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友達がほしい

それも、お医者さんの友達が。 
当院医師の友達がほしいのだ。 


令和6年度、とうとう医療業界にも「働き方改革関連法」が完全施行される。

この法律自体は2019年に施行され、すでに運用されている。
「正規職員と非正規職員の待遇格差をなくすため段階的に待遇改善を行います」とか、
「年次有給休暇はちゃんと取りましょう。取得してない人には企業側から休暇取得日を指定しちゃうよ(5日分)」とかいう、アレである。

この法律の中には「時間外労働の上限」についての規定があり、
これについては過重労働が常態化している医師や運送業などのいくつかの業種において、すぐには対応が不可能であることから5年間の猶予が与えられていた。

そして今年、来週からは適応されることになる。

…他の業界はどうだかあまり知らないのだが、
正直、この法律によって己のワークとライフのバランスが保たれるはずの当の医師たちにこんなに評判の悪い施策もなかなか無い気がする、、、

有り体に言えば、「言いたいことはわからんでもないが実態が全く追いついてないだろ」
という話。

なので、「法律が施行されるから今すぐ何がなんでも法律に実態を合わせにいかねば!」な事務方と
「んなこと言っても人員限られてるから無理やろ」な医師方でギャップが生じる。

そして概ね、法律や規定について『文字通りの解釈を文字通りに実現できればいい(書かれてないことは随意でオッケー)』ということを熟知している事務方によって、言葉上だけの『ワーク・ライフ・バランス』の完成というわけである。


「残業は一人ここまでね」
と、今までの業務スタイルでは到底達成できない上限を言われた以上、人を増やすか業務を減らすかの二択になる。
前者の場合、そもそも医師自体の就労人数はけして少ないわけではない。地域や診療科によって著しく偏りがある「だけ」だ。
今後人口が減り患者数自体が減っていくフェイズに入りつつある今の段階で増やすことはできないだろう。(現に国は医学部定員の減員を検討している)
そして後者は、業務を減らす=「患者数を減らす」ことだ。団塊の世代最後の年代が後期高齢者になる2024年。まあ何をどうやっても無理な話である。

結果、「今まで『業務時間』としてた夜勤を『待機時間』として業務じゃないことにしちゃえばいいんじゃね」とかいうムチャクチャ理論が完成し、実装する病院が続出している。
業務じゃないから、もちろん手当は減るし残業扱いされない。意味が分からない。
しかもこの「そうだねこの時間は待機時間だよね! 業務じゃないって認めるよ!」と許可を出しているのが労働基準監督署なのでお医者さんたちはどこに救いを求めればいいのか…

今回の話からはそれるので詳しくは書かないけど、気になる人は「医師の働き方改革 宿日直許可」とかで調べてみてください。ほんとムチャクチャだから。

そしてもう一つ、も少しまともな対策として取られているのが医療のタスクシフト/タスクシェアだ。

要するに、患者の数は減らせないけど「医師が担当してる業務」は出来る範囲で医師じゃない人がやれば減らせるんじゃない? ということ。看護師は本来「看護」しかできないわけだけど、規定の研修や受講を行い認定を受けた人は医療の範疇に踏み込む部分も担当できる(もちろんこんなふわっとしたルールじゃなく実際には「こういう手技」とか「こういう処置」とか厳密に定められています)ようにして、医師がやっていた部分を地道に地道に減らす。
…とはいえこれも、本来の業務だけで十二分に忙しい看護師さんに背負わせるんだから諸手を挙げて大賛成!! とは言いにくいんだけど…ほんとお給料上げたげて…

「医療」に関わる部分はそういった看護師さんや薬剤師さんなど専門の知識がある人しか手伝いようがないが、わたしたち事務でも力になれることがある。(はず。)

そもそも医師は雑務もたくさん抱えている。
紹介状へのお返事や診断書、同意書、サマリーなどたくさんの書類を書いたり、診療のためにデータの収集や統計を取ったり、診察や治療をする以外にもいろんなことをしている。
この辺りを、システムを組んで時短できる仕組みを作ったり、医師事務作業補助をなるべくたくさん配置して文書作成を行ったり、患者との事務的やり取りの窓口をしたり。
そういう風にサポートするのがわたしたちのできること。

…なのですが

これがね~~
うまくいかないんですよ~~~

やっぱり診察室とか医局にいる医師にびったり引っ付いて医師の業務を見ているわけではないので、何かを提案してもどうもいつも的を外しているというか…
あまり医師の仕事を減らせてる実感がない。(多分減らせてない)

だいたい、提案できる場が外来(病棟)医長会議とか医局長会議とかのかしこまった場しかなくて、ああいったところでは医師からの反応はあんまり返ってこないのだ。
新しい仕組みを出しても、実際運用してくれてるかどうかさえ分からない。

反応が返ってきたわずかな例だと、パッケージで購入したシステムを散々頭を悩ませこねくり回してカスタマイズして医師の書きやすい文書作成システムを構築してみたつもりが
作成画面にたどり着くまでクリック3回、ページを3度ジャンプするという時点で
「クリックの回数多くて面倒」 
「ややこしくて覚えられない」 
と言われてしまった。

3回で多いの…どんだけ脳みそ疲れてんの…(無理もない)(けどドクターってめっちゃめんどくさがりな人多いですよね)

そこでやっと冒頭の話です。
友達が欲しい。
それも、お医者さんの友達が。 
当院医師の友達がほしいのだ。

一緒に電カル画面見ながら
「これをこうしたら使いやすくなるかなと思うんだけどどう思う?」
「いやフクさん、そっちより医療者的にはこっちどうにかしてくれたほうが嬉しい」
とか気軽に話せる当院医師の友達が。

会議とかじゃなくて、ふつうに飲みに行って
「いやー、今こういう対応増えててさぁ。でもこれ医師がやる必要なくない?」とかいろいろぶっちゃけで話してもらいたい。
もちろん話してもらっても事務ではどうにもできないことがあるだろうけど、知ってなきゃ対策も考えられないのだ。

友達になって、いろいろ悩みを聞いたりこっちのアイデアを相談したり、したいなぁ。
今よりはほんのちょっとだけど、負担を減らせると思うんだよなあ。

どうやったら友達になれるのか、割と真剣に悩んでいる。

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