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新科目「歴史総合」でさっそくとりくみはじめたこれまでとちがう学習サポート


はじめに


 本業の学習サポート。いまの高校1年生からカリキュラム内容が変わり、「歴史総合」という科目が新設され、すでにこの4月から授業がはじまっている。

この「歴史総合」。たんに日本史と世界史の近代史が合体しただけでなく、歴史の学習においてこれまでとは異なる視点をもとめられる。おとなのみなさんは、生徒たちが自分たちとはちがうものの見かたを、歴史をつうじて身につけようとしはじめているとぜひ気づいてほしい。

ほかにも「公共」や「言語」などの目あたらしい科目、ならびに「情報Ⅰ」という受験科目としてふえる教科など、日本の高校生たちの学習はさま変わりしそうな気配がする。

「歴史総合」を学習サポートするにあたって


 いちばんたいへんなのは従来ながらのいわゆる「塾」だと思う。講師の一方向のみでの授業や、暗記しなさい・覚えなさい一辺倒では2年半後の共通テストがおぼつかないのは明白。

この春からそういった「塾」で教えてきた講師たちはけっこう苦労されているだろうと他人ごとのように思う。一方、わたしの主宰するごくちっぽけな学習サポートの現場ですら、大幅に視点を変えないといけないなと感じている。

なかでも「歴史総合」という科目、これまでとはまるで見方がちがう。なかなかそのニュアンスを伝えにくい。例示しながら書いてみようと思う。

こんなふうにしている

 すでにセンター試験でも暗記一辺倒ではなくなりつつあった歴史だが、今回の「歴史総合」は、歴史科目への見かたがさまがわりしそうだ。

「歴史総合」では歴史上のあるできごとについて、人々がどんな考えに基づいて行動したかを、史実や資料をたどりながら考えさぐる。教育のうえでおろそかにされがちだった近代史をつうじて、社会科学的なものの見方の基本をまなぶ。

さて、じっさいにわたしの学習サポートでは下記のようにやりつつある。ちなみに「歴史総合」にかぎらず、着手した教科はどれも年度内に共通テストレベルまで段階をふんでちからをつけるのが目標。

生徒たちが学習につかう資料は高校のものはもちろんだが、なかには小中学校で使った教科書や資料集なども。きょうの新聞でもかまわないかもしれない。生徒(たち)とそれらの資料の見方、背景となる社会、意味していることを説明、考えてもらう。こうしてねらいのちからをやしなっていく。

こんなくふうも


 学力におうじて、よりわかりやすい資料をつかってもいいだろうし、時間のかけ方を調節してもかまわない。わたしのところは一定時間のサポートのなかで教科の壁をこえて教えることもあるし、急な変更もたびたび。

高校生たちは基本的にいそがしい。したいことができるように学習サポートの時間は、一般的な塾よりも短く設定し、むしろ自発的な家庭での学習を身につけ高校生活が充実してよりスムーズにすすむことを目標にしている。教科・科目の変更によってそのリズムをみださないように、より注意深くおこなおうと思う。

2年前ぐらいだったか、この新課程のニュースに接して、今回の改定は手間がかかりそうで大幅に変わりそうだと思った。

当面の課題


 どの教科にも手が入れられているので、新課程のはじまりはいつもたいへんだが、今回はとくにそれを感じている。なにしろサポートでつかう市販のテキストや問題集の製本が教科によっては追いついていない。出版社はどこもこれまでの勢いを感じない。それでも歴史総合に関してはわりと入手しやすい状態。

いちばん危惧するのは「情報Ⅰ」。いまのところ共通テストまでの段階を目標にしたテキストがほとんど書店にならんでいない。まったく置いていないところも多い。たずねても「さあ、わかりません。」と答える書店すらある。「地理総合」にかんしてもおなじ。

そんなぐあいだから年度内に共通テストレベルに仕上げる目標をあげても、解く対象の問題がろくすっぽ手にはいらない。わりと使えそうなのはいままでのセンター試験の過去問のうち、情報に関する内容のごく一部ぐらいだろうか。

とくに今後心配なのは、国公立大学の二次試験用の問題集。これらは試験に課されるとまったくの暗中模索。あと1年後だが過去問がなく赤本すら存在しない教科・科目が出てきそう。

おわりに


 これまでも「新課程」と呼ばれた波をのりこえてきた。でも今回の大波は油断すると飲み込まれかねない。うまく波に乗れて生徒たちが実力をつけられるように、そして希望どおりの進学を果たせるようにこちらも情報収集に努めないと。

さまざまな意味で転換点にきていると感じている。

#やってみた大賞

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