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【Design 3.0 の道標】じゃあ、Design1.0、2.0、3.0は何なんだ!?

今回はいよいよDesign 3.0 / 創造性のデザインについて、書いてみたいと思う。

そもそもデザインの対象領域が広がっているのは皆さんご存じかと思う。

出典:木浦幹雄著「デザインリサーチの教科書」

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そして私は、この図のさらに右側に新たな領域が控えていると思っている。
それが【Design 3.0】だ。

ここで私は
【Design 1.0】を「カタチ(有形)のデザイン」、
【Design 2.0】を「価値(無形)のデザイン」、
【Design 3.0】を「創造性のデザイン」
と定義させて頂きたいと思う。

私なりのイメージとしては下図だ。

Design 1.0 / 2.0 / 3.0

世の中(地上)に出てくる製品やサービスは、(多少の不満はあったとしても)基本的にデザイン/問題解決されたものだ。その基盤(地下)には三階層のデザインがあると思っている。

【Design 1.0】カタチのデザイン

その地下1階では、必ずカタチのデザイン【Design 1.0】が行われているはずだ。ユーザー使いやすくカッコいい形状、印象的な色彩などだ。それらは解決策のデザインに当たる。世間一般で「デザイン」というとこの地下1階のイメージがまだ強いだろうし、この領域しかデザインを行っていない会社も少なくないだろう。

デザイナーはスケッチブックやグラフィック系のソフトによって、カタチのデザインを行う。

その背景としては、産業競争がある。いかに同業の競合よりも目立ち消費者に好まれる製品やサービスを提供できるか。そのために外観を整えたり、企業の印象を整えるのがデザイナーの主な仕事だった。

【Design 2.0】価値のデザイン

さらに地下2階は、価値のデザイン【Design 2.0】の領域になる。解決策を創る前に何を解決するか、つまり何を課題として捉えるかが問題になる。それによってユーザーがどんな提供価値を得られるか、どんなすばらしい体験が得られるかが変わってくる。これはいわゆるデザイン思考の領域だ。

例えば飲食サービスを考えたときに、繁華街に店舗を構えて店内で料理を提供するのか、それともテイクアウトだけにするのか、はたまたドライバーを雇って自宅にデリバリーするのか、それぞれサービス提供者と利用者のコンテキストによって変わってくるだろう。

この領域では、デザイナーの道具はホワイトボードや付箋に替わる。ワークショップを開き、デザイナー以外のメンバーと協力してアイデア出しを行い絞り込みを行うはずだ。

もちろんデザイン思考が世に広まったこともきっかけではあるが、インターネットの普及を背景とした異業種の参入だろう。YouTube、Uber、Air B&Bなどそれまでの産業構造を変えてしまった。この時代においては、ユーザーの体験を根本から見つめなおし、”破壊的(ディスラプティブ)”なイノベーションがいくつも生まれ、歴史ある企業を退場へと追いやった。明日は我が身と真摯に受け止める企業が、事業の方向性を見つめ直すためにデザインを適用するようになり、一気に【Design 2.0】が広まったのではないだろうか。

【Design 3.0】創造性のデザイン

そして地下3階に創造性のデザイン【Design 3.0】が眠る。上の図では「チーミング」と一言添えているが、組織設計や風土づくりがその対象になってくる。製品・サービスにしろ、企業の方向性にしろ、いくらワークショップを行えど、参加者にクリエイティブなマインドセットがないと良いアイデアは出てこないし、自分のアイデアに固執したり、声の大きな人に引きずられてアイデアが偏ってしまうということが少なくない。それを防ぐための【Design 2.0】領域でのテクニックも存在するが、実際は付け焼刃に過ぎない。本質的には参加者のクリエイティブ・マインドセットを活性化させておく必要があり、そのための【Design 3.0】なのだ。

これは私がワークショップのファシリテーションを幾度となく行った経験を踏まえて感じた課題だ。社内で散々ワークショップを行った挙句、そこそこの結果で終わったしまったのなら創造性の領域に課題がある可能性が高い。

一方で、今後AIがどんどん進化して、テキストや画像・動画だけでなくさまざまなものを生成できるようになるだろう。そうなると創造的な活動はAIに任せて、人間はひたすらAIが作ったもののデバッグ(ソースは正しいか?権利関係は問題ないか?事故は起きないか?)を行うことになってしまう。AI中心の”人類総デバッガー時代”へと飲み込まれてしまう。もしかしたら大半のチームの業務はそのようなものになってしまうかもしれない。そうではなく創造的な活動を業務として行いたければ、【Design 3.0】は欠かせないはずだ。

ここでAIの話をするとズレていってしまうのでこれくらいにしておくが、今後Web3.0によってDAO(自律分散型組織)とよばれるより柔軟な組織形態が広まっていくと”組織力”がより問われる時代になると思っている。なぜなら、チームの成果は、メンバーの力量の単純な足し算かそれ以上の結果を生み出すことができるか、分散した組織で後者が可能なのかが課題になるからだ。

カギは”コミュニケーション”だ。ただ会話量を増やせばいいというわけではない。そこには3つのポイントがある。

  1. モメンタムを生み出す

  2. エネルギーを推進力に変換する

  3. アライメントを整える

この辺りはいずれ詳しく説明したいと思うが、ここまでの内容を表に整理すると下図のようになる。

Design 1.0 / 2.0 / 3.0 比較表

いずれにせよ【Design 3.0】は美しい形や素晴らしい体験を”直接”生み出すものではない。しかし、【Design 1.0 / 2.0】、さらにそれによって生まれる製品やサービスの土台となるものなので、【Design 3.0】がイマイチだとその上のすべてがイマイチということになる。

そのために必要なことは今後、少しずつ記事にしていきたいと思う。

次回、「VUCA時代における天才神話vs集団的創造性」
を書きたいと思う。ではまた。

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