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まずい!ピンチの時に社長がやってしまいがちなことは?

急に古参の社員がごっそりやめてしまった、売り上げが急に激減した、会社のお金を持ち逃げされた、などなど会社を経営していると色々なことが起こるものです。そんな時に何をするべきか、どうサポートしたら良いか、まとめてみました。

■ 犯人探しではなく善後策が優先

困った事態が起きた時に、人は【なぜ?】と考えるものです。どうしてこうなった?何が悪い?と。それは、また同じようなことが起こるのが怖いからです。異常な状態は正したいですし、問題を排除したいという気持ちもあります。ですが、犯人を探したり罰したりすることは、それが他のメンバーを守るために必要な場合を除いて、後回しです。最初にしなければならないのは対処の方針を決めることと、優先順位を決めることです。

状況にもよりますが優先順位は、①被害の拡大を防ぐ、②被害の影響範囲へのフォロー・修復、③原因究明・対策、となると思います。火事になったら火を消して、片づけて、原因を考えよう、ということですね。まずこの①~③をごちゃごちゃに考えないことが大切です。「起こったことへの対策」と考えると全部がごちゃごちゃになって、優先順位が高いことに着手するのが遅れます。①のためにはまず、状況を正確に把握する必要があります。人づてでなく、なるべく多方面から状況を把握したいものです。その後②に移ります。ただ、顧客対応がある場合は抜本的な原因究明がセットになることがほとんどです。二度とこのようなことは起こしません、と言える必要があります。

③に関しては、誰が悪いのか、もしくは誰が「一番」悪いのか、という話しになりがちです。まあ、これは不毛なのでやめましょう。悪かったのではなく、上手くいかなかったのです。もう10年以上前になると思いますが、部下が書類を出してくる時に間違えていることがありますよね。日付とか数値とか。それで、ここはこうじゃない?とか言って相手に直してもらいます。その時に僕は直してくれた人に「ありがとう」と言って受け取っていたのですが、当時の先輩にとても怪訝な顔をされたのです。「え?間違ったの直したのに、何でありがとうと言うの?あり得ない。」と言うわけです。僕は間違ったことを別に悪い事だと思っていない。修正すればいいだけだし、間違いが起こらないようにするのは全体のマネジメントの問題だと思っている。だからこの差は、なかなか埋まらなかったのを憶えています。

■ 残されたものに希望がある

例えば売り上げが減ったり、人が去ったりした時に、「何が悪かったのか」と考えるのが普通だと思います。しかし、一方で「今残っているものはどうして残ってくれているのか」と考えることにヒントが眠っていることもあります。昔ある専門学校で、バブル後から毎年数百人程度応募して来てくれていた学生たちがリーマンショックを境に半減して200人を切り、翌年更に半減して100人を切り、更に次の年50人近くまで落ちた事がありました。競合の他の高校もありましたし、そもそもそれまであまり何もせずに伸びていたので、自分達の情報の打ち出し方も整理されておらず、やるべきことは色々ありました。だけどそこで校長が真っ先にしたのは、今年入学してくれた生徒たちに、本音で「どうしてうちに来てくれたの?」と聞くことでした。実はその学校はカリキュラムというよりも競合の中で一番安く、すぐに仕事に入ることができた。だから、片親家庭の生徒さんが大半だったのだそうです。校長はそこからすぐに同じような子たちがいると思われる中学校に直接出向き、部活の顧問を口説き、学校説明会では親子を完全に別室にして子供には先輩の専門校生と親しい雰囲気の説明会をし、親には校長自らお金の話しと今後の仕事の見通しについてがっつり語る(笑)。

これで専門学校は生徒数がV字回復しました。この例はピンチの時に何をすべきか教えてくれます。校長先生は募集が落ちた原因を分析したりしませんでした。まず、自社のリソースを把握し、何にニーズがあるか把握する。そして行動をそこに集中し、人海戦術で濃くアプローチする(これはランチェスター戦略に沿っています)。まさに活路を切り開くためのお手本だと思っています。

■ 表向きに吐き出せない辛い気持ち

経営者にとって難しいのは、驚いたり悲しんだりという反応をそのまま見せるわけにはなかなかいかないということ。感情のコントロールを失したり、取り乱したりすれば、部下の信頼低下につながりますし、問題の渦中にあった関係者がいるなら傷つけることになりかねません。そのような事態を予見していなかったのかと、先見性を問われることにもなるかも知れません。とはいえ、ショックを受けているということ自体は口にしたり伝えたりすることができます。きちんと言葉を選んで伝えられるためには、自分が冷静に事態を見ることができる必要があります。その手助けをできるのが外部のサポートです。試しに、思いついたことだけれど、と話してみて外に出してみてそれを改めて見直すことができるからです。

無くしたものを悔んだり惜しんだりしないことにも、手元に残ったものの可能性を信じることにも勇気がいります。それが出来るように経営者を支え、光を提示してあげることが我々の仕事なのです。

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