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2021年8月その3~自分で探偵をやる


自分で探偵をやった(やっちゃった)人はそんなにいないと思うけど、
当時頭がおかしかった私が取った行動は。。。

元妻疑惑


夫の相手の正体は誰なのか?私は毎日そればかり考えていた。
1.通勤途中で待ち合わせた同僚らしき女
2.元妻
3. ギャル飲み女子のY(これはほぼ可能性なし)

私は50%くらいは元妻だと考えていた。
最近の事象がすべて元妻につながるのだ。
・PASMOの履歴によく出てきて、朝から直行していることあるX駅は元妻の出身地であること。
・温泉旅館の領収書の日付が元妻の誕生日当日であったこと。
・元妻の趣味であるゴルフの練習によく行くようになったこと。
元妻と不倫してるとかそんなありえない話があるのか?
まあでも、一度は愛し合って結婚したわけだから、時がたって再び。なんてことは可能性ゼロではない。
頭の中が元妻でいっぱいになっていた。

元妻の職場を突き止めた

私は元妻の職業も知っていたので、いろいろ検索していくうちに、ある美容系のお店で元妻が働いていることを突き止めた。その店は、都心のS駅にあった。
どんだけ、検索したんだ笑っていう話なのだが、名前で検索していたら、とある予約サイトにたどり着き、その元妻の名前が指定できるようになっている。結構な高級店で、腕が良いと紹介されている。

離婚後に、その職業を始めて、続けているようだった。元妻は娘を引き取り育て上げて、娘はすでに結婚して子供もいる。
 仕事を続けながら、育て上げたんだ。苦労したんだろうな。と勝手に想像したりした。その間に、夫は私と再婚して、子供もできて家も買っていたのだ。同情に近い気持ちがわいてきた。自分が同じ立場になりそうなのにおかしな話だ。

 そして、夫がその元妻が働いている店があるS駅にも仕事帰りに立ち寄っていることも分かった。ますます、相手は元妻だと確信していった。
 私は、近々その店に予約を取って、サービスを受けてみようかとまで考えていた。実際に行動には移していなかったが怖い話だ。

ワクチン接種

ちょうどその頃、世の中ではコロナのワクチン接種が始まっていて、どこも予約がいっぱい。という状況だった。

ある日信じられないことを夫が言った。
「来週の日曜日、知り合いの紹介でS駅のクリニックでワクチン接種してくるから。」
家族のワクチンの心配も一切しないくせに。本当に家族のことなんか何も考えてないんだろうな。と思った。

S駅!?
元妻の店がある駅だ。
元妻の店の予約状況を見ると、ワクチン接種予定の日曜の午後から予約が取れないようになってる。その日、元妻と合流して一緒にワクチンを打ちに行くのだという仮説が勝手に頭の中で完成した。(100%思い込み)
調査しようと決めて、探偵B社に依頼した。

調査中止からの自分で探偵

ところが。調査前日の土曜の夜、夫は帰ってこなかった。無断外泊だ。
家に帰ってこないと、尾行できないし、何時からなのかもわからないので時間がかかりすぎてしまう。予算的に無理だ。帰ってこないのか?とLINEを何回もしたが返事はない。やむなく調査中止にした。キャンセル料も取られる。

 中止の連絡をしてしまってから数時間後に
「昨日は帰れなくて済まない、午後からワクチン接種行くから」というLINEがきた。
 悔しくて、頭がおかしくなりそうだった。いや、もはや既に頭はおかしかった。

日曜だったので、娘の友達が我が家に来ていて、ゲームをしていて楽しそうにしていた。
「お母さん、マッサージに行ってくるわ。」と言い、外出することにした。

私は、急いでメガネ・帽子・ほぼ着たことがない服を引っ張り出して着て出かけた。一応着替えも持った。
今日、S駅に午後夫が女と現れることはほぼ確実なので、待ち伏せ=自分で探偵をやることにしたのだ。自分でもびっくりの行動力なのだが、頭おかしいのので、もう止められなかった。

S駅は都内有数のビッグターミナルだ。ここ数年で一段と開発が進んだ。

元妻の店は南口から歩いて3分のところにあった。ちょうどその店が見える通り沿いの1Fにカフェがあったので、入口の窓際の席で見張ることにした。
探偵ってこういう気分なんだな。辛いのだけど、変なわくわく感とドキドキ感があった。まさか自分がこんなことをするなんて。
11時に到着してずっと店を見張っていた。
しかし、待てど暮らせど、元妻らしき人物は出てこない。

私が立てた仮説
『仕事終わりの元妻と待ち合わせてワクチン接種』は思い込みだったのかもしれない。

と急に思えてきたので作戦変更。

私は12時過ぎに、駅に戻り、改札近くのみどりの窓口の旅行のパンフレットを見るふりをして、夫と誰かが現れるのを待ち伏せしていた。
やっぱり来ないなあ。勘違いだったかなぁ。
・・・・・とあきらめそうになったその時。

見覚えのあるTシャツが目の端に入ってきた。
夫だった。女性と2人だ。
2人はすごく早歩きで、小走りに近い速さで改札を抜けて、ホームに向かっていた。私もすぐに後を追った。

私は一緒に歩いていても、夫の歩く速さに慣れなかった。ストレスだった。
一切、歩調を相手に合わせようとしないからだ。夫はそういう人だった。

しかし、私が追っている2人の歩みの速度はなんかぴったりで、普段から行動を共にしているんだろうなと思わせる息の合った感じだった。

私は相手は誰なのかというよりは、ついていくことが精いっぱいだった。
やっとの思いで同じ電車に乗り込んで、ようやく少し離れたとはじっこの席に座った。
走ったのと、見つかっちゃいけないという緊張感で、自分のドキドキが、他の人に聞こえそうなくらいだった。

女の正体は

そっとうつむきながら、目の動きだけでで2人の方を見た。
女は黒髪ショートカットで白いロングシャツにジーンズ。

その女は通勤途中で待ち合わせをして出勤していた同僚と思しき女だった。
間違いない。元妻ではなかった。完全に私の思い込みだったのだ。

2人は楽しそうに話している。ここ最近、家では全く見せなかった笑顔を見せている。ここにいる夫は、誰なんだ?と思うくらい別人のようだった。

しばらく乗って、2人は電車を降りた。若者の街おしゃれなO駅だった。
私も少し距離を置いて後を追った。
階段を上る足取りがなんかとても楽しそうに見えた。
少し離れて、怖かったけど、ばれないように動画を撮った。

何年か前に家族で行ったことのある店の前で少し立ち止まり、何か夫が話している。「おいしいから今度行こう」とでも言っているのだろうか。
向かいにあるウェディングドレスの店の前でも少し立ち止まって話している。
結婚でも夢見ているのだろうか?
今度離婚したらバツ2の男が!?
アホか。ばかばかしい。

しかし、ここまで来て、なんだか怖くなってしまい、その場で探偵のHさんに電話をした。
調査が出来なくて悔しくて自分でつけた事を話した。
Hさんは、「とりあえず、気が付かれないように。気がつかれたら、うちはもう調査できないからね。あなたはもうここで止めて。家に帰りなさい。」
と諭してくれた。「すごい行動力だね。」と言って半ば呆れていた。
最後まで尾行したかったが、夕方近くになってしまっていたので娘が家で待っているかもしれない。と思うと、急に申し訳ない気持ちになった。
Hさんに言われた通り、帰ることにした。

急に自分で探偵をやってしまった私だが
やっぱり、難しい。素人ができることではない。
何よりばれたらすべてが終わりだ。
バレなかったからよかったけど、おすすめはしない。
尾行するだけで精一杯なのに、精度の高い写真を撮影するなんて至難の業だ。やっぱりプロ。高いお金を取るだけのことはある。
特に報告書を見てから実感したのだが、本当に探偵さん尊敬する。

夫帰宅

帰り道に夫にLINEをして、今日は何時に帰るのか聞いた。
すると、「夕ご飯は家で食べる。」とのことだった。
デートは切り上げて家に帰ってくるのか。
正直めんどくさかったが、仕方なく夕食の準備を買って帰った。

夫は何くわぬ顔で、しかし機嫌が良いわけでもなく帰ってきて、うまいとも言わず、エサのように数分で夕食を食べていた。思い切り手抜きメニューにしてやった。この男のために料理なんかしたくなかった。

へぇー。これが女とワクチン接種した後、O駅でデートしてきた顔ね。とまじまじと観察してしまった。夫は一切こっちを見ようとはしない。

世の中の父親が、子供や家族がコロナにならないようにとか、ワクチンどこで受けられるのか?の心配をしている中、自分は不倫相手とイチャイチャしながらワクチン接種してきた顔ね。
このアホ面をよく覚えておこうと思った。嫌悪感で吐きそうになった。

しかし、不思議なもので、相手が元妻ではないということで私はなんだか意味不明に不幸中の幸いのような少し救われた気持ちになった。
今日調査をしていたとしても不貞の証拠は取れなかったわけだから結果オーライだった。

決戦は日曜日

ワクチン接種は2回行われるので、次回の接種の予約をしているに違いない。夫のバッグの中を夜見て見たら、次の接種の日時がばっちり書いてあった。2週間後の日曜だった。13:30から。
同じS駅のクリニックだ。
のこのこと、また2人で行くに違いない。
今度こそ、その日に合わせて調査をしてやろうと心に誓った。女の正体を突き止めるのだ。

しかしその前に、とんでもないことが起こったのだった。


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