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【読書レビュー】愛する言葉 岡本太郎 岡本敏子

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妻が勧めていた本になりますが、私が直接勧められたというよりも、彼女が自身のコミュニティに発信しているメールの中で、「かつてない感動を覚え、涙が止まらなかった」という紹介があり、読んでみたくなりました。この様な時は電子書籍が大変有難いです。ドイツにいて、気になった日本の本を即座に読める喜びは何物にも代えがたいと思います。基本的には、紙の本で指で紙を触りながら読むのが好きですが、今回は紙の書籍入手まで待てませんでした。

内容は、愛について、岡本太郎さんと敏子さんの言葉が会話形式で交換されるというものですが、実際に語り合ったものではなく、二人が過去に残した言葉が会話形式に編集されたものです。

人と人が愛し合うことの本質が短い言葉ながら、豊かな表現で語られており、特に敏子さんの言葉は、女性の感性が無いながらも、心臓を掴まれたようなハッとする感覚がありました。「子宮」という表現が、何度か出て来ますが、実感として理解できないながらも、女性の感性を想像して一緒に共感してみるという新しい経験もありました。

恋愛に限らずですが、人は目に見えるもの、五感で感じられるものがないと信じられず、不安になります。好きな人から好きという言葉が聞きたい、好きな人には近く人いて欲しい。その三次元の世界の感覚、考え方だけで生きていても、二人のステージには行けないと感じました。自分には今まだそれが無い、目に見えないものを実感できない、という感覚も覚えました。目に見えないもの、という表現が適切でないかもしれませんが、二人が尊重し合っていたことは、感性、魂、波動、多次元、等の言葉に通じるものがある様な気がします。

敏子さんは、50年の間、岡本太郎に尽くし、氏が亡くなった後は、それまでの在り方を一変させ、一人で世に出て回り、岡本太郎とその作品を次の時代に伝える活動をされていたそうです。その様な生き方をして天命全うされたことに、凄さを感じ、憧れました。パートナーが亡くなった後に、パートナーのために生きる・・・スゲー、カッコいい、やってみたい!という感覚です。この本の言葉を噛みしめていくことで、その生き方に近づけるような気分になります。

私も20年間、普通の会社員を続けてきて、コロナやドイツ赴任というタイミングもあり、目の前の自分のこと、家族のことだけに必死になるだけではなく、生き方や在り方を自分の中で形作ることについて、真剣になるべきだと感じるようになりました。44歳になって、ようやくという感覚もありますが。人のために何かをして、喜んでもらい、共鳴、共感の感覚を得ること、それを生きがいにして、共感のループを広げていくことが人生でやるべきことであり、それが日々の仕事であるのが理想だと思っていました。しかし、それを更にパートナーと一緒に続けることが出来るということをこの本で知りました。しかも、それをパートナーが亡くなっても続けられるのです。自分がこれまで考えていた理想は、理想ではありませんでした。

真の理想のパートナーとの在り方、生き方を、完璧なイメージとして、自分の中に、投げ込まれた感覚です。すぐには吸収しきれないですが、今自分の中に取り込んでいるところです。


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