【物流】労働力の減少

前回はこちら


今回も前回と同じ本の内容からです。


物流の危機について、その原因として

①荷物量の増加

②労働力の減少

前回は①について紹介したので、今回は②についてです。

労働力の減少

そもそも、運送とはトラックを運転しお客さんに荷物を届けるドライバーがいないと成立しない商売です。なので、ドライバーが足りなくなることは会社の存続に直結します。

実際には、大阪から東京まで大量の荷物をまとめて運ぶ長距離トラックのドライバー、それぞれの営業所からお客さんに荷物を届けるセールスドライバー、さらには営業所などで荷物の積み替えの作業員など、運送業には大量の労働力が必要です。

そして、宅配便の需要は変動が大きく、特に7月、12月の需要は非常に多くなります。お中元やお歳暮、最近ではボーナスのタイミングでネット通販で買い物をする人が増えたと考えられます。

そのピークに対応するため、派遣の労働者を雇ったりしていますが、最近ではその確保も難しくなっているどころか、恒常的に労働力不足となっているのです。

労働力不足の原因

なぜ、運送業界で労働力の不足が大きな課題になっているかというと、まずは日本全体の少子化の問題があります。

少子化によって、日本全体での労働力が現象しているので労働力の確保が難しくな流のは当然です。

しかし、自動車運転者の有効求人倍率は、全職業の有効求人倍率と比較しても非常に高くなっています。2017年で全職業の有効求人倍率は1.3~14倍なのに対し、自動車運転者の有効求人倍率は2.6倍ほどになっています。つまり、他の業界と比べても異常なほどに成り手が少ないのです。

さらには、有効求人倍率が増えているのに、求職者数は減少を続けているのです。これは少子化だけではなく、若者の自動車離れも要因となっています。そもそも仕事のできる免許を持つ人が減っているのです。


もっと大きな問題は、物流業の労働条件が劣っていることです。2015年の全産業の実労働時間は 145(時間/月)ですが、運送業は 186(時間/月)です。それなのに、全産業の現金給与額が 31万4089(円/月)に対し、トラック運送事業は30万3773(円/月)となっています。

つまり、トラックドライバーは平均よりも長時間働いているのにも関わらず、平均よりも低い給料なのです。この労働条件がよくならない限りはドライバーの不足は続くでしょう。

トラックドライバーの成り手が少ないため、ドライバーの高齢化は急速に進んでいます。2015年には60歳以上のドライバーが15%、50代が23%となっています。また女性が活躍できる環境も整っていないため、女性ドライバーは2%ほどです。

運送業者の撤退

このような①荷物量の増加、②労働力の減少という厳しい状況を受け、2008年には撤退者の数が参入者の数を上回るようになりました。

この状況が続けば、日本の物流網は成り立たなくなってしまうでしょう。

おわり

次は2章の内容についてです。

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