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読書記録|マルコ・ポーロ『東方見聞録』

読了日:2022年1月29日

 『東方見聞録』は複数の方が訳しているが、検討した結果、愛宕松男氏のものを拝読。正解だったと思う。

 1271年から1295年の間にマルコが旅をしたルートは、ヴェニスから現在の中国を横断し、沿岸に沿って南下、そしてスマトラ島などに寄りつつ、インド沿岸部をぐるっとまわりヴェニスに帰る。
 「見聞録」とは、見たり聞いたりしたものの記録。

 クビライ・ハンが即位していた時代のモンゴル帝国に、マルコは17年も使えていた。
 商人であるがゆえ、旅をした各国の主要な交易品などを詳細に記録してあり、それぞれの地域の特色を伺うことができ、歴史書とまた違った角度で様々な国の様子を知ることができる。

 マルコが語る「ジパング」は、日本だとか日本ではないとかの論争があり、本書の中ではマルコ自身が”人伝に聞いた内容”として数ページに記述されている。
 つまり、マルコが実際に日本を訪れたわけではない
 その中で、ジパングは人食をするという記述があるが、私が知ってる中では当時、中国大陸でも少なからず満州事変までは人食が行われていたため、もしかすると中国の一部の話と混同している部分があるかもしれない。はたまた日本でも実際にあったのかもしれない。
 その他の日本に関する記述は、金が多く採れたこと、蒙古襲来(「文永の役」と「弘安の役」)など、当時の出来事も書かれており、その辺りは事実とそれほど相違はないように見える。
 また日本人については「礼儀正しく穏やか」と記述されている。

 マルコ・ポーロが知った日本は、実態のわからない謎めいた島国であった。
 今はまた別の意味で謎めいた島国となっているかもしれない。


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