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椈の森をさんぽしに

ブナの森をさんぽするのは、沢があり、雑木林があり、花が咲いて、それはそれは楽しいもんです。
これからは、雪が締まってきて、どこへでもズンズンと歩いていけるし、ずーっと遠くまで見通しもきくので、カメラを持って山歩するのには、一番のすきな季節になる。
ことしは、異常なくらい雪が少ないので、早くいかないと薮に行く手を阻まれてしまうと焦っているが、じいさんなりに忙しいその日ぐらし。
ことしは、遠野の山はお休みして、徹底的に夏油のお山を歩き回ろうと、スクワットやドローイングをしたり、電動自転車の電源オフ状態で坂道を懸命に漕いだりと、もうじき後期高齢者の仲間入りを前に、ささやかな抵抗を試みては、カメラをフキフキしている毎日。

雲の下には広~いブナの森
無垢の岩魚の住むところ


焼石連峰から栗駒までの山脈に残っている、まだ見たことのないブナの森を彷徨してみたい。
道のない、名前も知らない、深山のなか、驟雨がまとわりつくような日に、口笛を吹きながら、ブナを求めて歩き回る。
雪と土の境界線に水芭蕉が並び、小さな沼には岩魚が寝ている。

晴れるのか降るのか
突然岩魚のライズした音が響く


そんなおとぎ話に出てくるような山間を、写真を撮ったり、昼寝をしたり、気ままにすごすことができるのは、山が緑に包まれるまでの、ほんのわずかな時間だ。
ひたすら頂上へと、焦るように登っていたが、山裾に興味が移るのは、じいさんになった証しか、それとも視野が望遠から広角になってきたからか。



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