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狙われる「大阪府民のオアシス」 PMO方式の餌食となる 千里中央公園/服部緑地

 大阪府豊中市の千里中央公園に、「収益施設」(コンビニ・カフェ・レストランなどを想定)を設置し、「賑わい創出」という集客イベントを想定する方向で「再整備計画」が進められている。公共空間を民間業者に売り渡して収益事業化する「計画」は全国的な動きだ。維新の牙城である大阪で進む公園民営化の実態を報告して頂いた。 (編集部)


大阪府豊中市議会議員 木村真

 千里中央公園は、豊中市が管理する公園としては最大規模で、「ニュータウンができる前の千里丘陵はこんな感じだったんだろうな」と思わせる樹林と竹林に包まれた散策路がある。また、園内にある安場池は、たくさんの渡り鳥がやって来ることで知られており、特にオシドリは北摂エリアでは珍しいそうで、望遠レンズ付のカメラを持って多くのバードウォッチャーたちが訪れている。
 こうした緑豊かで静かな公園として、豊中市民はもちろん、隣接する吹田市民にも広く親しまれている。
 山間部がなく市全域が市街地である豊中市にとって、まとまった緑は大きな公園にしかない。いったいなぜ、緑豊かで静かな千里中央公園の中に、カフェだのコンビニだのを造り、集客イベントをやる必要があるというのか? そんなものは、公園の外にいくらでもあるではないか? 心底理解できない。
 9月から、数名の市民と「豊中の公園を守り育てる会」という名前で、再整備計画の見直しを求める署名を集め始めた。10月には、千里エリアに新聞折込で意見広告も入れた。そんな動きにはお構いなく、市は着々と計画を進めて事業者の公募を開始。11月、市職員のみで構成される選考会を経て、すでに阪急阪神グループ・ローソン・NTT西日本から成る合同企業体を候補者に決定したと発表された。3月末までの年度内に正式契約し、新年度から事業着手…というのだが、なぜそう事を急ぐのか? 
 事業者との契約は20年もの長期に及ぶ。契約終了後には、もはや「後戻り不可」、「回復不能」のダメージを受けている恐れもある。市民の貴重な財産であり、市が管理する公園としては最大規模を有する千里中央公園の未来を決定する重大な問題なのだ。にも拘らず「幅広い市民的議論」どころか、公園から徒歩数分圏内の住民ですら、計画についてほとんど知らされていないのが実態だ。
 千里中央公園だけではない。市内最大の公園・服部緑地(大阪府営)も、吉村洋文知事の肝いりで、大阪城公園と同じ「PMO(パーク・マネージメント・オーガニゼーション)方式」を導入することが決まっている。これは、公園全体を民間営利事業者の金儲けの手段として好き放題に使わせて、賃料を取る手法で、12月3日まで事業者の提案公募が行われていた。来年3月末までに事業者が決定される。
 北摂地域の近隣他市でも、同様な動きがある。高槻でも吹田でも箕面でも、Park—PFI(PMOほどの全面的なものではないが、民間事業者に商業施設設置を認め、見返りに業者の金で公園を整備させる手法)や、旧来の設置許可(カフェ・レストラン・コンビニ等を設置させて賃料を取る)で、公園内に商業施設を設置する動きが各地で次々と進められている。

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