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【内部リーク】「外務省がIAEAにワイロ」 汚染水の放出根拠ゆるがす機密文書が流出 韓国市民メディアが報道

ーー日本政府と東電が狙う、福島第一原発の汚染水海洋放出。環境や人体への未知数な影響を前に、国内外で反対の声が強まっている。そんな中、韓国の市民メディアに、日本外務省とIAEAの癒着体質を暴く重大な内部告発が届いた。原発政策を揺るがす告発の中身と報道を巡る攻防を追った。(編集部)

翌日反論 外務省の過敏な対応 「無責任な偽情報流布」

7月4日、IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長が訪日した。日本政府関係者との面会や、福島原発の視察を行った。そして岸田首相は、グロッシから汚染水の放出計画への評価を盛り込んだ包括報告書を受け取り、IAEAの承認を得たと大々的に発表した。
だが直前の6月22日、韓国の市民メディア「ザ・探査」のメール宛てに、上に載せた3つの文書の画像が送られてきた。「ザ・探査」は、韓国を代表する探査報道機関だ。代表的な進歩派新聞を解雇されたカン・ジング記者が立ち上げ、気骨あるジャーナリストたちが集う、「市民メディアの突撃部隊」と言える存在である。
文書には「社外秘」と大きく書かれており、「外務省幹部Aメモ」というタイトルが付いていた。5月30日に都内のホテルで、浅川という人物(アジア開発銀行総裁の浅川雅嗣氏と推測される)と、外務省幹部Aが面会した際の録音の文字起こしだ。

告発文書1枚目
告発文書2枚目
告発文書3枚目

浅川…IAEAの最終調査も、心配しなくていいですか。
A…まぁ、直接的に言うならあれですが、IAEAがどのような調査を行うのは我々次第だから大丈夫です。
(中略)
A…しかし、私たちは彼らとの個人的な関係をより良くしています。フリーマン担当官と率直なコミュニケーションを取るために、私たちは相当な努力をしてきました。
浅川…お金を使ったということですか。国際社会でも政治献金が適用されているようですね。
A:そうです。
浅川…正確な金額は。
A…私が言えるのは、少なくとも100万ユーロ以上ということです。

IAEA(国際原子力機関)は、国連の保護下にある自治機関だ。原子力の平和利用の促進と、軍事利用の防止を目的としている。運営費は各国の分担金で賄われており、その中でも日本は多額の拠出金を負担している。日本の分担率は10%を超え(15年度分)、加盟国中第2位だ。日本はIAEAにとって「お得意様」だ。
問題の文書では、外務省がIAEAの職員に対し、「個人的な関係を良くするため」に賄賂を渡したことを証言している。100万ユーロは、日本円で1億5千万円ほどだ。IAEAの「中立性」には以前から疑問符が付いていたが、今回の件が真実であればIAEAの科学的権威は地に堕ちる。

浅川:報告書も問題ないとのことですか。
A:もちろん、報告書の結論は最初から絶対安全であり、すべで(原文ママ)の分析方法はこの結論に奉仕するんです。


報道の翌日、外務省は「外務省幹部とされる人物とのALPS処理水の取扱いについての面談に関する報道について」という文書を発表。〈外務省幹部がそのような面談を行った事実はない〉〈日本がIAEAに対して政治献金を行ったり、IAEAレビュー報告書の結論が最初から決まっていたり、第三国専門家が飾り物といったことはあり得ない〉〈このような無責任な偽情報流布に対し、強く反対する〉と反論した。
外国の市民メディア相手としては、不自然なほど素早い対応だった。


「絶対にない」 激昂するグロッシ

6月25日、内部通報者からザ・探査に、情報の二次提供が行われた。メールは英語で、3文書を放送してくれたことの感謝と、現在の状況について書かれていた。

ザ・探査のYouTube放送

 〈昨夜の放送の後、外務省の多くの職員は徹夜となりました〉〈(外務省は)躍起になってリークした人物を探し出そうと退職者まで調査して不安にさいなまれています〉
 〈岸田首相はグロッシーが7月4日に訪日すると発表しました。これは徹夜で下された緊急決定です。あなたの放送がグロッシーの6月末訪日予定を成功裏に延期させたのです〉
そして最後は力強い言葉で締めくくられた。
 〈法律で裁かれるかもしれませんが、私は恐れません〉
またメールには通報者本人である証拠として、写真2枚が添付されていた。それは7月4日にグロッシから岸田首相が受け取るはずの最終報告書の表紙と目次の画像だった。グロッシ訪日が予定されている段階で、日本政府が持っていてはいけない文書だ。これはテスト中にもかかわらず受験生が正解の回答例を持っていることと同じで、明らかな不正行為だ。そして実際にグロッシが岸田首相に渡した最終報告書は、内部リークされたものとほとんど同じであった。
グロッシは岸田と面会後、日本記者クラブで記者会見をした。ザ・探査のクォン・ジヨン記者が参加したものの、記者クラブの会員でないと質問の権利は与えられず、会見は予定調和のまま終了。
だがグロッシが退席する際、クォン記者が近寄って「1億円を受け取りましたか」と質問。すると最初は笑顔を浮かべてスルーしたグロッシだったが、何度も問い質されるとわざわざ戻って、「私は受け取っていない。絶対にだ」と語気を強めて答えた。
今回の内部通報によって、汚染水の海洋放出の科学的検証に大きな疑念が持たれている。一日も早い中止の判断と、岸田首相自らの説明が求められる。

(人民新聞 2023年8月5日号掲載)

<ザ・探査のYouTube放送はこちらから>
【230625】[要約本をダイジェスト] 日 外務省幹部, IAEA 幹部に贈賄! 証言 https://youtu.be/OZ5OujkvSI0 @YouTubeより


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