見出し画像

『第8弾』は、斉藤淳著の「自民党長期政権の政治経済学」を紹介。

現在、自民党総裁選の真っ只中ということもあり、改めて自民党という組織を知るという意味で紹介。著者の斉藤淳氏は、元民主党の衆議院議員を1期務めた人だ。しかし、この本が書かれたのは政治を引退したあとで、純粋に学術書として、第54回日経・経済図書文化賞も受賞している。興味を持ったので読んでみた。(時折、コラムで政治家体験も書いてあり面白かった。)

著者は、主に55年体制の自民党政治は利益誘導政治だったとし、利益政治に基づく集票組織を築いていったと主張する。しかし、高速道路や新幹線などの経済効果の高いインフラ整備は、逆に地方の都市化を招き、地方に強い基盤を持つ自民党そのもの地盤を弱めていくジレンマを抱えていたという。

その典型的な都道府県として、新潟県と島根県を対照的に挙げている。
新潟県は、田中角栄元首相の出身地ということもあり、早い段階から新幹線が整備された。

それに対して、島根県は高速道路の整備は当時中国道のみであり、山陰新幹線も1973年に計画されるものの現在も実現の兆しがない。しかし、著者は地域にインフラがないからこそ、地元組織は誘致や陳情を活発化させるので、それが自民党を支えるパワーの源になるという。

一方、新潟県など一旦、新幹線や高速道路が開通してしまえば、誰がどの党を支援してもインフラは消えてなくなることはない。インフラが整えば、整うほど、ムラの人が選挙を手伝わなくなると選挙データをもとに持論を展開する。

ゆえに、多額の公共投資を実施しても、それが経済効果の高いインフラ網につぎ込まれることなく、無駄な事業に費やされてしまったと指摘している。
確かに、日本の高速道路網は、まだまだ十分ではなく、当時、海外と比較しても多額な公共投資の事業費はどこに消えていったのかと思ってしまう。
その点を、政治と織り交ぜて展開する話は、相手(自民党)を知る上で大変参考になった。

#斉藤淳
#自民党
#長期政権
#55年体制
#利益誘導
#高速道路
#新幹線
#新潟県
#島根県
#結集ひろしま
#広島4区
#安芸区
#海田町
#熊野町
#坂町
#大和町
#東広島市
#府中町
#立憲民主党
#衆議院

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?