日本の美意識「侘び・寂び」が感じられる茶室の基本②
畳の敷き方
茶室の一般的な畳には、京間(191×95.5㎝)、関東間(176×88㎝)などがあります。台目畳は、普通の畳のおよそ4分の3の大きさです。「〇畳台目」とは、普通の畳〇畳+台目畳1枚の敷き方を示しています。茶室は床の間より炉が基準となりますので、亭主の勝手付側(客座とは反対側の辺)に平行にして、他の畳を敷くことを良しとしています。直角に対すると亭主の切腹を意味して嫌われます。
一般的には床の間と畳は平行になり、点前畳は縦敷き、出炉の炉畳は点前畳と直角とし、炉は縦に切ります。この敷き方は下座床の場合、不吉とされる床差しになってしまいますが、茶儀上は問題ありません。
窓
茶室に設けられる窓は、室内の採光・通風・温度を調整すると同時に、和らぎと空間的広がりをもたらします。窓の位置により、点前座前の風炉先窓、床中にある墨蹟窓(床窓・花明窓)、客座には躙口上の下地窓や連子窓など、さまざまな形やデザインがあります。また、掛込天井に突上窓を設ける場合には、雨水の処理などに注意が必要です。
◎下地窓
土壁の土が落ちたように、素朴に下地の木舞を見せた窓。別名「塗り残し窓」ともいいます。木舞に藤蔓や葛を、外側では縦、内側は横に巻き付けます。
◎連子窓
敷居・鴨居・連子子で構成される窓です。草庵茶室では躙口とセットで設けられる構成が多く見られます。
◎色紙窓
上下2段の窓で、上下の中心がずれて配置されます。点前座勝手付に設けられます。
天井・内壁
天井は室内の雰囲気を大きく左右します。真=平天井、行=掛込天井、草=落ち天井の三段階に分け、座の違いを表現します。例えば、点前座を一段低い落ち天井として、客座は格子天井や平天井に、躙口は掛込天井とします。
茶室の壁は黄土色で、通常聚楽土または聚楽色土物砂土で仕上げます。小舞に荒壁を塗り、柱・天井まわりに暖簾打ち、髭子打ちを行い、中塗りで塵まわりを仕上げ、上塗りするのが本来の土壁です。
茶室の内壁の腰部分は、壁や衣服の傷みや汚れを防ぐため、腰貼りをします。客座は湊紙、点前座側は奉書などに用いられる反古紙や鳥の子紙を使うこともあります。
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