通常学級担任のための発達障害児教育入門編 4
第3章 取り組みを見直しましょう
いろいろな特性を持つ子どもと周りの子の関係をどう作っていくかという課題を考えてみましょう。
コミュニケーションの取り方を知らないなら練習すればいい。心の動きが理解しにくいならクラスの仲間と一緒に考えればいい、と考えるのは簡単ですが、時間と根気がいる仕事です。なぜなら、クラスで困った感を持っている子は一人ではなく、困っている子どもの周りにも困っている子どもがいるわけですからね。
良き伝統が良き文化を生み出すことは大切なことですが、長く同じ取り組みを続けていく中で、本来その取り組みが始まった時の課題意識や熱量が薄れ形骸化している取組も出てきます。そうした取組の中では本来その取り組みが果たすであろうと期待した効果がなくなり、形骸化したものになることもあるようです。同じ取り組みを何年も続けることが必ずしも、子どもたちの変容を導くものではないと考えることも必要です。
見つけたよ!すてきな心
1.ねらい
子ども達の人間関係をより円滑にし、どの子も存在感を持ち、充実感の ある学級、学校にしていく
2.内容 一年間を通して「誰だか分からないけど」ではなく「学級(学校)にいる具体的な人」のやさしさや、努力している行為や態度、また意外な一面を掘り起こし紹介し評価していく。それと同時に、自分自身のがんばりや、やさしさについて自己評価させそれを全体で認めあえる優しい集団の雰囲気を醸し出す。
3.取り組み 全校朝会 児童へ取り組みの紹介(加配)
各担任 学級の状況に応じて、取り組みの具体化 学級掲示完成 全校向け掲示(各クラス3点程度)
学級での取り組み
① 終わりの会、学活で、学校生活の中で1年間を通して、自分が感動した人のやさしさや努力している態度や行動を振り返らせる。
② この一年間、自分で自分をほめてあげる態度や行動について自分自身を振り返る。(担任からの援助「こんなとこがんばってたな」)
③ 振り返りの中から友達の一番すてきだと思ったこと、そして、自分のすてきな態度や行動を用紙に清書する。できれば、みんなの前で読んで紹介する。
[がんばる心発表会]
① 各学級で取り組みを掲示する。
(できるだけおどり場に、他の学級との交流)
② 月 日、各学級3枚程度提出
このような人権教育での取り組みを長い間大切に続けている学校もあると思います。学校全体の取組として「他者への親切」「やさしさ」「全体への奉仕」といった善い行いのモデルを、クラスだけではなく学校全体として「同じイメージを共有」することが大切でした。
でも、そうした行動をとれない子どもは「やさしくない」ので「悪い行いをする子ども」というイメージも生み出す側面があることに気づく必要がありました。
「ありがとう」という「感謝を伝えること」と「感謝しなければいけないという価値」を伝えることとは少し意味が違うように思うのです。
同様に「頑張るという姿勢の大切さ」を伝えることと「頑張らなければいけないという価値」を伝えることととでは意味が違ってくると思うのです。
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