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獣になれない私たち #私の注目の人

日刊notersも9週目。水曜担当、遅れてしまい、日曜日の更新となりました。申し訳ない限りです。今週はテーマに対するアンサー、「注目の人」の選出にだいぶ苦戦してしまいました。。今回、私が選んだ注目の人は脚本家、野木 亜紀子(のぎ あきこ)さんです。

んっ!?三浦が選んだのが脚本家さん!?と思った方もいるかもしれませんが、野木さんを選ばせて頂いたのには理由があります。

自分自身、元々テレビっ子だったこともあり、中学生くらいからドラマにはまり、社会人になり立ての当初までは、毎週気になるドラマを1クールで4-5本は欠かさずといって良いほどに見ていました。

ただ、世のスマホシフトと、徐々に仕事が面白くなってきたのとが重なり、ここ数年はテレビを見る自体が減り、最初から最後まで見るドラマはほとんどと言って良いほど少なくなりました。

そんな中でも、最近見てきたドラマを振り返ると、面白いなと感じていたのが、野木さん脚本のドラマでした。ちなみに、野木さんがこれまでに担当されたドラマの脚本の中で、いくつか話題になったものをピックアップしていくと…(出典:Wiki)

・空飛ぶ広報室(2013年4月期、TBS)
・掟上今日子の備忘録(2015年10月期、日本テレビ)
・重版出来!(2016年4月期、TBS)
・逃げるは恥だが役に立つ(2016年10月期、TBS)
・アンナチュラル(2018年1月期、TBS)
・獣になれない私たち(2018年10月期、日本テレビ)
・フェイクニュース(2018年10月20日・27日、NHK総合)

等々、普段あまりドラマを見ない方でも、これは見た!というドラマがあるのではないでしょうか!?

なぜ野木さん脚本に惹かれたのか!?

野木さんの脚本の魅力を自分なりにシンプルに言うとすると、

日常の中に潜む人の感情の機微を、丁寧にきれいに等身大で切り出していること

です。

今クールでは「獣になれない私たち」という、ドラマの脚本を書かれているのですが、このドラマをつい先日、やっと最新話までまとめて見ることが出来、やっぱり僕は野木さんの脚本が好きなんだなと思わされました。。なんというか、じんわりと心の中に温かい気持ちが生まれてくる感じです。※以下、少し最新話のネタバレあり、ご留意ください

ドラマのイントロとしては、

とある住宅街にあるクラフトビールバー「5tap(ファイブタップ」を舞台に、ECサイトの制作会社に勤める晶(新垣結衣)と、その彼氏で大手デベロッパー勤務の京谷(田中圭)。
5tapsから近い場所で公認会計士・税理士事務所を構える恒星(松田龍平)と、元彼女⁉でブランドデザイナー呉羽(菊地凛子)。
京谷の元カノで訳あって京谷のマンションに住み続けている朱里(黒木華)など、
ドラマに出ている個性的なキャラクターそれぞれが少しずつ交錯していくラブストーリーのような、ヒューマンラブストーリー。

それぞれのキャラに癖はありつつも、現実の世の中のどこかに実在していそうな、、むしろ誰しもにある感情的な矛盾や、上手くいかないけど、上手くいかないだけじゃない、ちょっと切ないけど、ちょっと温かい。そんな雰囲気を感じさせるドラマです。

詳細な相関図もあるので、詳しくはこちらから
https://www.ntv.co.jp/kemonare/chart/

ぼく自身がこのドラマにじんわりはまっていったのが、主人公の晶(ガッキー)が、傍から見るとうまくいっているように見えるけど、実際は本音が言えず、色んな感情的矛盾を生きていること。そしてそれは晶だけではなく、登場するキャラそれぞれが、当たり前のように持つものであるという点。野木さんの脚本はこのそれぞれの描き方がとても丁寧なのです。

特に31日に放送された最新話(第4話)では、

晶(ガッキー)の彼氏・京谷(田中圭)が、呉羽(菊地凛子)と一晩過ごしたことが明らかになり、歯切れの悪い言い訳をする京谷に怒った晶は、行きつけのクラフトビールバー「5taps」で恒星(松田龍平)とヤケ酒をあおった流れで、京谷への反発心から、自身も浮気をしようと決心⁉し、
ほぼ自暴自棄の状態で恒星の家に向かうのですが(この時点で、彼女の感情としては、最大限感情に身を任せている)、結局は一線を超えないというものでした。

多くの視聴者がこのシーンをどう見たかは別にして、ぼく自身の中では、これは完全に自分自身も同じだなと思わされてしまい(浮気するとかそういうことではなく、最後の最後、理性が感情をコントロールしてしまったり、その先を想像する意識が先に働いてしまうという意味で)、完全に野木ワールドの深みにはまってしまったのでした。※だからこそ、一線は越えなかった晶が、朝一の銭湯から出てきて、朱里(黒木華)のもとに向かう、あのシーンの一歩踏み出せた気持ちも、なんとなくわかった気がします

世間的には人事として、人事ごった煮会を立ち上げたり、色々発信したり、やってる感はあったりするほうだと思いますが、つまるところこのドラマの晶と同じ。どこか振りきれない、獣になれない、自分を押し通しきれない部分があったりします。多分、自分自身のことを深く付き合ってきた人から見れば、言わなくてもその通りって感じなんだと思いますが。

野木さんの脚本に心を掴まれたのは、そういう自分自身の感情の機微をぎゅっと掴まれてしまったこと、そして背中を押してもらっていることが理由なんだと思います。

野木さん脚本のドラマにガッキーがたくさん出てくる理由

最後に、これは僕なりの勝手な意味づけなんですが、野木さんのドラマには今回の「獣になれない私たち」含め、過去4本もガッキーが主演をやっています。野木さんが脚本をつとめられたドラマは十数本なので、なかなかのペースだと思います。

・空飛ぶ広報室(2013年4月期、TBS)
・掟上今日子の備忘録(2015年10月期、日本テレビ)
・逃げるは恥だが役に立つ(2016年10月期、TBS)
・獣になれない私たち(2018年10月期、日本テレビ)

野木さんの描く世界感は、キャラクターの設定に幅はあれど、等身大でどこにでもいそうな、日常的にどこかにいそうな、いわゆる普通の人が多いです。でも普通って何なんだろうと。誰しもに個性があり、感情の機微がある。

そういう意味で、ガッキーという役者さんは、主義や主張の強い色を出すというよりは、淡い色だけど、でもはっきりと、色味のある。そんな役者さんなのかなと。そんな勝手な想像をしながら、ドラマを見てしまいました。。

野木さんがいつか企業や人事をテーマにしたドラマの脚本は書かれるときは是非お話したいなと思いつつ(だいぶ本気)、獣になれない自分の、なれないからこそ、感じた私の注目の人、野木亜紀子さんでした。ご本人に届きますように。

遅い時間帯になってしまいましたが、来週の日刊notersは私が設定したテーマ、#わたしを奮い立たせる言葉 です。日刊notersマガジン、今後もお楽しみに!


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