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早池峰はやっぱりかっこいい!

初めて冬山に登ったのは、50年以上前の「早池峰」。
汽車やバスを乗り継いで、ようやく岳集落に着いた。
神林さんに挨拶して、準備を整えて、河原の坊に向けて出かける。
林道をラッセルして、うすゆき山荘に泊まる。
翌日は、快晴無風。
早池峰自体が初めてで、冬山が初めてで、圧倒的な美しさに魅了される。
河原の坊から見上げる早池峰に、魂をギュッと掴まれた。
頂上からの眺望、深夜のオリオン大星雲、翌朝の猛烈な吹雪。
爾来、春夏秋冬なんど登ったのだろう。北からも東からも西からも、そして南側からも、何度も登った。縦走もした。沢も登った。岩魚釣りもした。

あれから半世紀がたったある春の日、平津戸から早池峰を越えて、遠野まで歩いたことはあるが、自分の住んでいる遠野から早池峰に登ったことがないことに気が付いた。さっそく車を走らせ、渓流釣りで通いなれた大出から大野に向けて走る。
横通りは、かつては早池峰参拝登山のメイン通りで、薬師岳の東側の裾野を巻くように歩く、長い道だ。
又一の滝の入り口から歩く。滝は、雪解け水を集めて、迫力満点だ。
東側に巻いていくと雪がでてくる。いくら雪の少ない遠野とはいえ、4月の樹林帯を歩くのはしんどいし、ルートがよく分からない。東斜面から伸びる小さな尾根、小さな沢を昇り降り。なかなかハードオフだ。
東に下りすぎなければ大丈夫だとはわかっていても、不安になる樹林帯。
なんどか急斜面のトラバースを越し、同じような景色に不安になるころ、
見晴らしの良い雪原に出る。思わず「お~」と声が出る。
眼前には、早池峰から剣ヶ峰、高桧山へと続くパノラマが目に飛び込む。
天気よし! 体調良し! 景色最高でいうことなしの満点星!
ここから見る早池峰は、角度、高さ、雰囲気みんな素敵だ。

写真を見てうっとり

薬師岳からだと、見上げるという迫力が薄い。
残雪の縦縞模様が見えるのは、この時期の、この角度からしか望めない。
なんど歩いても、誰と会うこともないかわり、時期によっては倒木があったり、道が一部不明瞭だったり、ワクワクとドキドキが交錯する素敵な道だ。
今朝、真っ白な早池峰をみていて、春の横通りを歩いた記憶が蘇った。
(蘇民際の蘇は、よみがえるということか。奇祭なんて失礼だよね)
来春こそ、遠野から早池峰に登ろう。
それって、今だけ、冬だけ、思うだけかもね。

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