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つむぎ紡がれ日々は明日へ

前回も書きましたが、現在阪急メンズ東京にて開催中のTAGBOAT ART SHOWに参加しています。

私は基本的に「蓄積」を手法として作品制作をしています。それはひとえに現在とは違う時間を見る人に感じてほしいと思うからです。

そんなに急いでどこへゆくの?と私は世界のあり方に対してよく思います。色々な事象が矢継ぎ早に起こっては流れていくように見えていますが、9.11も3.11も原発も世界中で頻発する自然災害も、情報の速度や人々の忘れ去る速度と同じようには解決も収束もしていません。

現地で取り残された実感や感情、リアルタイムで等身大の辛苦だけが人目につかないところで虚しくわだかまっています。

今はCOVID19についての発言や提言を乱発するのが現在に生きていることの表明になるのでしょうが、本質的な速度を無視して流れる情報の表層である意味ネタ化されていく「危機」がなんだかままごとのようにチンケに見えるのは私だけでしょうか。

かといって私はしがない一市民ですから、世界を抜本的に救うスーパーパワーを持ってなどいません。できることは本当に小さな小さなことばかり。

まずは徐々に己のライフスタイルから見直し始めました。何も考えずに買ってしまうのではなく、出自がしっかりした、なるべく地球に負荷をかけない商品や食品を探すようになりました。

化学合成洗剤を使うことをやめ、安いプラスチック製品を買わなくしました。ペットボトルやビニール袋はもちろん利用しません。また生ごみは土に埋め、その土で野菜を育てています。

それでも私の生活はまだまだスッキリしないことが多いのですが、何事も少しずつ実現していくほかはありません。

ある見知らぬ人の世界の見方が変わり、その人が一般的に共有されている時間感覚から解放されたなら、私はその人に迷うことなく家庭菜園を勧めます。土の微生物層を想像し、自分の身体を組成するものを自分で育て、採種し、また土と対話し大きな循環の中で生きていることを実感することは、本来わたしが作品制作を通して伝えたいと思っている世界との対峙の仕方そのものなのです。

この世界があらゆる意味でもっともっと多様であることに、たくさんの人に気がついてほしいと思っています。多様性と一言で言ってもその多様性は言い表すことはできません。その理解に人生を投じるために、私はアーティストという一つの生き方を選びました。

一つ一つの展示を通して、一体いつになったら私が本当に伝えたいことを伝えられるようになるのか分かりませんが、少しずつ少しずつ私は変化しています。それはまるで冬越しの野菜のようです。または春を待つ木々のような構えです。

自然には私たちの生き方のヒントや在り方の本質、幸福感の足掛かりがあると私は常々考えています。COVID19を取り巻く明らかに情報過多な様子も、そもそも情報としてウイルスを扱っているところに大きな問題が手付かずのまま残されていると感じます。

さて、前置きがだいぶ長くなってしまいましたが、、今回はそんな私の日常におけるひとつの幸福な瞬間を紹介したいと思い書き始めたのでした。

それは採種です。タネをとること。本来は採種と播種、育苗と順を追ってご紹介していきたいところですが、画像記録が追いついていないためマリーゴールドの採種とかぼちゃ(南部一郎)の採種をご紹介します。

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まずはマリーゴールドから。冬になって放っておくとこんな感じで枯れてきます。採種の基本は「熟し」なので、限界まで摘まずに放っておきます。種の部分があまり濡れたりしない方が良さそうですが、どっちみち冬は降雨量が少なく乾燥しています。私は基本的にズボラなので、何事につけ放任がモットーです。それに、家庭菜園を勧めると大概言われる「時間がない」という答えに私なりの応えを示したいというのもあります。何事も無理せず等身大で良いのです。

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摘み取った花の先っぽを掴んで引っ張ってみると、種がまとめて抜けました。この一つ一つの薄っぺらい黒い部分に、マリーゴールドという植物の情報が全て詰まっているということに、本当に心底驚かされます。考えてみれば、私たち人間も最初は顕微鏡でしか確認できないほどの小さな遺伝情報の塊です。無意識ながらも生命の不思議を理解しきったような面をしている人があまりに多いこの世の中ですが、大いなるソクラテス様の「無知の知」への道程の一端がより偉大にして極小の植物の種子に垣間見えている、というのは言い過ぎでしょうか。

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次にご紹介するのは南部一郎です。鶴首かぼちゃという種類で、栽培地は主に岩手県です。岩手県の米農家さんが秋の刈り入れ後の収入源になるようにと開発されたかぼちゃです。現地ではなんと糖度15度以上というマンゴー並みの糖度になってからしか出荷しないというブランド野菜です。

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タネを傷つけないよう注意しながら半割りにし、タネをよく洗って乾燥させ乾燥剤を入れた容器などに入れ、冷蔵庫で保存します。タネは基本的に採れたその年に使いきるのが良いらしいですね。発芽率が落ちるため。

去年は完全放任栽培ながら、たった3本の苗から30個もの実が採れました。うまくやれば1本の苗から30個も着果するとか。普通のかぼちゃは1本から2,3個らしいので、多収穫という面でもおすすめです。また、よく栽培されているかぼちゃは夏に収穫するものが多い一方、南部一郎の収穫時期は9月〜1月なので採種する際にも交雑の心配がありません。

さて、今回も長々と最後までお読みくださりありがとうございました。(いるのか?笑) 最後に、去年の記録を見ながら今回のnoteを閉じたいと思います。

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やはりこの指先程度のタネに南部一郎という生命情報が全て詰まっているとは、、改めて人知を超えた生命の凄みを感じます、、。


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