見出し画像

18歳人口からたどり国立大学を中心とした受験指標をおおまかに見積もると…


はじめに


 大学をめざし集まる生徒たちをサポートする立場。おもに国公立大学に合格するためのめやすをおおまかにレベルごとに概算してみる。

 文部科学省(1)によると、18歳人口は114万人(2021年)あまりとのこと。年々すくなくなっている。

これをもとに受験関係の指標を概算したい。とくに国立大学を中心に進路を考える高校生たちや保護者のみなさんに目標だてに活用していただきたい。

もちろん、いまの高1生からは新課程となり、これまでとはちがう視点から入学生が選ばれる入試形態の可能性が予想されるので誤解なきよう。この記事内容にともなう結果に関しては自己責任にてお使いください。

国立大学に入るには

 文部科学省の発表(2)によると国立大学定員は9万5千人あまり。この数は2004年の国立大学独法化以降ほぼ変動していない。そこでざっと見積もってみる。

これから同級生100万人いるとすると10人にひとりが国立大学に入る勘定になる(卒校生はべつ)。さらに10人のうち4~5人は公立大・私立大や専門学校などを選択している。すでに高校入学時に高専を選んだ生徒もこちらにふくまれる。

国立大学進学者をいいかえると、おしなべてある県に2万人の同級生がいるとすれば2,000人、ある市の同学年5,000人のうち500人。市内の進学校ほぼ2校分におさまる。平均的なクラス40人のうち4人程度になる。

実際には


 もちろん実際には進学に志望者の集まる学校ならばこれより多くなり、就職を主とする生徒の多いクラスならばもっと少なくなる。

任意の100人の公立中学の同級生がいるとして、上位10番につけていれば高校進学後に国立大学に入れるかといえばさにあらず。とうぜんだが10番では国公立大学にようやくとどく位置だし、大学や学部を選ぶことさえおぼつかない。

あくまでもおおざっぱに示すと、その半分の5番以内でないと少なくとも国立の大学や学部(医歯薬学部以外)を選んで受験することはなかなか難しい。これはつねづね生徒たちを指導していて感じる。保護者の方々にもぜひ伝えたいポイント。

難関大に入るには


 大手の模試の受験者はざっと45万人前後。国立大学受験にほぼ必須とされる共通テスト受験者数に匹敵(3)。そして大学志願者数は66万人。卒業生も混じるので若干誤差をふくむが、これは同級生全体の約半分。つまり2人にひとりは大学や専門学校などを意識し模試を受ける。

もちろん母集団が違えば比較対象の結果は異なる。それを承知のうえで概算しよう。平均的な国公立大学の合格ラインはざっと見積もって上位10%、すなわち平均的な全国模試の偏差値でいうと60前半に相当。

おおざっぱな成績でみるかぎり、一般的な全国模試で上位3,4万人以内に入れれば、標準的な国立大学を受験対象にしやすくなるということ。したがって共通テストの平均点(4)ほどではほとんどの国立大学には届かない(5)(もちろん例外もあるが)。

これより上の偏差値の層はべつの難関校向けの模試を受ける機会が増すので、一概に比較できない。一般の模試で見積もるとすれば偏差値70以上、すなわち上位2%以内に位置しそう(さらにうえかもしれない)。いわゆる1万人以内で、ようやく難関校といわれる「旧帝大」といわれる大学が視野にはいる。

医学部、東大、京大に入るには


 そして国公立大学の医学部や東大・京大をめざそうとすると、上位1%を切りようやく目標が見えてくるぐらい。もちろん模試もべつのものを受ける。東大(理Ⅲ)・京大医学部をめざすとなるとさらに難しい。

逆にみると、医学部定員は私立もふくめると全国で9,300人ほど、そのうち国公立で5,400人。一方で東大・京大の全学部の総定員で5,800人前後。国公立医学部+東大+京大でざっと1万人。

このあたりをめざしている生徒を教える機会がある。受験を山登りにたとえると、このレベルには、たとえると頂上をめざすのにけわしいルートを選びがちな生徒や、頂上間近なのにあきらめて下山しようとする生徒が多いと感じる。あと1年前にここに来てくれていたら道案内できたのにと感じることが多い。

誤解しやすい注意点


 ここで注意してほしいのは受験生に卒業生(つまり先輩たち)が20%以上ふくまれる点。とくに高3の4月以降の模試ではこうした卒業生たちがくわわる成績が算出されるので、伸びているはずの現役生の成績が模試の結果では見かけ低下して見えることがある。

ほぼくりかえしになるが、1年入学を先のばしした先輩たちのなかに成績上位の生徒がふくまれている。難関大志望の現役生のうえにつみかさなる可能性が高い。

現役生はのこり期間でも伸びる余地が大きいといわれるが、これはあくまでも相応の努力したうえでのこと。

おわりに


 最近では新タイプの推薦入試が行われ、成績のみならず高校での実績や意欲を重視するようになりつつある。成績中位でも国公立大学に推薦入試で入学する生徒が実際にいる。

とはいってもよい成績をしめしつつ、そのほかの実績も上げてきた生徒をとりたいのが大学側の本音だろう。

卒業生が受験する場合、このところより手堅く受験校を選ぶ傾向がみられる。入試形態がさま変わりしている影響といわれている。そのしわよせにより現役生の受験も難しくなりそう。

参考文献


1)文部科学省 https://www.mext.go.jp/content/1413715_013.pdf
2)文部科学省 https://www.mext.go.jp/content/20200930-mxt_hojinka-000010154_11.pdf
3)ベネッセ https://manabi.benesse.ne.jp/lab/benesse/asses/moshi/qa/answer01.html#:~:text
4)河合塾
https://www.keinet.ne.jp/center/average/21_index.html
5)東進 https://toshin-gouhi.com/

関係する記事


 

#やってみた大賞

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?