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遠野の石上山には不思議な岩がある

遊ぶことが何よりだいすきな私は、遊ぶネタがたくさんある。
遊びだから、極めようとか、人生を賭けようとは思わない。
だから中途半端なままだ。趣味までにもいかない。道楽ほど放蕩三昧もできない。生活の中で、慎ましく遊ぶのが好きなのだ。それでいいのだ。

人の来ない、目立たない山で遊ぶのがすきだ。
遠野の西に、遠野三山の一つ、石上山が横たわっている。
標高は1037mと高くはないが、散歩の延長線みたいな気分で歩けるのは、杉林が終わる、馬留というところまでだ。
馬留からは急激に勾配を増して、一気に頂上へと尾根が突き上げている。
頂上に立つと、遠野三山の二つ、早池峰と六角牛山が北と東に見える。
石上山の不思議な岩は、登山道沿いにある。
一つ目は、杉林に入ってすぐのところにある「婆石」だ。
写真では、三角形の岩にしか見えないが、まわりの雰囲気から妖気漂っているような感じがして、怖がりじいさんは足早に過ぎる。
ガタガタの梯子場を越えて、ようやく頂上に立つと、「亀岩」がある。

ただの岩ですってば

まわりこむと、なんとも微妙なバランスでのっているように見える。

滑りそうだろう

こんな感じでのっている。今にも滑り落ちそうで、どこが亀岩かはたしかめたことがないのが悔やまれる。

もう一つは、梯子場の急斜面にそそり立つ「兜岩」だ。

兜?烏帽子?

急斜面にいきなりそそり立っている姿かたちは、「2001年宇宙の旅」のモノリスを彷彿とさせる。地元の作家「高橋克彦」ファンなので、北東北を舞台にした不思議な物語が大好きなのだ。

遠野で一番有名な岩は「続石」だが、今ではすっかり観光地になっている。
駐車場完備、徒歩十分の好地で、不思議さを手軽に堪能できる。
それに比べてこちらの岩は、昔々は修験道として拓かれた、遠野三山で一番峻険な登りに耐えたご褒美に見られるのだ。
遠野は、「遠野物語」の不思議な世界があふれている。
それに気付くか、気付かないかは、あなたしだいだ。
ワイルドだろう。ワイルドだぜえ。いまではすっかり、マイルドだぜえ?

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