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東京大学情報理工学系研究科 コンピュータ科学専攻に合格しました (外部受験)

はじめに


2023年度のCS系の大学院を受験しました。
(2022年8月受験, 2023年4月入学予定)
専門外の外部生としての受験は大変なことも多く、先人達の記事にかなり助けられたので、今後の受験生の参考になればと思い記録を残しておきます。

スペック
東京大学医学部医学科6年
大学1年よりプログラミングを細々と続けていて、各社でインターンをしたりしなかったり競プロをほんのちょっとだけしたりしていた。
応用情報(21年4月), 統計検定1級(21年11月)。
医学が嫌すぎて初期研修をせずにCSの道に進むことを決意。

今回の戦績

  • 東京大学 情報理工学系研究科  コンピュータ科学専攻 合格

  • 東京工業大学 情報理工学院  数理・計算科学系 合格

試験範囲は 東工大 ⊆ 東大 という感じだったのでやりやすかったです。どちらも第一志望研究室から内定を頂けました。

雑なタイムライン


2021年
4月: 大学院受験を考え始める。
5月~9月: 理情の授業の中で院試に出る科目(形式言語・離散数学などなど)を他学部聴講しながらのんびり勉強を進める。マセマの数学もこの時期から始めていた気がする。
11月: 統計検定1級を受ける。これにより確率統計の分野はまあまあ自信がつく。
10月~1月: 後期の授業について、前期と同じように理情の授業を受けながらのんびり勉強をする。インターンもやっていて忙しかった。
2022年
1月: TOEFLを受ける
2月: 初めての研究室見学(@東大, コンピュータ科学専攻)に行く。ここが後の第一志望研究室となる。
3月: インターンも終わり主に数学をやっていた。東工大の研究室見学に行きかなり好印象を抱く。
4月: 東大の数理情報の研究室に行く。こちらも好印象で志望をコンピュータから数理情報に変える。数理情報の試験範囲に合わせて常微分方程式や複素解析を詰める。
5月: 引き続き数学の勉強をしていたが、いろいろあって志望分野へのモチベが下がってくる。
6月: 出願ギリギリで再び数理情報→コンピュータに志望を変えて勢いで出願する(ボタン押してから店員が来た時の気分で注文を決めるタイプ)。
試験範囲が全く異なるので、専門科目の勉強を慌てて始める。
7, 8月: 数学の過去問などを毎日一定数解きつつ、専門科目の勉強を進める。以前授業を履修していたおかげもありまあまあ順調に進む。
試験本番を迎える。傾向は例年通りでちゃんと対策していれば解ける問題だったと思う。
9月: 無事合格。現在に至る。

研究室選びなど


研究室選びの指針
本格的な研究をしたことがない私のような若輩者が語ることでは到底無いですが、今回研究室を選ぶ上で先輩などに意見を聞いた中で重要だと感じた選び方の基準をまとめておきます。

  • 興味のある研究分野を決める
    私はCSの理論寄りがいいけど解析は好きじゃない、という理由で志望分野を二択に絞りました。適当すぎるかもしれません。

  • その分野で有名な研究室を調べる
    「有名な」研究室の判断が意外と難しいのですが、面白いと思った論文から探したり、難しければ著名な大学の研究室一覧から探したり、その分野に詳しい人に聞いたりすると良いです。

  • 研究室見学に行く
    何はともあれ見学に行きましょう。教授の論文とかを読んでいければめっちゃ良いけど、まあみんな学部生にそこまで求めてないし怒られたりしないので気軽に行ってみましょう。
    見学の際には絶対に学生の方と話す機会を作った方が良いです。研の雰囲気は内部生にしか分かりません。地雷を引くと2年間地獄の毎日になるので、やばい研究室でないか確認しましょう。他に見学の時に確認することとしては、研のdutyや、ゼミの開催ペース、指導体制などを聞くといいと思います。

  • 教授との相性
    これが一番大事です。モラハラアカハラなどが無いか十分に確認しましょう。それ以外でも丁寧に面倒を見て貰えるタイプが良いか、放任が良いかなどは人によるので、2年間やっていけるかよく考えて選びましょう。

試験概要


東大(コンピュータ科学専攻)

  1. 書類選考
    A4で2枚くらいの研究計画書を提出します。とはいえ修士なので大した内容は多分期待されていません…。実際本当に大したことを書けませんでしたが通りました。ただ、参考文献をフォーマルに書くみたいな最低限求められるリテラシーはしっかり押さえておいた方が良いと思います。

  2. 筆記試験
    共通数学:
    1問50分で、線形代数・解析(微分積分)・確率統計の3分野から1題ずつ計3題出題されます。

    専門科目(コンピュータ):
    情報数学、数値計算、離散数学、アルゴリズムと計算量、形式言語、論理学、 プログラミング言語論、コンピュータアーキテクチャ、オペレーティングシステム、 デジタル回路、機械学習の計11分野(!?)から4題出題されます。70分で2問を解き、30分休憩の後また70分で2問を解く感じです。

    筆記試験について詳しくはこちらの記事にまとめています。

  3. 口述試験(面接)
    zoomでのオンライン面接でした。恐ろしいほど何も聞かれませんでした…。

東工大(数理・計算科学系)

  1. 書類選考
    東大と同じような内容・ボリュームの志望理由書を提出します。

  2. 筆記試験
    数学:
    線形代数・微分積分・集合と位相(?)の3分野から1題ずつ出題され、3問中2問を選択します。
    専門科目:
    9問中3問を選択して解答します。頻出分野は代数、幾何、解析、形式言語、シンプレックス法、確率統計などで、他にはアルゴリズム・コンピュータアーキテクチャ・OSなどが出ます。

    東大のコンピュータの試験対策をしていれば数学は大丈夫だし、専門科目も形式言語+確率統計で毎年3題は絶対に出るのでもうクリアです。アルゴリズムやアーキテクチャの問題が出る年ならさらに1問余裕ができるし、毎年同じ傾向のサービス問題枠であるシンプレックス法もささっと押さえておくともう完璧でしょう。

  3. 口述試験(面接)
    zoomでのオンライン面接でした。志望理由などgeneralな質問をされた後に、志望した研究室の先生方3名ほどから個別に質問をされて答える、といった感じでした。

まとめ

東大のコンピュータ専攻の院試は、範囲が膨大ではありますが、CS分野の研究に必要な基本的な数学の能力と学部レベルのCS知識をさらえる良い試験になっていると思います。しっかり対策をすれば決して無理な内容では無いですし、外部生でも他分野からでもチャレンジしてみて頂けたらと思います。この記事が誰かの参考になれば幸いです。


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