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窓の台風対策~備えのヒント~

家族が安心して過ごせる家にするために、どんな備えができるのでしょうか。家づくりを考える際に一緒に考えておきたい窓まわりの台風対策を紹介します。


ガラス破損の原因の多くは飛来物
台風の強い風は、建物にさまざまなダメージを与えます。窓ガラスの割れもその一つ。窓ガラスは一般的な平板ガラスでもある程度の風圧に耐えられる強度があり、風だけで割れる可能性は高くありません。むしろガラスが割れる原因の多くは、風で飛ばされたモノがぶつかるためです。

ではいったいどのくらいの強風になると窓ガラスが割れる可能性が出てくるのでしょうか。細い木の枝が折れ、看板が落下、屋根瓦や屋根葺き材が飛ぶといった「モノが飛散する被害」が出始めるのは、平均風速20~25m/s(瞬間風速30m/s)から。平均風速が35m/s(瞬間風速50m/s)を超えると、外装材が広い範囲で破れて飛散するなど、飛来物によって窓ガラスが割れる可能性が高まります。

ガラスが割れれば飛び散った破片でケガをする危険もありますし、一気に室内に吹き込んでくる強風で部屋の内圧が急上昇し、屋根や壁が吹き飛んでしまうことも。雨風の中では、ガラスがなくなった部分を塞ぐ応急処置もままならず、室内や家財が雨で濡れてダメになるなど、被害を増大させてしまうことにもなりかねません。


ガラスの近くに物を置かない
台風対策の基本は、窓ガラスを割る大きな原因になっている「モノの飛散」を防ぐこと。庭やバルコニーに物干し竿やデッキブラシ、植木鉢、ガーデンテーブルやチェア、自転車など、強風で飛びそうなものを置いていませんか? 

濡れたぞうきんや洗濯ばさみ、空のペットボトル、サンダルなどのような軽いものでも、風に飛ばされ勢いがついた状態になるとガラスを割ってしまうことがあります。

台風が来そうなときには、外にモノを置かないようにしましょう。大きい、重いなどの理由で室内や物置に入れられないものは、少しでも安定した状態にした上でロープやガムテープなどでしっかり固定します。たとえば物干し竿は物干し台から降ろし、物干し台は倒しておけば安心です。飛来物は建物の被害だけでなく、人にケガを負わせることもあることも考慮して、飛来物をつくり出さないように心がけましょう。


これから家を建てるなら窓にシャッターを
ひと昔までは「台風が来る」という予報が流れると、強風被害に備えて早めに雨戸を閉めたり、むき出しのガラス窓枠に板を打ち付けたりといった光景が見られましたが、昨今、台風対策として新築時にシャッターをつけるという戸建てが増えてきているようです。現代の住宅事情やライフスタイルに合わせた対策を講じる必要があります。

新築時に台風対策ができなかったという方は、シャッターを後付けすることも可能です。リモコン電動や内部操作が可能なシャッターなど、さまざまなタイプの商品があるので、窓のリフォームを検討してみるのもいいでしょう。


高性能な窓なら防災・防犯・防音にも
対策をしていても、周囲から飛んでくるモノを避けるのは難しいもの。風の強い地域や、立地上、飛来物の被害を受けやすい住宅はさらなる備えが不可欠です。

窓ガラスを性能の高いものにすることも、有効な対策の一つ。ガラス間に強度と柔軟性に優れた樹脂中間膜を挟み込む加工がされた「防犯合わせ複層ガラス」にすれば、衝撃などで万が一ガラスが割れた場合でも破片が飛散しにくく安全性に優れています。破壊されにくい構造なので、防犯性も高く、空き巣の住宅侵入手口に多い〝こじ破り〟対策にも効果的です。さらに防音や断熱、UVカットなど複数の機能を兼ね備えた商品も少なくありません。
 

ガラスが割れてしまったら…
ガラスが割れてしまった場合は、応急処置が必要です。ヒビが入っている状態なら、ヒビの上から大きめにガムテープを貼って補強を。ガラスが割れ落ちていたら、窓全体を段ボールやベニヤ板で覆い、ガムテープなどで固定します。ガラスの破片などでケガをしないように、軍手や底の厚い靴を装着し、短時間で作業するようにしてください。割れたガラスは次の台風に備えて早めに交換しましょう。

ガラスの飛散対策として、ホームセンターなどで市販されている飛散防止フィルムをあらかじめガラスに貼っておくのも効果的です。

台風は自然災害ゆえに人間がコントロールすることはできず、誰もが被害を受ける可能性があります。命はもちろんのこと、住まいや家財を守るために、普段からしっかり備えておくことが大切です。

※雑誌「だん06」の記事を一部編集して掲載しています