FMラジオにかじりついてカセットテープでくりかえし洋楽を聞いていたころ
(2023.12.4加筆)
はじめに
中学のクラスでは圧倒的に洋楽を聴く友人たちが多かった。わりと校則のきびしめの校風にもかかわらず、となりの教室にはカーペンターズのふたりのポスターがうしろの黒板のうえに貼ってあった。そのクラスのわかい担任教師もファンだったらしい。
さてわがクラス。となりの席の女子生徒のファイルにはおなじみのタータンチェックのコスチュームのベイ・シティ・ローラーズの雑誌の写真の切り抜き。そんな雰囲気にどっぷりつかりわたしが影響を受けないはずはない。ご他聞にもれずラジオにかじりついて洋楽を聴きはじめた。
きょうはそんな話。
友人たち
中学校はじつにいろいろなヒトがいるものだと日々感じていた。先輩たちをふくめて。それだけにさまざまな影響をうけるのはやむを得ないし当然かもしれない。休み時間には前の日に放送されたテレビやラジオの番組でだれがでたとか、おもしろかったとか。
部活にどっぷりでごくすくない余暇の時間にラジオを聴く行動はまさに級友たちの影響をうけてはじめた。いまはそれほどでもないが当時は洋楽がたいへん流行した時期。中学生たちが遠来の曲を知るのはラジオや音楽の雑誌。テレビではそんなに出てこない。
話の中心は
そんな番組や記事にせっする友人たちの話題はそうした新曲やアルバムのこれがよかったとか、「推しの曲はこれ。」とこちらがたのんでもいないのに、話をはじめるとなりの席のSさんとか。彼女はどこか遠くをみつめるように話す。はなしは休み時間ではおさまらない。授業がはじまるとそこで中断。
だれともへだたりなくコミュニケーションするほうで聞き役になりがちなわたしはようやくまわりの流行を知る。あまりに彼女が熱心にすすめるので思いだしてラジオでさがして聴いてみたことも。
わたしはへそまがり。その当時流行っていた音楽よりもすでに解散してしばらくたつビートルズの曲たちにはまった。これはよくありがちなのかも。いまのポップスの歌い手がいまだに影響を受けているとよく聞く。
(おりしもAI技術を駆使した新曲やアルバムがごく最近発売された)
曲あつめ
音楽を聞きたいときにいつでも聞けるのは当時はまずはレコード。でもLPレコードは当時で2,000~3,000円程度。かんたんに中学生の買えるものではない。そこでもっぱらFMラジオで毎週ビートルズの曲をながす番組に目をつけた。
ソニーのラジカセ(もはやなつかしいことば)を家のなかでいちばん電波をとらえられる場所にもっていき指向性のアンテナをいちばん音のはいる最適の方向にむける。カセットテープをセットして聴きながら録音ボタンを押すといった原始的な方法。
何か月かがまんづよく聴きつづけてようやく80曲ほどあつめた。つぎつぎにあらたな曲を提供してくれるこの週1度の番組に感謝しつつ、このグループの音楽の幅広さと斬新さにおどろいたもの。
せっかく授業で習いはじめたからと英語の辞書をもちだして歌詞を訳してみたが疑問符がうかぶばかり。まだ詞の意味を理解するには中学生ではどれもむずかしい。そののちにアバやビージーズ、スティービーワンダーなどいもづる式につぎつぎと知る。
音楽好きがあつまると
高校ではクイーンにハマる友人からむりやり「聞け。」とテープを渡され、べつの級友からキーボードのメンバーにならないかと誘われ、フォークギターを買おうと楽器店でカタログをあつめて買う一歩手前までに。
文化祭では演奏会があった。本番に出演するまえの予選が放課後に開催され出演数をしぼる。予想以上にたくさんのグループがあると知る。意外にも文化祭の本番よりもその予選のほうがおもしろく、3年つづけて聴きに行った。
思い出すときりがないがひとつだけ。昼ごはんを食堂でたべていると、「いまから度胸だめしをするから。」と予告なしの大声がひびく。有無を言わせずいきなりギター1本で歌いだす生徒。つづいて一同、手拍子と歓声に湧くといったことも。…どれもたのしかった。
おわりに
大学のころようやくウォークマンが登場して「音楽を持ち歩ける」サイズになったのはおどろきだった。しかしまだ買えない。
そのうちCDが登場。あっというまにレコードを凌駕していき、レンタル店を利用するように。このころから洋楽だけでなくJポップも選んで聴くように。MDに遷移していくのかとおもいきや廃れてしまい、iPod(こちらもいつのまにか…)を経ていまやスマホなどで聴く時代に。
いつも車中で洋楽を聴いていたので、こどもたちになじみの音楽のひとつになったらしくシカゴなどがいいとリクエストが出る。CDをのこしておいてよかった。
(ことし4月以来NHK FMでマニアックな「ディスカバー・ビートルズⅡ」が放送中)