自然の木々の中で新しい生活を楽しむ景色を切り取る住まい。建築家・川口通正の「木竃(もくそう)」
山が連なる景色を生け捕る
東京の暮らしを軽井沢に移して、自然の木々の中で新たな生活を楽しむ、川口通正氏設計の住まい「木竃(もくそう)」。
日本の気候風土を考え、使いやすさと美しさを両立させた住宅として設計されました。東西南北の山並みや木々、畑などの自然豊かな眺望を生かし、内部からは施主が丹精込めてつくった庭や山並みを望むことができます。
「なるべく多くの居場所から人の視線が、内部から外部の自然までつながり、気持ちが豊かになることを考えました」(川口通正)
居間、食堂の障子が仕込まれた開口部は、庭と広葉樹の大木を取り込み、横長に設けられた開口部からは、遠方に連なる山の景色が望めるような設計です。全体的な外観は平屋建てですが、小屋裏空間をつくることにより、居間・食堂を見下ろす視線を確保して、さまざまな角度から住宅のいろいろな表情を見ることができるように工夫した点も特徴です。
(「和モダンvol.6」の掲載記事を再編集しています)
北側窓から居間を通して南側のテラスまでを見通すことができます。周囲の自然や遠い山並みまで眺められ、さまざまな方向の風景に視線が導かれます。
北側のテラス。北方向には日当たりのよい庭が広がります。
南側の庭とテラス。深い軒がテラスを覆います。
食堂とキッチン。屋根勾配を生かしたダイナミックな空間で、天井の化粧垂木は米松。
木の香りとぬくもりに包まれる浴室の壁・天井は、米ヒバ縁甲板。床は御影石張り。窓からの景色も楽しめます。
北側外観。周辺の庭は建主夫妻が丹精込めてつくったそう。水平の広がりが美しい、自然に溶け込んだ佇まいが魅力です。
(Photo/小林浩志)
川口通正氏の「木竃」の他の写真や解説は、「和モダンvol.6」に掲載しています。