見出し画像

だから僕もググらない

猫にこんばんは。

浅生鴨さんの「だから僕は、ググらない。」を読みました。140字では収まりそうにないのでこちらに感想を残します。最初に宣言しますが、私は浅生鴨さんの書かれた文章のファンです。直接にはよく知らないのでご本人の全てを愛しているわけではないのですが、書かれた文章が好きで底知れぬ魔力を感じています。

この本は、そんな鴨さんがどのように発想しているかを詳しく教えてくれています。

教えてくれるんですが、発想のぶっ飛び方がすごい。説明どおりに妄想したとしても、鴨さんの域にはとうてい追いつけそうにない。鴨さん並の妄想を職場でおっぴろげたら「変な人」になってしまう?!

でも、鴨さんもこの本で語っていますが、子供の頃ってそういう荒唐無稽な突拍子もないことを考えていませんでしたか? 大人になって忘れてしまっているだけかも知れません。

面白いのは、妄想を「技術」として説明していることです。

初心者とベテランの違いは経験の違いだ。(「だから僕はググらない」)

妄想も「経験」を重ねる必要があるんですよ、奥さん!

状況を変えられるアイデアはどこの組織でも必要とされているところ。「技術」として取り組んでみる価値があるなぁと、読み進めながら思うようになったのは、魔法をかけられたのでしょうか。


この本を読む前から気になっていたのは、そんな突き抜けたアイデア、妄想をどうやって具体的な形にするのかということでした。これについて、鴨さんが示してくれたのは、①とにかく書くこと(アウトプット)、②人に言う、③出来ないことは任せる、ことと理解しました。ウンウン納得。

特に「書くこと」は、アイデアを形にする出発点でもあり一番大事な行為だと、慢性の肩こりが改善するほど頷きました。

モヤモヤを味わっているだけでは、アイデアにならない。(「だから僕はググらない」)
アウトプットされていないアイデアは、存在していないアイデアと同じなのだから。(「だから僕はググらない」)

あと、書かれてはいませんが、おそらくもうひとつ大事なことは、最後まで作り抜くということがあるように思いました。


この本を読んでいて、いろんな人の著作を連想しました。私の趣味と妄想の範疇で紹介します。

「りんごかもしれない」 ヨシタケシンスケ」

真っ先に連想しました。発想の展開がすごく似ている気がする。絵本大賞もとっている有名な本で、大人も楽しめます。「ググらない」が面白かった人は見てみて!


「知的生産の技術」 梅棹忠夫

アイデアをとにかく書くこと、そのメモは綴じていない紙で作って後から並べ替える知的整理手法などが紹介されています。アイデアを整理して研ぎ澄ませるためには、とても有効な方法だと改めて感じました。


「すみません、ほぼ日の経営」。」 糸井重里・川島蓉子

浅生鴨さんはほぼ日との関わりも深いようなので、考え方がもともと近いのかもしれません。

毎週金曜日を「インディペンデントデー」として、一人で考えたり、自由に使ったりする時間に決めました。(「すみません、ほぼ日の経営。」)
質のいいアイデアを生み出すには「もっといいアイデアがあるのでは」と問い続けることが大切であり、それは決して集中力だけが生み出すものではないというのだ。(「すみません、ほぼ日の経営。」)

妄想し放題の時間を設けたり、集中だけがいいことではないといったり、面白いアイデアを生み出し続ける源には共通した取り組み方があるんでしょうね。今読み返すと鴨さんのための会社のようにすら思えてくる。

鴨さんの「技術」取得にいちばん大事なことは時間を作ることでしょう。忙しいと余計なことを考えていられない。妄想している時って、側からみると何もしていないように見えますよね。それを責めちゃいかんのです。何かしら作業をしていると仕事をしているような錯覚を覚えますが、そんなに大事な作業なのか振り返らなければ。何もしない時間を意識的に作ることが必要だなぁ。


「読みたいことを、書けばいい。」 田中泰延

田中さんの本で私が感じた主要メッセージに以下の言葉があります。

物書きは調べることが9割9分5厘6毛(「読みたいことを、書けばいい。」)
愛と敬意。これが文章の中心にあれば、あなたの書くものには意味がある。(「読みたいことを、書けばいい。」)

鴨さんの本は、ちょっとニュアンスは違いますが、調べることが基本であること、誠実であることを大事にしていることが感じられます。

ものごとは調べようと思えばいくらでも調べられるし、調べれば調べるほどもっと知りたくなってくるものなのだ。(中略)妄想は知っていなければ浮かんでこないのだ。
丁寧に磨き上げるというのは、誠実に仕上げるということだ。そこに嘘がないということだ。(「だから僕はググらない」)


浅生鴨さんご自身、「かも書店」という大量の選書をされるほど、たいへん本がお好きらしいので、ホントはもっといろんなものの影響があるんだと思います。

こういう連想をするのも読書の楽しみでありますな。

だから僕もググらないで連想した妄想をもとに感想を書くのだ。


あと、どうにも気になって仕方がないことがあるので追記する。ほぼ日の「インディペンデントデー」、関西出身者はやはりこう発音するのだろうか。


この記事が参加している募集

推薦図書