見出し画像

読書メモ:熊野純彦『西洋哲学史-近代から現代へ』

特色や基本的な構成は前巻とほぼ同じ。クセは強いが優れた読みモノである点もまた、しっかりと継承されている。

しかし、本書はやや尻切れで、現代までといいながら、ヴィトゲンシュタイン、レヴィナスあたりでブツリと終わってしまう。

そして前巻に比べると、哲学者ごとのトピック選定と原典引用と解説がややチグハグ感あり、書き方で難解さが増してしまっている感覚。

前半の大陸合理論・イギリス経験論まではとても良くまとめられているし、著者特有の濃密な描写も活きていた。ライプニッツあたりもそそられる。カント以降から、急に雲行きは怪しくなる。

個人的に知識が少なく、理解度が上がりきらなかったのも大きいが、必要な術語の定義が古代~中世に比べてかなり粗いことも一因だろう。

上下巻として通読するものではなく、それぞれ古代~中世哲学史、近~現代哲学史の入門書として読むのが良さそうだ。


頂いたサポートは、今後紹介する本の購入代金と、記事作成のやる気のガソリンとして使わせていただきます。