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体温1℃アップでめざせ免疫美人!好不調の原因は「血流」がすべて。 高断熱住宅で冷えない体づくりを実現

「冷え」は健康や美容にも大きく影響します。イシハラクリニックの石原新菜医師に「住まいと健康の深い関係」について教えていただきました。

──低体温の人が増えているそうですね。
1957年の調査では、日本人の平熱は36.8℃ありました。それから60年以上経った現代は約1℃下がったとされ、平熱が35℃台の人も珍しくありません。

──何が原因でしょうか?
圧倒的に運動不足です。何しろ体温の40%を筋肉がつくるため、動かず、筋肉量が十分でないとそれだけで体温は低くなってしまいます。男性よりも女性に冷え性が多いのは、筋肉量の差です。
 
このほか、お風呂につからずシャワーで済ませる人が増えたこと、グリーンサラダやグリーンスムージーなど体を冷やすものを1年じゅう摂取する人が増えたことも要因だと考えられます。

体や肌、メンタルの不調はだいたい冷えのせい

──体温が低いのは「良くないこと」なんですね
低体温になると、体はそれ以上体温を逃さないよう血管を収縮させるため、血圧が急激に上がったり、血流が悪くなります。血流はすべての臓器に酸素・栄養・水を運ぶ役目を担っていますから、それらが十分に行き渡らないと臓器の働きが鈍くなります。すると、胃もたれや胃痛、便秘、下痢、むくみ、女性だったら生理不順や生理痛といった不調につながってくるのです。

体にとっては毛細血管のすみずみまで血が行き渡っていること、すなわち「血流」が何より大事。「冷えは万病のもと」と言われる通り、体が冷えて良いことなんてひとつもありません。

また漢方では、「血」と「気」が体内をバランスよく巡ることが健康な状態とされ、冷えによって血の流れが滞ると気の流れも滞り、鬱状態になりやすいと考えられています。つまり、メンタルの健康にも血流は大きく関係しているのです。

──冷えが深刻な病気につながる可能性も?
体温が1℃下がると代謝が12%下がり、免疫力が30%下がると言われています。代謝が落ちると糖・脂肪が燃えず、高血糖・高脂血症に。意外かもしれませんが、食べ過ぎ・飲み過ぎではなく、冷えによって糖尿病などの生活習慣病にかかる可能性があるのです。そして、免疫力が落ちると風邪やウイルス性疾患、アレルギー、さらに言えばがんや認知症のリスクも高まります。

──美容にも影響しますか?
もちろんです。血流が悪いと必要な酸素・栄養・水が肌のすみずみまで行き届かないので、水をたくさん飲んでも乾燥が治らず、シワ・たるみの原因に。代謝が落ち、肌のターンオーバーが遅れるので、色素沈着・シミの原因にもなります。また、暴飲暴食の習慣がなく、人と同じものを同じ量だけ食べても太るのは、やはり冷えのせいです。

冷えとりの基本は3つ 高断熱住宅は理想の環境

──血流を改善し体温を上げる方法を教えてください
すぐに実行できるのは、運動量を増やす(とくに下半身)、お風呂につかる、「陽性食品」を食べる、の3つです。漢方では、自分が暮らす土地のものを食べると健康に良いという「身土不二(しんどふじ)」の考え方があります。地元で昔から食べられてきたものを意識的にとるといいでしょう。

加えて、住環境がとても重要です。家の中に寒いところをつくらない高断熱住宅は、冷えとそれに起因する不調や病気を予防・改善するうえでも、ヒートショックによる家庭内の不慮の事故を回避するうえでも理想的な環境だと思います。

家じゅうの室温が一定で暖かいと、厚着やこたつが要らないため行動が制限されず、真冬でも運動量が落ちにくいというメリットがあります。とくに高齢者の場合、膝腰の筋力低下が不調につながりやすくなるため、住まいの温熱環境を整えてあげることが健康寿命に直結するのです。

──平熱を上げて、いまある不調を一掃したいです
朝10時の時点で平熱が36.5℃あれば、代謝と免疫が十分に働き、「健康」な状態を実感できると思います。しかも肌の乾燥やむくみが改善し、顔色も良くなるので、その違いは周囲からも一目瞭然です。

ぜひ、今日から「体温1℃アップ」をめざしてください。

※本記事は雑誌「だん06」に掲載されています