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わかいヒトへのメッセージ

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小学生から中・高校生むけのよみものです。なにかしらヘンなおとながブツブツ言ってるなで読みすててもらえればと思い書いています。
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2021年7月の記事一覧

学校選びが変わった:知っておきたいwebで盛んな説明会の見るべき点

はじめに 各地の学校で学校説明会が開かれます。この状況下ですからweb説明会の形式がふえてきました。 あまたある学校に目うつりして、どの学校を選ぶとよいか迷うかもしれません。学校選択において、保護者の立場でどこに視点を置くといいでしょうか。 わたしの主宰する学習サポートで、保護者の方々への話する内容を一部紹介します。あくまでも自己責任にてご利用願います。 メジャーな視点 保護者の方ご自身がその学校に通うぐらいのつもりで、説明会での先生の話をよく聞いてください。わかりや

(ショートショート)自分のために石を拾う

はじめに ある時期から礼さんはそれをはじめた。たしか高校生の頃から。きっかけは何だったか思い出せない。 遠出をするとそれなりに記念になるものをと考え、手っ取り早く身近にあるものを手にとった、そのぐらいのことだったかもしれない。 旅に出るとかならずそうする。なかには週末の通勤帰りでもおこなうことがある。 外出先で じつはその行動とは石を拾うこと。決まった目的があるわけではない。そうしろとだれかに命じられたわけでもなく、新たな宗教でもない。 鉱物学や岩石学に詳しくもなく、

(ショートショート)山で作業する

はじめに 里山へ作業に向かう。奥に入るにしたがい、なたを手にして山道に覆いかぶさる草木を払いつつ進む。週はじめなのでまだだれも登ってないのだろう。 さて小竹を採っておくかと、道を左にそれて竹山に向かう。 静かな林のなか 長年の人々の往来で踏み固められた小道。ふもと近くなのでわかりやすくしぜんに奥の方へと案内してくれる。竹山近くのオオスズメバチのすみかに気をつけつつ、小竹をなたで片づけながらさらに奥へ。野菜の支柱に適した太さの竹をあつめていく。 鳥のさえずりに包まれ、山の

(ショートショート)再生可能な素材と動力を持つ車の開発

はじまり 完全なる既存の車の行き詰まりと、進んだとしてもガラパゴス化するしかない某国の自動車産業。起死回生のためのイチかバチかの車の開発に乗り出した。 再生可能な素材とは 納得の行く素材選びが大切。顧客の車を選ぶ目は厳しくその点で妥協はできない。そのコンセプトは再生可能なことと、もうひとつは安全性能。 この両者を合わせ持つ素材選びは難渋を窮めた。それなら時代のニーズですでに車は取って代わっているはず。そうならないのはそんな素材など見つかるはずはないとおおかたの開発者が考え

(ショートショート)モノの価値の変化

内容などに関してはあくまでもフィクションです。 リン酸の枯渇  まずリン酸肥料が枯渇した。世界中のリン鉱石を掘りつくしてしまった。そう、窒素・リン酸・カリの肥料3要素のひとつ。これなくしては作物の花や果実をつけることはかなわない。 花や果物がなくったって生きられるよ、という考えがあるかもしれない。だが、トマト・ピーマン、なす、かぼちゃをはじめ身近な野菜の多くは果実。それだけでなく多くの作物をつくるにはリン酸がなくてはうまく育たない。 さて、そうなると世の中の価値観は激変

(ショートショート)夏休みを前にして

学校に通う道 あと4日だ。ミカさんは小さくつぶやいた。この時期になるとカウントダウンばかりしている。高校の4階建ての建物が丘の上にだんだんと見えてきた。 周囲を同じ方向に歩く子たちも同じように思っているかもしれない。そんな雰囲気というか、わくわく感が各自のすこしだけ緩みかけた表情から読み取れそうだ。自分もそんな顔つきをしているのかもしれないな、と思いつつほほえんだ。 分厚いテキストの類は学校のロッカーに置くシステムなので、持参するのは文具、ルーズリーフとお昼ごはんの弁当の

(ショートショート)ひさしぶりの列車に揺られて

静寂のまどろみ  まもなく海が見える。家なみが点々としてきたあたりで首だけ窓の明るい側に向けたユカさん。カーブがつづくので列車は速度を落としていく。カタンコトンのリズムがゆっくりになり、同時に耳元にとどく音が小さくなった。 それとは逆に、車内の話し声が聞こえてくる。国どうしで相対して重要な貿易交渉でもしているかのように話の中身まではわからないひそひそ声。中年の女性どうしかなぐらいしかわからない。 とたんに車内の静けさをかき消すようにディーゼル気動車はエンジンの出力をあげ、

(ショートショート)理想の食事

食事づくり カナさんは自炊派。基本的に自分で料理を作って食べる。そうする理由は買い出しから食材まで選べるから。 一品ずつお気に入りを決めていく。これがなかなか楽しい。友人に話すと「へえ~、それってなかなか大変じゃない?」との反応。近頃は各料理の食材がパック詰めになった商品が好評で、味つけにも困らずにその友人はよく使っているそうだ。 たしかにカナさんもそれに類するものを使った経験がある。でも何かもの足りない。そうか、自ら食材を選んでないからかと気づいた。そしてあらためて食材

科学者として勉強の価値を考えた:藤井二冠の活躍と高校中退をきっかけに

はじめに 将棋の藤井聡太さんが活躍されているようすは数年前からファンのひとりとして注目しています。昨期の途中で高校をやめて将棋に邁進されているというニュースを耳にして半年ほど過ぎました。今も精進がつづいています。 ひとりの親として学習をサポートに従事し、そして30代で論文博士を取得した立場で、彼のニュースをきっかけに学校と勉強について考えてみました。 なにも学校や勉強を擁護する意図はありません。むしろ各々の人に学びのチャンスやタイミングがあることを記したいと思います。

(ショートショート)食事を作る人たち

はじめに 働くことが日常になり、この生活スタイルになってどのくらいになるだろう。こどもを学校に送り出しながらさえさんはふとそう思った。 仕事を持つことの意味をいそがしい日々に追われながら、毎日のように考えている。 さえさんの日常 身支度をそそくさと済ませると、さえさんは家のなかと外出に必要なものを念のためもう一度点検してから、家の入口のカギをかけて車に向かった。 きょうは週5日ある出勤日。彼女の仕事は、郊外にある職場向け食事サービスの調理担当。 自宅のある街の東端か