書こう」と会話していた。お騒がせ患者レッテルが貼られた瞬間だった。

結局病院に着いて計り直したら39度台だったので体温計が壊れていたことはちゃんと証明されたのだが、それまで気が気ではない車中だった。

緊急病院に着くと優しいナースたちが温かく迎えてくれた。
速攻でベッドまで連れていかれ、あっという間に体に点滴を刺される。なんだか心が落ち着いてきた、、でも涙が何故か止まらない。そんな中、ナースが私に話しかける。

「いつから熱出てる?」
「周りにコロナ感染者いる?」
「最後にご飯食べたのはいつ?」
「具体的にどんな症状出てる?」
「頭痛い?どのへん?」
「お薬はなんか飲んだ?何時に何錠?」

デジャブ!?!?何のための書類だったん!?!?
とにかくみんな書類を読まず、患者本人の口から情報を聞きたがるのだ。(ちなみに救急車では運転席の方と後部座席にいる方の合計2人に代わるがわる同じ質問され、それも疑問だった。)

まあまあ患者に適切な処置をするためなら細かい情報収集はしょうがない。多少のことは目を瞑って律儀に全て同じ回答をした。

泣きながら喋るのでマスクの下で鼻水が滑り台のごとく人中をつたってきた。
めちゃ不快なやつ。

「すみません、ティッシュいただけますか、、?鼻水かみたくて、、」
ナースに話しかけると「ちょっと待っててね」とその場を離れた。

が、そのナースがすぐそこで別のナースと話しているようだ。
「ティッシュあります?」
「いや、ないよ、ここには。どうして必要なの?」
「患者さんが鼻噛みたいらしくて。これとかどうですかね?」
「それ1枚4円だよ。」
「でもこれしかないんで、、失礼します」

私のところに戻ってナースが「はい、どうぞ」差し出してきたのは、厚みのあるガーゼとも言い難い艶やかな布のようなもの。明らかに医療関連品。
いや使いづらぁああああっ!!最先端医療の鼻セレブを庶民の鼻水でよごしづらぁああっ!!てかずっと会話聞こえてたよ!!!

そんなことを心で叫びながらも勇気を出して人中滑り台をつたたるMy鼻水を思い切り噛んだ。


ただこんなふざけたことばかり話してるけど、症状に苦しみながら一瞬見えた光景はナースの聖母のような笑顔。遅くまでしゃかりき働いてる人とは思えないくらい優しい笑顔で見守ってくれて、それがすごく心の支えになったのは覚えている。身を削って献身的に日々看護している医療従事者の方、本当に尊敬するし感謝してます。

なんやかんやで2,3時間点滴を打ったらだいぶ体も気持ちも軽くなってきたので、無事タクシーで帰宅し、深夜のドタバタ劇は幕を閉じた。

PCR検査の結果、案の定陽性で今も自宅療養中だが、正直コロナの症状をなめていた。ワクチン3回打ったって容赦なく辛い。いやワクチンを3回打ってなかったらもっときつかったかもしれない。何でも今のオミクロンBA5系統が異常な感染力で症状も長引きやすいんだとか。

苦しんでる間に多くの友達や家族、職場の方々に支えられ、自分は1人ではないということを実感できた。(連絡とってくれた人本当にありがとう)大事な人にはこんな辛い思いをして欲しくないというのが今の気持ち。
また自分は若いからこそ耐えれたものの、もし間接的に感染させた人がいたとして、その方がお年寄りだったら、と思うとまた怖いものである。

2年間3回濃厚接触者になっても3回陰性だったから調子乗っていたけど、感染する時は誰でも感染するということを身をもって知った。しばらくは家でおとなしくしていようと思う。引きこもりが勝つ時代が来たのだ。


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