ウクライナの論理

侵略を繰り返される歴史を持つウクライナの解説を抜粋

(1:32:00付近)
豊島晋作のテレ東ワールドポリティクスの動画

語ってくれているのはパルホメンコ・ボグダン氏
キーウ在住
2010-2016 三菱商事 ウクライナ事務所で自動車販売業務
現在、日本の化粧品等の輸入販売会社SEPA社長


ウクライナの経済状況

2022/4月 経済活動は平時の15-20%程度


戦況や政治状況(2022/4月時点)

ウクライナ兵が捕らえたロシア兵を殺害との報道について

ウクライナ兵の心情は、攻めてくるロシア人を抹殺したいという部分で団結しているので、そういう事実があったとしても不思議ではない。
それくらいロシア兵は悪いことをしてきたはずだ。
ウクライナ兵の中には目の前で家族をレイプされたなどの経験をしてきた者もいる。
両軍の違法な行為はのちに軍事裁判で裁かれるべきである。
戦争で一方のみが100%正しいことはない。

大気汚染

ミサイルが飛び交っているなか、大気汚染が酷い。
戦場の兵士はさらに悪い環境で身体を悪くしているだろう。

インフラについて

キーウ地下鉄は3本のうち2本が稼働。
キーウ州からキーウ市内に逃げてきた人たちは地下鉄で生活しており、日中は外で清掃作業をしている人もいる。(高齢者)
バスは稼働している部分はある。タクシーも動いている。

ネット環境について

イーロンマスク氏が提供しているスターリンクなどがあるがインターネット環境は良好。
ロシアに先に通信施設を破壊されたが、スターリンクと繋げて稼働させている。

破壊された街

キーウ州の街はボロボロで立て直さなければならない。
工作員やスパイもいてるようで、排除するプロセスが進行中。
工作員は水道に毒やサリンを入れたりする可能性がある。

ウクライナ東部

ウクライナ東部はかなり酷い戦場となっている。

兵力召集

重要施設を守る治安維持部隊の結成。
兵士を集めるのは難しくない。武器が足りないだけである。
戦闘機が必要。
世界はスピード感がない。
直接助けないなら武器だけでも提供してほしい。

クリミア半島が占領された当時の状況

クリミア半島が占領されたとき、相手は兄弟(同然)と思っていたので銃を向けられても抵抗しなかった。
それがドネツク、ルガンスクにも広がった。
ウクライナは戦争する前提ではない。
1200年の歴史の中で他国を攻めたことはない。
ウクライナが独立するとき、1994年に核放棄している。
この時に覚書が作られた。

覚書ではアメリカ、イギリス、ロシアが安全を保証するということだったので2014年までは軍事力を強化してこなかった。

2014年以降、難民としてクリミア、ドネツク、ルガンスクから逃れてきた人たちを支援するために税金を使ってきた。(軍事税 1.5%)
ウクライナ軍の支援に使われる。
税金で軍の近代化、武器の開発もする。
戦争での経験は貴重で、2014年以降はカナダ、アメリカ、ヨーロッパの軍人が軍事顧問となって現地入りしてノウハウを学んだ。

これまでの政治

ウクライナ政治は汚職が酷かった。
あまり言いたくない事実だが、もともと社会主義や共産主義システムがあり、みんな平等で全て国のものだったが、そこから脱却して自由を手に入れた。
しかし、そのときに中世ヨーロッパのシステムが構築されてしまった。
10のファミリーが牛耳るような社会。いわゆる財閥。
そのファミリーが自分勝手に権利を使ってきた。

大統領が代わると財閥も変わる。全てが変わり、揺れ動くという状況。
2/24(侵略が始まったされた日)に変わった。大きな進化を遂げた。
ゼレンスキー大統領も自分をサポートしてくれたオリガルヒなどから縁を切ったと認識した。

ゼレンスキー大統領はオリガルヒとやっていてはウクライナを守れないと考えたのではないか。
我々も進化したし、私利私欲ではなくウクライナを守る方向となった。

今までは外からの要素で変わることはなかった。
はじめて戦争きっかけでまとまることができた。

クリミア半島の魅力

ロシアにとってクリミアは魅力的な場所。
すぐ近くの港町オデッサも同様に魅力的な街。
日本でいう沖縄、アメリカでいうハワイのような場所。
ロシアはその魅力的な場所が欲しかった。
だからクリミア半島を取り戻したい、オデッサが欲しいとなる。

抵抗したウクライナ市民

日本では報じられないが、ハリコフも占領されかけたが市民が抵抗して守り抜いた。キエフも守り抜いた。オデッサでは血が流れたが守り抜いた。
つまり、もともとロシア人が多く住む地域以外はロシアにはついていかなかった。
ハリコフはロシア人が多かったが、それでもついていかなかった。

コサックはなぜ生まれた?

過去、モンゴル系が攻めてきたときに農民が立ち上がってできたのがコサック。
彼らはブラジルのカポエイラと同じで、ダンスで鍛え馬術で対抗していた。
その魂は日本の武士道につながる部分もある。
攻められても守り抜くというスタンスは以前から形成されていた。(800-900年前)
そこから分離してできたのがロシア。
ロシア人の中には農耕民族ではなく狩猟民族のDNAが入っている。
ロシア軍の通信状況を観察していると彼らは人殺しや略奪を楽しんでいるようだ。

イルペン、ブチャで残った家には毛皮、貴金属、お金、電化製品、冷蔵庫までもロシア軍は略奪していった。
それをベラルーシの国境沿い郵便局からロシアの家族へ輸送している。

ロシア軍は殺戮、略奪、ゲームのように楽しんでいる。

ザポリージャ原子力発電所

ザポリージャ原子力発電所をロシアが攻撃した理由はコサック魂をねじ伏せたいという考えがあり、英雄とされている人たちを潰したいと考えている。
コサックに関わるいろんなキーマンを敢えて攻撃しているふしがある。


ウクライナの将来

NATOへの加盟

ウクライナとしてはNATOへの加盟を選びたいが、これだけ話が進まないということは加盟ができないと理解している。

ウクライナの中立化

ウクライナは既に中立化している。
アメリカやロシアの片棒を担ぐ気も無い。
どことも戦うことは考えていない。
軍も持たず核も持たずで中立化ではないとする理由は無い。
スイスよりも中立化している。

1990年代第3位の核保有国であったのをブダペスト覚書で放棄した。

ウクライナは中世から要衝地点

ウクライナはシルクロードの通過点であった。
キーウには黄金の門というのがあった。アジアとヨーロッパを結ぶ通過点として有名であった。

ウクライナの黒土

ウクライナは黒土といって豊かな土地であった。
ナチスが攻め入ったとき最初に盗んだのが土地であった。

中国とウクライナの関係

日本とは距離があるから中国と交易がある。
ウクライナには数多くの中国企業が進出している。
中国はウクライナを経由してヨーロッパへ拡大しようとしている。
中国はウクライナをサポートする意見はあるが行動は逆である。そういう面でロシアと似ている。
個人的には中国よりも日本と仲良くして欲しいと願っている。
重要なサポート役割は日本がすべきで、コサック魂も共通する。
ウクライナのITは日本が持っていない技術力なので活用してほしい。
ウクライナは日本と同じで戦うことを求めていない。同じ農耕民族。
ウクライナと日本は全てでマッチしている。

今後の日本との関係

今の時点で日本が参戦することは望んでいない。
日本も中立的で自国を守る必要がある。
復興のフェーズで活躍してほしい。
例えば、日本なら半年で作れるようなものをウクライナは3,4年かかってしまう。
日本でいうタワーマンションに住んでいたが、防音効果がなかったりと日本でなら欠陥住宅だろう。

ウクライナはハブの役割となるので、是非ともWinWinの関係を築きたい。

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