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7/19 ニュースなスペイン語 Primer satélite de madera:世界初の木製衛星

いやはや、知らなかった……。

京都大学(Universidad de Kioto)と住友林業(Sumitomo Forestry)が、世界初の木製の人工衛星(primer satélite artificial de madera del mundo)を完成させたと発表したそうな。

小生がいつも接している(低俗な(失礼!))メディアでは、多分、報道されていなかったと思うのだが、スペイン国営放送(RTVE)の科学面ではトップ記事で報じられている。

この衛星は「リグノサット(LignoSat)」という名前で、「leña(薪)」などの語源となった、ラテン語で「木材」を意味する「ligno」と、英語などで「衛星」を表す「satelite」の頭文字を合わせた造語らしい(正確には、ラテン語の方は「lignum」だけど…)。

日本の記事をググってみると、どうやら、リグノサットの完成発表は今年5月末あたりに報道されていたようだが、今思うと、当時は目の回る程の多忙だったので、ニュースチェックもまばらになっていたかも。

リグノサットは今年9月、米国フロリダ州にあるケネディ宇宙センター(Centro Espacial Kennedy)から「スペースX(SpaceX)」ロケットに搭載され、宇宙に打ち上げられるとのこと。

そして、翌10月に宇宙ステーションである日本実験棟「きぼう」(módulo experimental japonés Kibo)から放出(despliegue)されて、実際の任務が開始する。

リグノサットは木製で、かつ、日本の伝統的な技術(una técnica tradicional japonesa)を駆使し、ネジや接着剤を一切(no requiere tornillos ni pegamento)使用していないそうな。

これまでの人工衛星(satélites convencionales)は任務を終えると(después de sus misiones)、そのまま宇宙の軌道に残る。

それらは「宇宙ゴミ・宇宙デブリ(desechos espaciales)」と呼ばれ、5000機の人工衛星、そして、2万の細い残骸(piezas)が宇宙空間漂っているという。

そして、こうしたゴミが大気圏に再突入(reentrada)した際に、燃え尽きることなく、微細な金属片(partículas metálicas)が残り、さらなる大気汚染につながるらしい。

しかし、リグノサットはネジも接着剤も使っておらず、そもそも、木材なので、燃え尽きて、細い灰(fina ceniza)になるので、これまでの衛星よりは、はるかなに大気圏環境の負担ならない。

リグノサットは、加工のしやすさ(facilidad de uso)と耐性(resistencia)をあわせ持つモクレンの木(madera de magnolia)を使っているんだって。

写真はリグノサットの初号機。

京都大学のプロジェクトリーダーであり、宇宙飛行士(astronauta)である土井隆雄は「持続可能な資源である木の可能性を広げ、木材利用を推進する上でも大きな意義がある(Es importante ampliar el potencial de la madera como recurso sostenible)」と述べている(日本語は土井の発言をそのまま引用。以下同様)。

そして、

将来的には月や火星など、宇宙に木を使った人の居住空間を作りたい(Nuestro objetivo es construir en el futuro hábitats humanos utilizando madera en el espacio, en la Luna y en Marte)

とも語っている。

全長僅か10立方センチメートルのリグノが乗せる夢はとてつもなくデカい。

ところで、土井の肩書きが「特定教授」となっていて、これは初めて聞いたなぁと、とてつもなく小さなコトが気になる小生。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240717/japon-prepara-lanzamiento-del-primer-satelite-madera-no-se-convertira-basura-espacial/16189429.shtml