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長年の懸案:しぜんのみどりを描きわけるのはなかなか骨が折れるがおもしろい


はじめに

 思いついたらスケッチを外で描くことがある。スケッチが多いのだが、水彩で着彩する際にいつもとまどうのが草木のみどり。日が照るときとそうでないとき、昼間と夕ぐれどき、プロではないのでそんなにこだわらないでもよさそうだが、気になりはじめるときりがない。

そんなスケッチで長年懸案になっている色について。

スケッチにむく場所をさがして

 この暑いさなか、外の炎天下でじっくり絵を描こうというほどの体力があるわけではない。農業をしていたころでも炎天下にはくわを入れる作業などしない。これはあたりまえ。

ここを描こうと決めた場所で、光のぐあいがいいのは昼間が多い。そうなると猛暑の時期に描くのは基本的にあきらめざる負えない。写真だけのこしておき、のちの参考にする。

写真でながめるとやはりさまざまな木々の織りなす緑のあざやかさはやはりこの時期が格別。描きたいのに気候が許してくれない。この矛盾する状況はどうにもならない。

せめて描きたいなあと思う場所の近辺に描ける日かげ(理想的には座れる場所)をさがす。そこで描ければ最高。描いている最中だけは日かげであってほしい。

木かげのあいだから

 こうして外の昼間に木かげでスケッチするのは何より。もちろん水筒を持参するのは補水とともに水彩を描くうえで必須のアイテムだから。

スケッチには2B~4Bの鉛筆や細書きのサインペンをよく使っていた。山でみつけた立ち枯れしたささ竹の先をけずった竹ペンと墨汁をつかうことも。これがいちばんつかいよいし、おもったとおり強弱をつけた線の表現や独特の雰囲気がだせる。

やはり現場で色をのせるのがいちばんいいとわたし自身は思う。その場所で感じとれた色を紙にのせたいし、なにより楽しい。

色をのせはじめると水彩はあっというま。ものの2,3分で色をのせ終わることも。そのためには前もってパレットにおもだった色の絵の具をチューブから米粒大にだしておく。

水や筆が準備できているのを確認できたら、じっくり対象をみつめ直して、それっと筆をかえつつ淡い色をのせていく。

うすいいろから

 たいてい、うすすぎるぐらいに感じる色からすうっとひくように。すぐにつづけて背景の前後の色をこまかいことは抜きにして大胆にのせていく。ひととおり画面全体を着色する。そのあと全体の調子をみながらすこしずつ水の量をへらしていく。

こどものころはちまちま色をのせていったが、大学のころから大胆に。大きく筆をうごかしながらおおつかみで、明るいところと暗いところ、などとおおきくつかむようにおいていく。

下地につかう淡い色は決めていない。パレットにじゅうぶんな量のある絵の具なら何色でもいいと最近は思っている。

何色で描きはじめても、結局はいつもの自分の描く絵になっていくからふしぎ。ただし草木のみどりを描きわけるのにはまだくふうの余地がじゅうぶんありそう。

太陽の光を透かして見える葉の色ひとつとっても描きわけるのはむずかしい。たとえばタイトルの写真。こうした竹など陽のつくるさまざまな陰影のちがいはなかなか絵にできない。

みどりいろをもとめて

 小学校高学年のころから高校にかけてわりとこの水彩におけるみどり色の表現についてあれこれやってみたことがある。標準でついているビリジアンになじめず黄土色や茶色をまぜたり。

20歳をすぎたころに油絵をはじめた。するとコローの油絵では木々を黄色と黒色の混色であらわすという記載を目にした。参考にして油絵の具でそれを再現してみたり、黄色と青色の混色では彩度がおちていくので、あざやかな純色のシリーズの品番の絵の具を探しに店を転々としたり。

ほかの色でもそうかもしれないが、とくにみどり色は奥が深いなあと感じつづけている。

わが家の竹藪


おわりに

 やはりスケッチを外でするのはなによりたのしい。ひとりならば自由度がまして最高。なにより気のむくまま、つかいたいだけ時間をつかえる。

そして没頭できる。だから暑さ対策は必要だし、水は必需品。おにぎりのひとつでもあれば時間をわすれて描ける。

暑ささえなんとかできれば。

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