創作ゲーム その6(言葉を開放し委譲する)
こんにちは。Jinmaruです。
前回で復元に成功した14曲のマスター音源を繰り返し聞きながら歌詞のupdateイメージを膨らませています。
そんな中、作詞という創作活動を通して思うことを書き綴ってみます。
という訳で、今回は歌詞における表現パターンについての考察と自分のスタンスの再確認についてです。
歌詞の類型は3種類に分類できる
私がこれまで触れてきた(聞いてきた)音楽における歌詞の類型って3種類に分類できるのかなと思っています。
これは個人的に好きなアーティストの曲でも街中に流れているヒット曲でもアイドルが踊って歌ってる曲でも当てはまるものだと思います。
本当はアカデミックな分類体系みたいなものがあるかもですが、素人創作家が勝手に思っていることなので気楽に読んでください。
勿論、下記の「例えば」も独断と偏見です。
私世代の10代の頃の代表である尾崎豊さんがとある時のライブMCで「オレが聞いていた曲」として挙げられていたアーティストで纏めてみました。
①メッセージ系
作詞者個人の思想や体験など正直で固定化されたメッセージに共鳴する。
・世界観がカッコいい。
・自分ではうまく表現できない心の代弁者。
・自分には無理な生き方や振る舞いだけど憧れる。
例えば、尾崎豊さんとか。
いつまでも世界観として憧れの対象であり、絵で例えるなら「風刺画」みたいな強烈な個性から放たれるメッセージを受け取っている感じです。
②歩み寄り重なり系
作詞者の思想や体験が聞き手側に歩みより重なることで共感する。
・自分の気持ちや経験と歌詞が重ねられる。
・等身大のメッセージ。
・この歌詞を見ると(曲を聴くと)あの頃の記憶が蘇る。
例えば、浜田省吾さんとか。
いつまでも自分の内面で色褪せず、絵で例えるなら「風景画」みたいに心が落ち着くような感覚で記憶に刻まれている感じです。
③委譲系
作詞者の世界観や思想が抽象化されて、解釈が聞き手側に委ねられる。
・同じ歌詞でも自分の心の在りよう一つで違う意味になる。
・作詞側から分離し、完全に自分の内側に取り込める。
・自分の知らない世界や思想に踏み込める。
例えば、佐野元春さんとか。
いつでも新しく向き合うことができ、絵で例えるなら「抽象画」みたいに、「今の自分」としてもう一度見てみたくなる感じです。
どれも好きだけど、一番と言われると「③委譲系」
それぞれに思い入れがあり、勿論、上記したアーティスの他にも沢山、心を動かされた歌詞に触れてきました(聞き手として)。
ここで少し「例えば」のアーティストへの思いを解説させていただきます。
①の尾崎豊さんは10代の頃の世界観としして強烈に憧れの対象でしたし、多感な時期における社会と自分との距離感や存在の意味なんかでとても影響を受けたアーティストです。亡くなられた時は本当に泣きました。
②浜田省吾さんはやっぱり恋愛的な共感や当時の自分の不完全さや矛盾みたいな課題意識がうまく重なっていた感じで、自分の軸となる人格形成の一部になってました。(ちょっと大袈裟か?)
数年前は友人に誘われてライブにも行ってきました。
もぅ、本当に声が全く変わらない!凄い。声の変わらなさで言うと小田和正さんか浜田省吾さんか、という感じですね。
そして、③の佐野元春さんでは初めて歌詞に「アート」を感じたのを鮮明に覚えています。それはそれは衝撃的でした。
「何ですか!これ?」「どう受け取ったら良いのですか?」みたいな(笑)
17歳になった私が生まれて初めてライブに行ったのが佐野元春さんの「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」というアルバムツアーでした。
このアルバム自体とてもアート要素が強い作品でしたので、ライブ見て更にステージアートの完成度の高さに大きな衝撃を受けたのを覚えています。
こんな衝撃もあり、抽象画の様に相手に解釈を委ねるような歌詞の表現手法の持つ奥の深さや多面性にどんどん魅力を感じるようになっていきました。
だから自分の書く歌詞においてもメタファーをやたら使ってみたり、あえて抽象化した表現で情景をぼやかしたりしてるようなものが多いなぁと、マスター音源を聴きながら改めて納得しているここ数日です。
何故なのか? と、なるほど。
では、何故「③委譲系」がそんなに好きなんだろうと自問してみると、若い頃に受けた衝撃とは別に一つ合点がいくことがあります。
私はこのnote上にもう一つ「ゲーム① No.2ゲーム」というマガジンを纏めているのですが、そちらの記事は主に仕事に関する内容を書いています。
その仕事というのが、いわゆる経営とかマネジメントとかの話であり、そちらの世界では「言葉の揺らぎ」は悪とされています。
経営やマネジメントをしっかり行うには曖昧な言葉や一意的に決まらない言葉を使うと混乱やロスが生じることになります。
それは経営として損失を意味します。
なので、メッセージを出す方としては、如何に効率的に全員が同じ解釈で腹落ちできる言葉を使うかが日々試されいるような世界です。
普段そういう世界で仕事をしている分、趣味であるこちら側の「ゲーム② 創作ゲーム」ではもっと言葉を自由に使いたい! 揺らがせたい! 解釈ははそちらに任せたい! という潜在的欲求があり、その欲求に掻き立てられる形であえて抽象度の高い言葉や相手に委ねるような言葉を使いまくっているのかもしれません。
いや、絶対にそうだな(笑)
自分から発する言葉を制限をかけずに開放する気持ちよさみたいな。
これは精神のバランスを保つための無意識の意識かもしれません。
そんな事を思いながら、今は14曲の歌詞を改めて書き起こしております。
それから、検査入院していたストラトキャスターも無事帰ってきていますので、少しピッチを上げて創作活動を進めていきたいと思います。
そういえば、相方から「新曲も必要ではないか?」と言われてるので、それも踏まえて頑張ってまいります。
本日は以上です。
ではまた近いうちに。
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