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『会って、話すこと。』について ④語り合う風景

本文を大胆に引用しているため、未読の方には #ネタバレ注意 であることを、まずお伝えする。

田中泰延さんの著書、『読みたいことを、書けばいい。』(以下『読み書け』)と『会って、話すこと。』(以下『会って話す』)は、必ずあわせて読むべきである。両書を読むことで理解が深まるし、何より著者への金銭的貢献が高まる。

そして、『読み書け』と『会って話す』は、『嫌われる勇気』(以下『嫌われる』)とその続編『幸せになる勇気』(以下『幸せになる』)を、親しみやすい角度からあらわした実践書というのが、私の本棚での位置付けである。


私にとって『嫌われる』に登場する「哲人」は田中泰延さんであると言っても過言ではない。ならばと思い立ち、哲人の脳内配役を田中さんにして読んでみた。

、、、行間に「知らんけど」があふれてへんな気持ちになった。



ちょっとやり過ぎた。脳内再生は妄想が膨らみ過ぎる。

気を取り直して『嫌われる』『幸せになる』の青年と『会って話す』の田中さんに直接会話してもらうことにした。

田中:会話は向かい合ってなされるもので、会話の本それ自体が、ダイアローグによって作られることは必然である。(『会って話す』P23)
青年:つまり、ソクラテスやアドラーが交わしてきたような対話を、われわれふたりで再現しようというわけですね? この小さな書斎で。(『嫌われる』P40)
田中:なにより会話によって我々はどのように幸せになれるのか、そんな話を始めたい。(『会って話す』P5)
青年:じっくり聞かせていただきましょう。(『嫌われる』P181)
田中:「ところで、リボ払いって利用されたことあります?」(『会って話す』P63)
青年:いま、なんとおっしゃいました!?(『嫌われる』P71)

いきなり雲行きが怪しい。

田中:本書を制作するにあたって、ダイヤモンド社の編集者で、あまりよく知らない人なのだが今野? とかいう人が、「会話術とか話し方の本は市場が大きいんです!」といかにも金欲しそうな勢いで言ってきた。(『会って話す』P150)
青年:......嘘だ!(『幸せになる』P204)
田中:本書のタイトルも『30秒で人を操り1億円稼ぐ超一流の雑談術が10割』にすれば500万部はいける。(中略)もし本書の表紙に違う題名がついていたらそれはミスプリントの可能性がある。急いでもう1冊買って確かめてほしい。(『会って話す』P150-151)
青年:冗談じゃない! そうやって人の心を操っているつもりか、この偽君子め!! そんな巧言にだまされるわたしではありませんよ!!(『幸せになる』P204)

青年は、ダイヤモンド社の関係者なのか。

田中:カワウソが成長したらラッコになる。ラッコが成長して、一定の大きさを超えたらビーバーになる。(『会って話す』P97)
青年:......先生、あなたはわたしをペテンにかけようとしている!認めるものですか、そんな哲学、わたしは絶対に認めませんよ!(『嫌われる』P47)
田中:その主張こそ「ツッコミ」であり、ツッコミの正体は「マウンティング」なのである(『会って話す』P99)
青年:ええい、このサディストめ!あなたは悪魔のような御方だ!(『嫌われる』P69)

すっかり田中さんのペースだ。もう少し続けよう。

田中:一方、他人の「ボケ」に対して「田中さん、おもしろい!」「超ウケる」「笑える~」などと手放しで称賛する人間のリアクションはどうだろうか。(『会って話す』P103)
青年:その「よくできました」という言葉に含まれる、上から見下すようなニュアンスが不愉快なんですよ。(『嫌われる』P197)
田中:審査員になってはいけない。(中略)あなたが他人に対してすべきは、さらにおもしろくするように話をつなぐか、できそうにないなら「ただ笑う」、それだけでよいのだ。(『会って話す』P105)
青年:おもしろい、続けて下さい!(『嫌われる』P200)
田中:審査員になってはいけない。(『会って話す』P105)
青年:......なんという結論だ。(『嫌われる』P165)

かみ合ってきた?気がする。

田中:ここで肝心なのが、会話に結論はいらないということである。よく「いいオチがついたね」などと会話を理屈っぽく終わらせようとする者がいる。また、ボケ行為をはじめたものに対して「で、オチは?」などと詰め寄るものがいるが、それはボールをうまく扱えない人間の哀しい遠吠えである。(『会って話す』P108)
青年:......いや、これは非常に重要な話ですよ。もう少し詳しくお願いします。(『幸せになる』P187)
田中:理想の会話とは、ボケにボケが重なって、もはやなにについて語っているか分らなくなる状態であり、会話の参加者全員が「今、なんの話をしてたんだっけ?」という状態になることである。(『会って話す』P109)
青年:おもしろいことを言いますね! ......それで?(『幸せになる』P187)
田中:それこそ人間が退屈で平凡な日常や、うっとうしい自己というものから解放されるひとときなのである。(『会って話す』P109)
青年:わたしからの解放!?(『幸せになる』P241)

話が核心に近づいてきた。

田中:なぜ人は勉強するのか? (『会って話す』P66)
青年:(前略)残念ながらどんなに知識を積み重ねたところで、その土台にある気質や性格は変わらないんですよ!(『嫌われる』P42)
田中:それは世の中の「おもしろい会話」「楽しく盛り上がる話」のほとんどが「知識」をベースにしているからである。(『会って話す』P66)
青年:他者がいて、社会があるから、学ぶべき「知」があると?(『幸せになる』P37)
田中:だから「知らないとなにもおもしろくないし、楽しそうな会話には入れない」のである(『会って話す』P66)
青年:たしかにそうでしょう。わかります、同意しますよ、その高邁な理想には。(『幸せになる』P39)
田中:それ以外のおもしろい話など、もうウンコとおっぱいの話しかないのである。(『会って話す』P66)
青年:ええ。ほとんど毎日、そのような光景を目にします。(『幸せになる』P51)
田中:ハートウォーミング!(『会って話す』P81)

青年の普段の環境が気になる。

田中:しかし、ここで覚えておいてほしいのは、「言葉の世界」に足を踏み入れると、「人は必ず傷つく」ということである。(『合って話す』P137)
青年:すべての悩みは対人関係の悩みである、というあの言葉にもつながるわけですね?(『嫌われる』P78)
田中:この世で一番大切なのは「人との距離の取り方」で、おかしい人のおかしさというのは人との距離の取り方のおかしさが100パーセントなのだ。(『会って話す』P180)
青年:ふむ、たしかに。(『嫌われる』P80)

青年、すっかり田中さんに心酔してきたようだ。

青年:そこも課題の分離だと?(『嫌われる』P233)
田中:(前略)締め切りは相手の都合です。編集者の都合です。(『会って話す』P205)
今野:それを二人の都合にするのがわたしの仕事です。(『会って話す』P205)
青年:つまり、愛とは「ふたりで成し遂げる課題」である。しかしわれわれは、それを成し遂げるための「技術」を学んでいない......そういう理解でよろしいですか?(『幸せになる』P235)
田中:対象を愛する方法には2つある。(『読み書け』P182)
青年:なんですって!?(『幸せになる』P240)

青年よ、そこは「あなたはアダム徳永か!?」だろう。いつの間にか1人増えてるし。

青年:ふっふっふ。それにしてもおかしなものですね(『幸せになる』P224)
田中:どう見ても異常ですわね。(『会って話す』P156)
青年:笑わずにはいられないでしょう。この狭い書斎で、むさ苦しい男がふたり、雁首そろえて「愛」を語り合おうとしている。しかもこんな真夜中に!(『幸せになる』P225)
田中:でも、それでいいんです。「こいつ怒ってるな」と思われるより、「こいつちょっと頭おかしいんじゃないか」と思ってもらったらいいんです。(『会って話す』P163)

青年、愛という言葉に恥じらいがあるのか。

青年:それで、なんの話をします? いっそ、先生の初恋話でもお聞きしましょうか? 恋に落ちた紅顔の哲学青年、その命運やいかに! .....へへっ、おもしろそうじゃありませんか。(『幸せになる』P225)
浅生鴨:そんなことより、会津の辛味噌って馬刺しに合うんですよ!(『会って話す』P68)
青年:ほう、新しいキーワードですね。なんですかそれは?!(『嫌われる』P226)
浅生鴨:行き先も目的も決めないぶらり旅、おすすめです。(『雑文御免』P49)
青年:ああ、混乱してきましたよ。......旅とはいったいなんの話です?(『嫌われる』P268)

青年、とまどう。ここで浅生鴨さんが出てくる私の脳よ。

田中:人と人が、会って話すことの究極は、一緒に旅をすることだ。(『会って話す』P240)
青年:誰も知らない「どこか」に!(『嫌われる』P280)
田中:二人は常に新しいものを見る。次々と経験したことのないことが起こる。(中略)他人と会って会話する時間は、実に「人生をともに旅する」ことではないのか。(『会って話す』P240)
青年:そのふたりで成し遂げる課題が......。(『幸せになる』P235)

旅の話がつながった!

田中:自分と相手のあいだにある孤独。それを認めたときに会話ははじまる。違う人と、同じものを見た時、二人のあいだに、なにかが生まれる。(『会って話す』P234)
青年:......尊敬と愛、ですね。(『幸せになる』P261)
田中
:相手のことでもなく、自分のことでもない。真空のような孤独でもない。いまこそ二人は、上を向いて話そう。(『会って話す』P242)
青年:......私も先生を信じます。歩きましょう、ともに!(『嫌われる』P282)
今野:行けたら行く。(『会って話す』P254)
田中:来れたら来い。(『会って話す』P254)
青年:それからまた、きっとまた、このお部屋を訪ねさせてください! そう、かけがえのない友人のひとりとして。もはや論破などとは申しませんから!(『嫌われる』P282)
田中:また会いましょう(『会って話す』P255)

会って、いい話ができたんだね。よかったね。しんみり。目からなにかが。年か。


何が言いたいかというと、読み連ねた本が自分の中で関連しあってくると、とても楽しいということ。

これも新しい風景。(なのか?)



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