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【一人暮らし】激闘 電球を交換するまで【大袈裟】

突然であるが、僕は薄暗い所で生きている。

これは比喩でもなんでもない、家の電球が切れているのだ。
それも1つや2つではない。ほとんどの電球が寿命を迎え、今生きているのは、机の上と、トイレと玄関だけである。

先日、とうとう玄関の電球も切れてしまった。
これは大変に不便である。外出の時、全ての電気を消しておきたいものであるが、机の上の電気を切ってしまうと、僕の家は真っ暗である。仕方がないので外出の際は暗闇の中、懐中電灯を使って玄関を目指さなければならない。非情に情けない。

こういったことを乱暴な人に言えば、早く新しい電球にしろ馬鹿野郎と言ってあばらの2,3本も折られるところであろう。
幸運なことに周りにそんな人はいないの。よかった。

僕が電球を変えなかった理由は3つある。
①めんどくさい
②お金がもったいない
③暗くても生きていけない訳ではない
しかし、玄関の電球が切れてしまい、さすがになんとかしないとなという気持ちになった。

そんな中、ある噂が僕の耳に飛び込んできた。
管理人さんに言えば新しい電球をもらえるかもしれないというのだ。
僕の家が普通のアパートであればそのような噂は鼻で笑って終わりである。
しかし、僕の住むアパートは、学生寮ではないが、食事つきの学生向けアパートなのである。学生向けアパートであれば、電球ぐらいくれそうなものだ。

よし、電球を管理人にもらいにいこう。そう思ったが、僕の頭の中には1つの不安があった。普通のアパートであれば電球は自分で買うものである。電球に関して、我がアパートが普通のアパートのスタンスをとっている可能性もあるのだ。

そのような場合、電球をもらいに行こうものなら、なんだこのずうずうしくて非常識なやつは、と管理人に思われるかもしれない。それだけで収まればいいが、管理人の心証を悪くすると、アパートで起こる全てのよくないことの容疑者になってしまうかもしれないのだ。

「騒音の苦情が入ったわ、あの非常識な○○君のせいかしら」
「最近ものがよく無くなるわね、あのずうずうしい○○君のせいかもしれない」
「近所の犬猫の不審死が多い、○○君に違いない」

大袈裟なようだが、まったく有り得ないわけではない。
これは非常の困る。だが電球が無いのも困る。
悩みに悩んだ末、僕は1つの解決策を思いついた。

めちゃくちゃ腰を低くして、電球をもらいにいくのである。

これはシンプルなようでとても効果的である。もしだめだと言われても、そうですよね~の一言で片づけられるのである。

いよいよ管理人との決戦の日、僕は緊張して管理人室に向かった。
「ダメだったら全然いいんですけど、電球が切れてしまったのですが、、、」
ここまで言うと、管理人は「どこが切れたの?」と言って新しい電球を渡してくれた。

あまりのあっけなさにあっけなさに僕は拍子抜けしてしまった。
今まで僕は何をしていたのだろうかと考えこみそうになったが、明るくなった部屋をみるとそんな気持ちも吹き飛んだ。

電球は部屋だけでなく、人の心も明るくするのである。







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