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批評の座標――批評の地勢図を引き直す

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■2023年4月から連載開始、月2回記事を掲載します(4月は1回のみ、1年間連載予定)。 ■書き手は新進気鋭の批評家・ライターの方がたにお願いします。
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#松田樹

【批評の座標 第4回】あいまいな批評家の私――柄谷行人(松田樹)

【批評の座標 第4回】あいまいな批評家の私――柄谷行人(松田樹)


あいまいな批評家の私――柄谷行人松田樹

一、文学者か思想家か

 二〇二二年一二月、柄谷行人(1941-)は、米国のバーグルエン哲学・文化賞をアジア人として初めて受賞した。受賞の理由は、「現代哲学、哲学史、政治思想に対する極めて独創的な貢献」とされている[1]。
 この報は、過去の批評家の歴史的な達成を紐解いていく、本企画にはうってつけのものであるように思われる。われわれが本企画で目論んだのは

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