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2021夢日記 狂った催眠術 ji-jyo 8月29日


僕は今年に入ってから毎日、夢日記を書いている。過去のものは月別にマガジンを作成してあります。

昨日の夢は何とも悲惨な展開だった。

始まりは山の中腹にある古い喫茶店にいるところからだった。

僕は見ず知らずの女性と二人でお茶を楽しんでいた。

最初は時折、笑いも交えた一見素敵なお喋りも、時間が経つにつれて彼女の表情はどんどん暗くなり始めた。

『実は最近男に裏切られたんです。私は結婚まで真剣に考えていたのに。その男にはもう一人他に女がいて。私なんかよりずっと若くて。ずうっと隠されていたんです。もう…。今は殺したいくらい憎くて。』

『それは大変でしたね。実は私はヒーラーをしておりまして。よろしかったら少しでもあなたの心が楽になるようにお手伝いさせていただけませんか? さあ、表に出ましょう。』

そんなことを言いつつ僕は彼女を外に連れ出した。
穏やかな空に澄んだ空気がとても心地よい山の中腹で彼女をベンチに座らせた。ポケットの中から紐のついた5円玉を取り出すと、何とも古典的な方法で彼女に語り掛け始めた。

『あなたの心はもう崩壊寸前だ。早くその傷を癒す必要がある。憎しみは解放してあげないと膨らみ続けるばかりだ。でも安心して。あなたが解き放たれる方法はある。そう。彼を、殺してしまえばいい。彼の胸を9回刺せばあなたは救われる。』

いったい何を言っているんだ。しかもこんな子供だましのような催眠術で。
しかし彼女の目は虚ろになり始め、混乱状態のまま受け答えを始めた。

『解き放たれる…? でも。彼を殺せば私は犯罪者になってしまう。』

『大丈夫。あなたは知らないだけなんだ。この世界に騙されている。この世界では人のことを殺めた者だけが次の次元に進むことが出来る。そこはまるで天国のような場所だ。あなたの心は癒され穏やかに生きていける。恐れを捨て穢れを滅する勇気を持つことだ。それを信じた物だけに真実の幸福は訪れる。』

『私。進むわ。次の次元に。』

『素晴らしい。では今夜、この先の洞窟にナイフを持って一人で来るんだ。儀式の準備はこちらで済ませておく。あなたは解き放たれるために彼の胸をを9回刺せばいい。』

そんなまるで子供だましのような催眠劇が終了すると、僕は松明を焚いた洞窟の岩の影に身を潜めていた。彼女の為に眠らした彼を洞窟の中央に置いて。

やがてナイフを握りしめた彼女がやってきた。

目は虚ろなまま表情からはもはや生気は感じられない。

『私は解放される。私は解放される。私は解放される。』

何度も何度も同じことを呟きながら彼の上に跨ると、何のためらいもなく彼の胸を突き刺し始めた。

ああ。なんて美しい光景だ。そんなことを思ったあたりで今日は目が覚めた。

惨劇だった。狂気染みてるにも程がある。子供だましの催眠に狂った価値観。夢の中とは言え何とも救いようのない自分に気分を害される朝だった。

さて、明日も夢日記を書いていこう。


【2021 7月夢日記 ~ji-jyo~】


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